穴バーレポート ACTIVITY

絶滅寸前のいらかぶの未来を作る人・伝える人・食べる人がポジティブに変えていく。宮崎県美郷町の伝統野菜「いらかぶ」をいただきました。


1月に開店した、「伝統野菜をイタリアンでいただく いらかぶバー」。
ゲストの「合同会社TABERU」林幸広さんは、宮崎県美郷町で絶滅の危機に瀕していた野菜「いらかぶ」に出会い、その種を絶やすまいといらかぶを育て、商品化やPRを行っています。

いらかぶもその1つである「伝統野菜」の中には、絶滅の危機にあるものや、なんと発見されていないものもあるもよう。作り手がいなくなってしまえば途絶えるのは簡単ですが、「知って、食べる」だけでも、お役に立てるようですよ。あなたの身近にも、SOS発令中の伝統野菜があるかもしれません。まずは伝統野菜のこと、そしていらかぶのことを、ゲストの林さん、長友さんに教えてもらいましょう!

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右から林さん、料理担当の金高さん、そして林さんの仲間である大根農家のスペシャルゲスト・黒木さんです

 

絶滅寸前のいらかぶの未来を
作る人・伝える人・食べる人がポジティブに変えていく

伝統野菜とは、土地の気候、風土に合わせてできた、その土地だけにある野菜のことをさします。特徴的なのは、苗から買うことはまずなく、毎年タネを取ってそれをまいて育てるという循環でできていること。品種改良をされた野菜とは違い生産性が高くなかったり、手間がかかったりするという理由で、作り手が段々と減ってきています。

いらかぶも作り手が減り、林さんが初めていらかぶの存在を知ったときには、3軒の農家さんが畑の隅で少しだけ育てているような状態であったそう。

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こちらがいらかぶ。”かぶ”とは言っても食べるのは葉と茎のみで、ピリッとした辛みが特徴的な野菜です

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現在は林さんの仲間、黒木さんがいらかぶを育て、畑には立派ないらかぶが育っていました

いらかぶはもともと、立石地区というごく一部の集落でのみ育てられていたため、林さんのように宮崎のご出身でも知っている人はほとんどおらず、なんと「作り手の娘さんが知らない」ということもあるのだそう。この地区は豪族の隠れ里として閉ざされた歴史があることから、外に情報が漏れなかったという説もあり、いらかぶが今まで残ってきたことそのものが、奇跡のようにも思えてきます。

それまで存在を知らなかった林さんが、いらかぶを調べて広め、作り手も増えた今。私も食べる側として、その野菜の未来をポジティブに変えられるのだったら、ぜひたくさん食べて応援したいなあと思ったのでした。

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いらかぶについて熱く語ってくださる林さん

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会場のみなさまも真剣な表情で見つめていました

 

いらかぶだけじゃない宮崎の自慢の食材が旬の時期に届く
「宮崎ひなた食べる通信」

立石地区にしか残っていないいらかぶの他にも、季節に合わせた宮崎の旬の食材を手に入れられるのが、この2月に創刊される「宮崎ひなた食べる通信」です。

メンバーは林さんのほか、もう1人のゲスト・長友慎治さんが編集長を務めます。

食べる通信とは食べ物つきの情報誌で、全国各地で編集部が立ち上がり、その地域の美味しいものを情報と一緒に届けています。
創刊より一足お先にいただく梨大根は、「こんなに甘い大根初めて食べた」という方もいらっしゃるほどみなさまにも大好評。食べてみたいという方は、宮崎ひなた食べる通信をぜひ購読されてくださいね。

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「農家さんがこだわって作った野菜を、もっと自分たちの地元だけじゃなく広く消費者の皆さんに届けたいと思ってやることにした」と長友さん

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この日料理に使われた、梨のように甘い「梨大根」。これこそが宮崎ひなた食べる通信創刊号の特集素材で、スペシャルゲストの黒木さんが手塩にかけて育てた大根です

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台風の影響もあった中、なんとかここまで立派に育ってくれたとおっしゃる黒木さん。大事そうに大根を抱える姿に、まるで娘のように大切に大根を育ててきた姿が目に浮かびます

それまで宮崎でもほとんどの人に知られていなかったいらかぶや梨大根も、林さん長友さんたちの活動によって、宮崎を代表する名産品になる日が近い気がします。
宮崎ひなた食べる通信の今後を、編集部も楽しみにしています!

★レポート後編では、梨大根といらかぶの美味しい食べ方についてご紹介します

(編集部 天野)

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