【ゲスト紹介01】
福岡県糸島市で、4月13日(土)・14日(日)の2日間に渡り開催される”発酵”をテーマにした『発酵フェス糸島 Vol.01』。主催の「発酵フェス実行委員会」のみなさまと共に、アナバナはイベントの広報に参加しています。
フェスは、発酵職人・約40店舗が出店するマルシェ、実際に菌を使用して発酵食品を手作りする体験ワークショップ、トークイベント、映画上映もありと、発酵三昧の盛りだくさんな内容です。発酵食品を堪能しつつ、普段はなかな聞けない専門的な”菌と発酵”に触れることができるんです。
中でもメインイベントの「発酵トークショー」は、10名もの発酵にまつわるプロフェッショナル達のお話が聞けるということもあって、一体どんな方々が登壇されるのでしょうか?
アナバナではゲストのみなさまへのインタビューを試み、どんな発酵の専門家なのか? どのような思いで活動されているのか? などをご紹介していきます。イベント前にチェックすると、当日の楽しみ方が広がりますよ!
ということで、まずは、13日(土)に「キムチ・ワークショップ」の講師を、14日(日)にトークセッションに登壇者をつとめてくださる(株)ゴールドブリッジの長迫さんの元を訪れ、『発酵フェス糸島』のために特別に作っていただくキムチの試作に参加しつつ、キムチに使われている”熟成塩”についてお話を聞いてきました。
[会社のご紹介]
(株)ゴールドブリッジさんは、社長の渕上さんと近藤さん、長迫さん、3人のアットホームな会社です。今回のワークショップで使用する韓国産の三年熟成塩や、ヤシの実の殻から作るエコな炭を利用した環境に優しい使い捨てBBQコンロ等を取り扱われています。
三年熟成塩とは何か?
まず、ゴールドブリッジさんの主要商品であり、今回のキムチワークショップでも味の要となる、”三年熟成塩“についてお伺いします。
ゴールドブリッジさんの三年熟成塩(商品名「678 三年熟成天日塩」)は、韓国の最西南に位置する新安郡(しなんぐん)の恵まれた自然条件の下で作られています。この新安郡には有人島と無人島を含む1千以上の島があり、人の手が入らない原生林、海に迫る山と干潟、湿地などがおりなす、 美しく豊かな自然と、そこから生まれる生物の多様性、採取漁業や塩田など伝統的な産業を含め、郡全体がユネスコ・エコパークに登録されています。
三年熟成塩は、そんな新安郡の綺麗な海水を、一年で一番太陽が近づき海中のミネラル分の濃度が上がる、6月,7月,8月のみに汲み上げて、太陽の光と風で熟成させる、恵まれた自然条件の下で育まれた、世界が認めるミネラル豊富で高品質の天日塩なのです。
アナバナ キムチを作る際にこの塩を使うようになったきっかけは何だったのでしょう?
長迫さん 私が「塩」の重要性を感じるきっかけは大きく2つありました。私は以前は理学療法士として長年病院に勤務していたため、塩分を制限している病院食に苦労する沢山の患者さんを診てきました。減塩食を食べさせられているだけで「明日死んでもいいから何でも食べさせてくれ」とまで精神的に追い詰められる方も多くいました。そこでは、生きていくうえで「塩」がどんなに日常的に大切かを痛感していました。
その後、漢方医だった旦那さまと出会い結婚。旦那さんは、韓国でもキムチが一番おいしいと言われている全羅道=ゼンラドウ出身。ゼンラドウは、海も山もあり食材が豊富で、昔王宮の王族が避暑に来ていた地域でもあり、食文化が大変豊かな地域。ゼンラドウにお嫁に行くと、料理教室に通わされるというほどグルメな地域です。
ある時、旦那さんのお母さまが日本に遊びに来て、キムチを作ってくれることになったのですが、探しても探してもお義母さんが合格を出す塩が見つからなかったそう。というのも、韓国では塩は製造されてから、少なくても1年は熟成させるのが当たり前。
そして、キムチを作る際に使用する塩は三年熟成塩を使うのが常識なのです。
塩は三年熟成すると、ミネラルは豊富に残ったまま、エグミ(ニガリ)が取れて、味もまろやかになるそうで、韓国には塩の五年熟成、十年熟成もあるというから驚きです!
長迫さん 韓国での生活が長くなるにつれて、日本に帰省した際に食べるものがどれもしょっぱく、きつく感じるようになってきました。日本では、ニガリを取るためにミネラルもなくしてしまった精製塩が主流です。塩はすべての料理の基本なので、塩が変わるだけで味のまろやかさも深さも、そして、その食事でとれるミネラル量も変わってきます。
身体にも、舌にも美味しい良質な「塩」を日本に紹介して、日本を元気にしたいと思うようになりました。それが、三年熟成塩を取り扱うようになったきっかけです。
三年熟成塩を使い、発酵フェス用のキムチを試作!
長迫さんは13日の体験ブースにて、韓国でも特に美味しいキムチを作ることで有名な、ゼンラドウのお義母さん直伝のキムチ作りワークショップを担当されます。といっても、本来、年に1度、大量の材料で多くの人手を使って仕込むのが、韓国のキムジャン=キムチ作り。今回は「発酵フェス」のために、ワークショップの後も自分で手軽に作ることができるバージョンでありながら、本場韓国の味が楽しめるキムチの作り方を教えていただけるそうです!
美味しいキムチが作れるかどうかの決定的なポイントは、30%の塩分濃度の塩水に白菜を一晩漬けた塩漬け白菜が美味しくできるかどうか。そこで使う「塩」が味の決め手になるそう
そして、ベジタリアン(菜食主義)の方でもキムチが楽しめるように、今回のワークショップでは魚醤を使わないベジキムチをベースに作ります。(ご希望の方は、魚醤を追加することもできるそうです)
市販のキムチは甘味として砂糖が使われることが多いのですが、このベジキムチでは「甘酒」を使います。甘酒の発酵がプラスされるとは! さあ、どんなキムチになるのでしょう?
大事な唐辛子は、お義母さんの自家製、無農薬のものを使います。
唐辛子と乾燥生姜に、ベジキムチは甘酒を加えます。
長迫さんは、ベジキムチは魚醤が入らない分、ミネラル不足になるので、「海の高麗人参」と言われるアッケシソウが入った三年熟成塩を加えます。アッケシソウは干潟や塩田周辺で育つ植物で、海水中の塩を含め、カルシウム,マグネシウム,カリウム,鉄分,リン等さまざまなミネラルを吸収しながら育ちます。
ミネラルは人間の体を健康に保つために必要とされ、不足することで色々な病気を招いているとされていますが、アッケシソウには他のどの食品よりミネラル分が豊富に含まれ、その数は90種類余り。日本では、古くから不老長寿の珍しい植物とされ、天然記念物に指定されているので採取することができないのです。こんな贅沢な塩を使ったキムチ、最高ですね!
そして、白菜を投入!
よくすりこんだら、出来上がり!これを密閉容器に入れて、数日寝かせます。
この数日後、ベジキムチを発酵フェス実行委員会のメンバーさんと一緒に試食会させていただきました。
旨味が増して、まろやかさが加わり、さらに美味しくなっていました! ぜひみなさんにも味わっていただきたいキムチです。気になる方は、ワークショップへお申し込みを!
(取材・撮影 編集部)
『発酵フェス糸島 Vol.01』の概要
- 期間:2019年4月13日(土)〜14日(日)2日間
- 時間:10:00〜16:00
- 場所:深江海水浴場の海の家 SAIKAI
〒819-1601 福岡県糸島市二丈深江2129-12(MAP)
※ゴールドブリッジさんのキムチ作りワークショップは13日の午後、トークセッション登壇は14日の午後になります。
- 主催:発酵フェス実行委員会
※各種イベント詳細につきましては、facebookをチェックしてください!
■内容
- マルシェ:40店鋪(予定)
- 体験ブース:8種の発酵体験ワークショップ|味噌、醤油、稲魂(=緑麹)から作る種麹、ベジキムチ、魚醤、みりん、草木染め2種
- トークイベント:登壇者10名、2日間全3回にわたるトークセッション
- 映画上映:「千年の一滴 だし しょうゆ」①10:00~ ②12:00~ ③14:00~ (100分)
(両日3回公開予定)
※本イベントは終了いたしました。