グルメな二人が作る肉厚ジューシーなパプリカ

[出品者情報]

ブンゴロイドファーム
大分県玖珠郡玖珠町

[商品]

  • パプリカ(農産物)
  • ピクルス類、醤油漬け類(加工品)

グルメな二人が作る肉厚ジューシーなパプリカ

サラダやマリネなどの彩りに一役買ってくれるパプリカ。名脇役のイメージが強いが、メインで食べたいほど肉厚で甘くジュシーなパプリカを栽培している農家がある。大分県玖珠郡の「ブンゴロイドファーム」だ。「薄くスライスしてそのまま食べるの好きだけど、丸ごとあぶって皮をむいて食べるのがおすすめ」と話すのは、ブンゴロイドファームの高坂夫妻。夫の二郎さん、妻のしのぶさん二人で、パプリカを中心とした野菜の栽培と、加工品づくりに取り組む。

ブンゴロイドファームで栽培されているのは、パプリカのほか、にんにく、トマト、落花生、ズッキーニなど。どの野菜にも農薬もほとんど使わない。生育に影響を及ぼすような虫は一匹ずつ指先で取り除いたり、天敵の昆虫を入れて手助けしてもらったりと、被害をできるだけ抑える工夫する。土は化学肥料に頼らず、油かすや骨粉を土に混ぜて肥沃な土壌をつくっている。
地元の産地直売所や国内の飲食店に卸すパプリカをはじめ、イベントなどに出品する自家製ピクルスも好評だ。中でも人気は、期間限定の「落花生のピクルス」。塩茹でした落花生を自家製のピクルス液に漬けただけのシンプルなものだが、「ギュッとした歯ごたえとナッツの風味がクセになる一品で、酒の肴にぴったり」。皿の上の九州では、餃子のたれやステーキソースとしてもおすすめの「葉にんにくの醤油漬け」や、そのまま食べても刻んで料理の隠し味にも万能な「黒にんにく」などがやってくる。
グルメが高じて野菜作りを始めた二人にとっては、「自分たちが美味しく楽しく食べられるものを」が基本。肉厚でみずみずしく甘いパプリカと、どこか異国情緒漂うブンゴロイドファームの加工品を、この機会に味わってみては。

img01

知人農家の豆を使った「豆のピクルス」は、ピーナッツが手に入らない時期に販売。それ以外の商品はすべて、栽培・加工ともに夫妻が手がける。パッケージは、グラフィックデザイナーだったしのぶさんのデザインによるもの

img01

ブンゴロイドファームで育てるパプリカは、小ぶりの品種「パプリ娘(こ)」。見た目も可愛らしい品種で、地元の道の駅などでも販売中だ

img01

業務用の炊飯器でじっくりと自己醗酵させて仕上げる黒にんにくは、サプリメントとしてはもちろん、刻んだり潰したりして料理の隠し味にも使い道が万能

京都から老後の夢を描いてやってきた豊後の地

「農業に関しては、僕たちなんかまだまだ素人ですよ」と穏やかに笑い謙遜するのは、二郎さん。東京や京都などで長年の飲食店勤務を経たのち、大分の地にやってきた。一方のしのぶさんも、グラフィックデザイナーとして活躍後に就農という異色の経歴の持ち主。そんな二人の共通の夢は、「老後は田舎暮らしを」だった。

老後と言うには少し早い54歳のとき、しのぶさんは一念発起して大分の農業大学に入学。1年の就農準備の研修期間を経て卒業する頃に、県の就農支援制度の推進品目に、ピーマンやパプリカがあることを耳にした。もともと中南米の熱帯地方を原産地とするパプリカは、栽培適温が22〜30℃と暑さには強い一方、気温が低いと生育に影響が出るため、日本ではハウス栽培が不可欠。農業一本を生業にしながら生きていくというよりも、自分たちの人生をより謳歌するべく野菜づくりをはじめた二人にとって、ハウスなど大規模な設備投資は非現実的だったが、「補助制度が活用できるなら」と、パプリカの栽培を決意した。
その後にんにく、落花生、ズッキーニなど、自分たちが食べたいものを中心に品目を増やして3年になる。虫に悩まされたり、病気になって枯れてしまったりと、幾度となく失敗に見舞われたが、畑に現れる害虫・益虫を写真に納めた「むしづかん」をSNSで発信するなど、いつでも遊び心を忘れない。山から下りてきた鹿やアナグマに畑を荒らされることもたびたびあるが、「みんなかわいいんです。彼らに食べさせてあげたと思えば苦にならない」と、晴れ晴れとした笑顔。周りの自然と共存しながらも無理なく農業と向き合うその姿勢が、美味しい野菜をつくる源だ。

img03

黒いハットに耳にはピアス、関西なまりで飄々とした二郎さん。バーテンダーや京町家の飲食店店長などの経験をフルに活かし、栽培した作物の加工品開発は次郎さんの担当になっている

img04

穏やかな口調で農作業にいそしむしのぶさん。二郎さんとのあいだの絶妙なバランスは、農作業や加工品開発にも活かされている

食いしん坊夫婦の尽きぬ夢

大分県西部に位置し、美しい山々に囲まれた玖珠は、古くから「豊後(ぶんご)」と呼ばれる自然豊かな地域。ブンゴロイドファームがあるのは、この町の山田と呼ばれる集落だ。水路に流れるのは、ここから南にある標高1000メートルを超える万年山(はねやま)から引かれる清らかな湧き水。シラサギ、サワガニ、そして夏にはホタルが集まってくる名水の地でもある。

「野菜作りはまだまだ試行錯誤の段階」という高坂夫妻にとって、「美味しくて食卓を楽しくしてくれる食材」が農業に向き合う上での一番のモットー。個性豊かな海外の野菜にも積極的に目を向けながら、「今育ててみたいのは、根セロリ。そのうち固定種パプリカも試してみたい」と言うしのぶさん。そんな野菜たちの食べ方を考えて日々試作するのが、二郎さんの担当だ。しのぶさんの隣で、「パプリカは、実は様々な食べ方ができるのでそれを広めたい」と意気込む。現在は、ポルトガル産の万能調味料「マッサ」(塩漬けパプリカのペースト)の商品化に向けて試作中だ。
好奇心の源は、ただただ「美味しいものを楽しく食べたい」というシンプルな気持ち。食いしん坊の二人だからこそ、食をとおして膨らむ夢がたくさん詰まったブンゴロイドファームでは、今日も緩やかに畑に向き合う夫妻の姿がある。

img05

周囲一帯を山々に囲まれた里山にある豊後ロイドファームでは、山の湧き水が流れる水路から引いてきた水を農作業に使用する。「自然が本当に気持ちのよいところです」と高坂夫妻

img05

採れたての野菜を使って、二郎さんが手際よく作ってくれたサラダ。パプリカとズッキーニは生のまま薄くスライス。湯むきしたトマトに、炙って皮をむいたパプリカを添え、オリーブオイルやバルサミコ酢などをお好みで

img05

ハウスの隅では、セージやローズマリーなどのハーブ類がこじんまりと、自家用に育てられていた

関連する記事