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竹を使った自作ボイラーで甘く艶やかに 福岡県古賀市From Tomato 佐々木さんのトマトハウスへ

残暑に季節の変わり目と、この時期は特にカラダがお疲れ気味…。
それなら、みずみずしい旬の野菜で元気をチャージしたいところです。
今回は、「トマトが赤くなれば医者が青くなる」ということわざがあるほど栄養豊富なトマトを福岡県古賀市で栽培されているFrom Tomato佐々木悠二さんのトマトハウスを訪ねました。

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佐々木さんといえば、昨年4月に開店した穴バー「掘りたて たけのこづくしバー」でおいしいタケノコを振舞っていただきましたが、本業であるトマト栽培にも、“竹”が大いに活躍しています。
早速お話を聞いてみましょう!

超理系なトマト農家古賀さんが手がける
甘くてジューシーなフルーツトマト

佐々木さんは地元の放置竹林を整備しながら、伐採した竹を使ってトマトを栽培されています。一体、どういうことなのでしょうか?

「切り出した竹を燃料にして、ハウスの中を温めているんです。竹を燃やすボイラーは自作したものなんですよ」

実は、製鉄所を建設するプラントエンジニアとして働いていた佐々木さん。地元に戻ってからは、その技術を生かして化石燃料に頼らないバイオマスエネルギーによるトマト栽培に取り組んでいます。
なんと養液作成、灌水システムなどまで独自で開発されたというから驚きです。活動内容を発表して資金を募ったクラウドファンディングでは、目標額を超えて85名もの支持者が。未来を見据えた佐々木さんの農業は、多くの注目を集めているんですね。

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クラウドファウンディングの支援を元に自作したボイラー

佐々木さんの挑戦についてはこちらをチェック
https://anaba-na.com/anabar-post/21453.html

そんな佐々木さんが手がけるトマトは、ミニトマトと中玉トマトの2種類です。
「極力水を少なくして育てることで、糖度を高めているんです」
そのままかぶりつくと、ジュワッと溢れるほどの果汁が口いっぱいに広がります。甘さと酸味のバランスもよく、何も付けなくても味わい豊か。
現在は古賀市にある直売所のほか、周辺ではイオンモール福津や香椎浜店で取り扱いされています。 

特に直売所では、しぼりたてのフレッシュトマトジュースが人気とのこと。
「加熱せずに、塩や砂糖なども一切入れていないトマト本来の味が楽しめるジュースです。農家だからこそできる味ですね」

 トマト好きにはたまらないジュース、いやニュース!
さっそく直売所へ足を運びました。

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トマト農家だからできる
旨味たっぷりの贅沢なジュース&スイーツ

From Tomatoの直売所は、明治時代に建てられた「古民家油や」の中にあります。大きな石造りの門をのぞくと、奥には趣のある日本家屋が姿を見せます。おっと、直売所は裏手にあるので、門の横に続く煉瓦塀をぐるりと回って入り口へ。

直売所への行き方はこちら

木の温もりを生かした店内には、採れたばかりのみずみずしいトマトが並んでいます。カウンターでは、佐々木さんがトマトをカットしては次々にミキサーに入れています。
「ジュースには、その時期に採れたトマトを使っています。なので、ミニトマトの時もあれば、中玉トマトの時もあるし、2種類入れることもある。今の季節なら、中玉の方が甘さが強いですね。ミニトマトの方がトマト感が強いかな」

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トマトジュースと言えば真っ赤な色をイメージしますが、こちらのはややピンクがかっています。
「この色合いもトマトの状態で変わります。完熟状態で収穫したものだと、もう少し赤くなります。季節や状態に応じて色も変わるんです」 

一口味わってみると、ものすごく甘い!そのままゴクゴク飲み干してしまいたいほど爽やかな喉ごしにびっくり!
「加熱せずにスロージューサーで絞っているだけなので、とろみが無く飲みやすいんです。搾りたての状態がやっぱり一番。ぜひたくさんの方に飲んでいただきたいですね」

この日のジュースは中玉トマトで作っていただきましたが、なんと1杯に約40個も使うのだとか!まさに農家だからこそできるリッチな味わいです。

「大体トマト1kgで700mlくらいのジュースがとれます。この量を食べるのはなかなか大変ですが、ジュースにすればグイッと飲めちゃう。美容と健康にもいいんじゃないでしょうか」 

ジュースに使った残りの果肉は、チーズケーキに入れているそうです。
「チーズケーキはうちの妻がオリジナルで作っているんです。生地の中にふんだんに混ぜ込んでいるので、トマト感がすごく強い。トマトの酸味とチーズの酸味が絶妙にマッチしていて、すごくおいしいですよ」

トマトとチーズといえば、鉄板の組み合わせ!
チーズケーキをお目当てに来店する常連さんも多いそうです。

トマトのおいしさを通して
バイオマス栽培や農業の可能性を発信したい

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直売所がある『古民家油や』は、オーナーの「やまんば大工」さんがリノベーション。現在も実際に人が住んでいて、レンタルスペースとして一般利用もできるそう

 「From Tomato」の直売所はホッとできる場所ですが、どんな経緯でお店を作られたのでしょうか?
「もともと、会社を作る時に事務所用の場所を探してたんです。その時にここのオーナーの『やまんば大工』さんをご紹介してもらったんですよ。僕らの活動に興味を持っていただいたらしくて。せっかくこんな素敵な場所に事務所を開くのであれば、地域の方にトマトを食べてもらって、活動内容を知ってもらえればと思ってショップの形態にしました」

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店内では、実際にトマトやチーズケーキを買うことができて、トマトジュースも味わえます。

壁には佐々木さんのトマト栽培や放置竹林の整備などの活動も紹介されているんですね?
「トマトを買うだけだと、その背景の部分にはなかなか注目しないと思うんですよね。実際にトマトを味わって、おいしいなと思った時に、こういった紹介が目に入ると興味を持ってもらえるのかなと。僕らもいろんな方の反応を見て、今後の方針を決めて行きたいですし」

 以前、穴バーで「バイオマスを使ったトマト栽培を全国に広めていきたい」と言う話を、お聞きしたんですけど、その後どんな状況ですか?
「クラウドファンディングでたくさんの方にご支援をいただきましたし、トマト自体も非常に良い評価をいただきました。それに、収穫量についても順調に伸びています。今は1回で120kg、一作で2t強の収穫ができるようになったんですよ。手ごたえは確実に感じているところです」

この日店頭に並んでいたのは、フルティカと呼ばれる中玉トマトですが、季節によって品種や味わいが変わるのもFrom Tomatoの魅力。
「夏は温度が高いので、春秋と比べるとちょっと味も違うんです。どちらかと言うと夏は濃厚でトマトらしい味ですね。10月とか、春秋はむしろ糖度が高くて甘い、フルーツ感の強いトマトになります。そういった季節による味の違いも楽しんでいただけたら嬉しいですね。毎回当たり前のように同じ味のものができるものではない、農業ってそういうものなんだよという面も伝えて行けたらなと思っています」

旬のトマトと共に、農業や地域の情報も知ることができる直売所「From Tomato」。はちきれんばかりに実ったトマトに元気をもらったら、人にも地球にも優しい農業の形について一緒に考えてみませんか? 

From Tomato

福岡県古賀市筵内866
古民家油や 内
Tel 050-5374-5011
毎週日曜日10:00〜16:00
https://www.fromtomato.com

(取材:編集部、文:ライター/大内りか)


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