大川漁業協同組合研究会

[出品者情報]

大川漁業協同組合研究会
福岡県大川市

[商品]

  • 有明海苔(加工品)
  • 大川産一番摘み海苔『初摘海(はつみ)』シリーズ
  • 『初摘海』全形焼海苔(10枚入り)
  • 『初摘海』卓上焼海苔・卓上味海苔・卓上塩海苔(全形10枚分8切80枚入り)
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「大川漁業協同組合」は1950年に発足。今では3世代に渡る漁師が在籍している

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大川産一番摘み海苔『初摘海(はつみ)』シリーズ 海苔そのものの味わいを楽しむなら「焼海苔」、ほどよい香ばしさがご飯に合う「味海苔」、お酒のアテにも好評な「塩海苔」。この他、板海苔タイプもあり

有明海のおいしいがつまった “最初のひと摘み”を味わう

「パリッ」と軽やかな音を立てて齧ると、磯の香りと凝縮された旨味が広がる。 続いてもう一枚、もう一枚とついつい口の中に放り込み、気がついたら食べ尽くしてしまう。これが、一番摘み海苔『初摘海(はつみ)』の恐ろしいところだ。

魔性の美味しさの秘密は、まず海苔の成分自体に秘められている。実は、海苔は、昆布に含まれるグルタミン酸、鰹節に含まれるイノシン酸、干し椎茸に含まれるグアニル酸の“三大旨味成分”を全て併せ持っているのだ。さらに、ビタミン群にカルシウム、鉄分、葉酸、食物繊維なども豊富。アルコールを分解する時に必要なタンパク質や肝臓の働きを高めるタウリンも配合されているので、飲兵衛にもうってつけの食材だ。ちなみに、焼海苔2枚(1枚はタテ21×ヨコ19cm)を食べると、なんと毎日の必要量が摂取できるとか。古くは奈良時代に海苔が食されていたという記録が残っているが、長年に渡って食べ続けられているのも納得だ。 昭和に確立した養殖技術により、海苔は全国各地で生産されるようになったが、国内の海苔生産量のおよそ半分が有明海産のもの、いわゆる“有明海苔”で占められているという。福岡、佐賀、長崎、熊本の4県にまたがる広大な有明海の中で、山からミネラル豊富な水が絶えず流れる筑後川河口に漁場を持つのが、福岡県大川地区の「大川漁業協同組合」だ。

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有明海の干満で鍛えられた海苔は口溶けが良くパリッとした食感が楽しめる

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夏の間に海苔の胞子を牡蠣殻で培養。ある程度育ったら牡蠣殻を網に付ける。牡蠣殻を使うのはこのあたりで牡蠣の養殖が盛んに行われていた頃の名残でもある

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海苔網を張るための支柱は漁場1小間(一区画)につき、網は10枚、支柱は66本。それが1経営体あたり数十小間ある。船から海底に向けて支柱を思い切り突き刺すので、これだけの数をこなすのはなかなか重労働だ

肥沃な漁場を乗りこなす 漁師の誇りを海苔に込めて

大川漁業協同組合の若手で結成された「大川漁業協同組合研究会」現会⻑の古賀弘彰さんに、海苔作りについてお話を伺った。 「遠浅の海が続く有明海では、海底に立てた支柱にハンモックのように網を張り、その網に付けた牡蠣殻に胞子を着床させて育てる『支柱式』という栽培方法を採用しています。これだと海面近くに設置できる分、日光を十分に取り入れることができるんです。それに潮の干満の差で網が海水に隠れたり干されたりして味が深まります。ただし、海面から出る時間が長すぎると干上がってしまうんです。だから、支柱に網を張る高さが大事。しかも、漁場は毎年くじ引きで決まるので、毎回その漁場に応じて支柱を立てなければならない。漁師さんの技術の見せ所なんです」 環境の良し悪しだけではなく、漁師の力量も味を左右する。だからこそ、プライドを持って漁に取り組めるのだ。

「大川漁業協同組合研究会」では、海苔づくりに対する思いを知って欲しいとSNSでの発信やシーズンオフにイべント販売などの PR にも取り組んでいる。その一つが、4月に開催される『大川漁協うまい海苔コンテスト』だ。 「大川漁業協同組合には12名の生産者が在籍していますが、それぞれで今年一番の海苔を出品するんです。誰のものか分からないよう匿名にした海苔を組合内で試食して上位3名を選び、その3名の海苔をイベントに出します。一般のお客さんに食べ比べてもらって最優秀賞が決まるんですよ。ちなみに、昨年期の最優秀賞は古賀正八さん。この道50年の大ベテランで、4年連続で3位内にランクインしています」 組合内で切磋琢磨することで、全体のモチベーションも上がる。今では3世代に渡る海苔漁師の仲間内で意見を交換しながら、次なる可能性を探っている。 その一つが、オリジナルブランド『初摘海』シリーズだ。

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大川の海苔養殖は二期作で行われる。種付けから約1ヶ月経つと海苔網の一部を残して引き上げ。引き上げられた海苔は網のままマイナス25℃で冷凍保存。海に残された海苔網が収穫された後に再び海に戻される

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うまい海苔コンテストの投票の様子。実際にその場で食べてもらい、一番おいしいと思った海苔にシールを貼ってもらう

“そのまま食べるのが一番”軽く炙ってより香ばしく

有明海苔は、個人で収穫した後に各県の漁業協同組合連合会が主催する「共販」のもとへ集約され、市場へ流通する。どこで収穫をしても「福岡有明海苔」もしくは「佐賀有明海苔」として市場に出されるのだ。 「私たちが作った海苔は、他の組合と一緒になって『福岡有明海苔』として納品されます。でも、やっぱり大川の海苔を知ってもらいたくて…」 組合内での後押しもあり、オリジナルブランドの開発に取り組んだ。注目したのは、“初摘み”。実は、同じ場所で育った海苔でも摘んだ時期が違えば味わいもまた変わるのだ。しかも、お茶と同じく、最初の一摘みはその味がまるで違うとか。 「大川の海苔は、11月から4月までの間で二期作を行います。最初の新芽は柔らかくて口溶けも良く、ほどよい甘みが魅力です。その後、冬を越した二期作目の海苔は甘みが増して、さらに美味しくなるんですよ。『初摘海』には、一年で採れた中で一番いい二期作目の初摘みを使っています」と、古賀さんもお墨付きの出来ばえだ。

「大川漁業協同組合研究会」の西さんが「初摘海」の一番美味しい食べ方を教えてくれた。 卓上コンロで、2、3秒海苔を炙る。それを2、3回繰り返せば出来上がり。炙るうちにほのかに緑がかった色に変わってくれば食べどきだ。炙ることで中に残っていた水分が蒸発し、香ばしい焦げ目も付くのでより深みのある味わいになる。口に入れると聞こえるほどパリッと音が出て、食感も楽しい。 ただし、火に近づけすぎたり、あまり長く炙ってしまうと苦味が出てしまうのでご注意を。

さらに、もう一つ、漁師直伝の食べ方をご紹介しよう。 「本当にいい海苔はお湯に入れると溶けちゃうんですよ。だから、時間がない時は刻んだ海苔をお湯に入れて、鰹節と醤油を少し加えるとお吸い物代わりになります。インスタントラーメンに入れても、スープが格別においしくなるんです。なにせ海苔には、3大旨味成分が入ってますから」 食事時にむずがるお子さんのご飯に海苔をかけると、夢中になって食べたという話も。いつものご飯に足すだけで、その味わいは格段に上がる。

現在、「初摘海」は大川漁協と市の観光協会で販売されている。まれに道の駅やイベントで出品することもあり、今後は関東や関西にも販売を検討中だ。 とはいえ、美味しい海苔は早い者勝ち。見つけたら早めに手に入れておきたい。

最上級の味を求めて 次なる収穫へ出発!

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海苔網に付けた「落下傘」と呼ばれる袋に、海苔の胞子が詰まった牡蠣殻を入れる。家族総出で行われる大事な作業だ

そろそろ次の海苔漁が始まる時期がやってきた。昨年の出来に負けない味を目指して、組合内でも士気が高まっている。 「海苔の栽培は体力勝負です。有明海は穏やかというイメージがありますが、干満の差があるし、小さい船の上で動くので揺れやすい。他の海苔生産地は海が荒れたら漁に出ないんですよ。でも有明海の漁師はシケても海に出ます。シーズン中は休みなく海苔の栽培にかかりきりなので、漁というよりも農業に近い感じかな。収穫時期には徹夜することもあるハードな現場ですが、やっぱり食べて美味しいと言ってもらえると疲れが吹っ飛びます!」 有明海の豊かな自然と漁師の知恵と経験、そして情熱が育んだ黒い宝石。 もし購入するなら、自分の想像より少しだけ余分に買っておくようにお勧めしたい。きっと、手が止まらなくなってしまうから。

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