インタビュー

松山さん・山内さんと考える、「ゲーム×地域」の話(4)

松山さん、山内さんと考える「ゲーム×地域」の話2014.02.03(mon) up

新しいアソビの見つけ方 #04 自分の街を遊び場に

山内 「マチ★アソビ」みたいなイベントってすごく参考になりますね。こういう発想を活動の中でも活かしていきたいです。
松山 私は福岡出身で、会社も福岡にあります。地元のゲーム会社の数も増えてきたし、繋がりもできてきました。これからは行政やメディア関係、教育機関や地元の方とも一緒になって、福岡をゲームエンタテインメントの街としてもっと盛り上げていきたいと思っています。その一環として、10年ほど前にGFF(GAME FACTORY’S FRIENDSHIP)という任意団体を、九州のゲーム会社のみなさんと立ち上げました。
山内 福岡はゲームの会社が結構ありますよね。
松山 そうなんですよ。レベルファイブガンバリオンなどヒット作品を作っている会社も合わせて、10を超える企業が参加しています。
山内 すごい。みんなで力を合わせて、福岡をエンタテインメントの街にしようというわけですね。
松山 もっと言うと、地元のゲーム会社がパートナーシップを結んでイベント開催や技術開発に乗り出すことで、福岡、ひいては九州を、世界的なゲーム産業の拠点にしようというのが目的です。2005年からは地元の大学機関や行政ともタッグを組んで、いわゆる産学官連携でゲーム産業の振興に力を注ごう、と。そのためにも、「マチ★アソビ」のように地域を盛り上げるイベントをやっていこうと、行政の方ともお話しているんですけどね。だって福岡はもっと街デカイし、人口も多い。徳島よりはオタクの人の数は多いはず!
山内 確かにそうですね(笑)。福岡はゲームだけでなく、アニメーターやミュージシャンも数多く輩出していますし、ファッションの街でもあるから、クリエイティビティに長けている人たちの数は確かに多いですよね。
松山 でもほとんどの人がみんな東京行っちゃうでしょう。タモさんものりピーも浜崎あゆみも、みんな東京行っちゃってなかなか博多には戻ってきてくれない(笑)。それは、東京じゃないと(やりたいと思う)仕事ができないと思っているから、みんな東京に行ってしまうと思うんです。福岡でも仕事が成り立つんだったら福岡に残りますよね。
山内 ええ、そうなんですよね。 「マチ★アソビ」を見ていても、地元の人たちが積極的に関わっている姿勢がいいですよね。ボランティアの人たちも多いですし。イベントを年2回開催するための運営を生き生きとしている彼らのあの感覚というのは、素敵だなと思います。つまり、自分たちの街が自分たちの遊び場なんだ、という感覚です。「商店街が閉まっていようが自分とは関係ない」で終わるのではなくて、「自分たちの街が自分たちの好きなもので自分たちの遊び場に変わるんだ」という創造力が素晴らしいなあ、と感じます。

松山 しかし身も蓋もないことを言いますとね、地域活性化のために不可欠なのは” 地域の人たちの意識 ”とかよく言いますけど、逆だと思うんです。
山内 ふむふむ。
松山 つまり、プロデューサーが必要なんです。プロデュースする人が一人いれば、みんながつながるきっかけができるから、いろんなことができると思うんです。地域の人たちの多くは、「誰かがやればいいのに」って思っているから、結局誰もやらないでしょう。地域行事も、なんとなく慣例で済ませてしまうから、だんだん参加する人も減ってしまうと思うんです。行政の職員でも、ゲームメーカーの社長でも、地域住民でも、誰だっていいと思うんですよ。必要なのは、先頭に立って声を大きく上げられるプロデューサーです。
山内 本当にその通りですね。「自分たちでやろう」という考えを持てるかどうか。誰かがやってくれるのを待つのではなく、自分たちが何かを始められるというその感覚が必要ですね。
松山 そうなんですよ。「マチ★アソビ」でも近藤光というアニメ会社の社長が指揮を執っている。GFFも、レベルファイブの日野晃博さんが引っ張ってくれているんです。よく東京の人から「福岡ってゲーム産業盛り上がってますねえ」とか言われますけど、勝手に盛り上がっているわけではないですからね。誰かが裏で一生懸命盛り上げてるんですよ(笑)。
山内 はははは。どんな立場の人でもいいから、地域プロデューサーみたいな人がいろいろな地域にボコボコ出てきたら面白いですよね。やり方は色々ありそうです。 アニメが好きな人はアニメかもしれないし、音楽が好きな人は音楽かもしれない。それこそ「とくしまバーガー」みたいな形もあるわけです。そういった自分なりの関わり方で、“自分が住んでいる地域を遊び場にしちゃおう”というものの見方が必要なんですよね。
松山 はい、そう思います。
山内 住民全員にアンケートで「どんな街がいいですか?」と聞くような、正攻法的な取り組みとは全然違って、ある一人の「自分の街がこうなったらいいなあ」という妄想が根っこにあってこそできるアプローチの仕方ってありますよね。

松山 だからこそ私も、博多でゲームに携わる人間としてプロデュースできることをやりながら、福岡の街を少しでも引っ張っていきたい。福岡を、九州を元気にしていきたいですねえ。
山内 面白いことができる気がします! 今日はすごく勉強になりました。そして本当に楽しいお話をありがとうございます。
松山 こちらこそありがとうございました! けっこうまとまりましたね(笑)
山内 後半は、来場者のみなさんにも参加していただき、「こんな地域活動になったらいいな」というテーマでグループディスカッションを行います。
引き続きどうぞ宜しくお願いします!
松山 面白いアイデアが飛び出すのを期待しています!

対談後には、CC2のキャラクター「サイバーコネクトツーちゃん」のコスプレガールも登場。「私たちフリー素材です」という松山さんの一言に、会場のお客さんたちも携帯電話でこぞって撮影。

もくじ

対談者プロフィール

博多にある元気なゲーム制作会社サイバーコネクトツーの代表兼ディレクター。開発の傍らで毎月、60冊の漫画誌を読んでいる大の漫画好き。アニメや映画、もちろんゲームも漫画も幅広く、こよなく愛している。
非常に“濃く”“熱い”人間である。
代表作は「.hack」シリーズ、「NARUTO−ナルト− ナルティメット」シリーズ、「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」、「アスラズ ラース」など。アクションと映像演出に特別なこだわりを持つ作品づくりが特徴。

最近では「ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い」や「死神メサイア」「フルボッコヒーローズ」などスマートフォンゲームの開発も手掛ける。 また、ゲーム制作会社だからこそ発揮できる能力を最大限に生かし、福岡県の「消防・防災・安全」のイメージキャラクター「まもるくん」のキャラクター・世界観デザインを制作。

九州大学芸術工学府博士課程修了(芸術工学博士)。
ドネルモは、「もっとこうだったらいいな」と思うつながりを作ろうとする人たちを応援する団体で、現在は「コミュニティで創る高齢社会のデザイン」など、これからの地域モデルを開発する仕事を中心に活動中。
ゲームは小学1年のファミコンから。
最初のカセットはレッキングクルー。
一番やり込んだのはウィザードリィ(ファミコン版)とジンギスカン(光栄)。


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