今回のアナバナチャンネルは、日本有数のぶどうの産地、大分県宇佐市安心院にある「ドリームファーマーズJAPAN」の畑から宮田宗武さんをゲストにお迎えしました。
周囲を見渡すと、旬の巨峰やシャインマスカットがたわわに実り、ついつい手を伸ばしてしまいそう。残暑を感じさせない爽やかな気候も手伝って、ぶどう狩りも人気です。
宮田さんは果樹栽培に止まらず、ぶどうやみかんなどの果樹を加工した商品開発やイベントの実施など、安心院の農業を語る上で欠かせない人物。生産者の見本市「皿の上の九州」やアナバーなど、アナバナとも長いお付き合いです。
今日も情熱的にぶどう愛、そして安心院愛を語ってくださいました。
「ドリームファーマーズJAPAN」の挑戦はこちらもチェック!
https://anaba-na.com/anabar-post/14676.html
ツウならハシゴするべし!?
「ぶどう狩り」で農園の個性を味わう
ちょうど今はぶどうシーズン真っ盛り。全国からも呼び声高い「安心院のぶどう」の栽培はどのようにして始まったのでしょうか?
「安心院って盆地なんですよね。地形的に山梨県の甲府に似ているので、ぶどうづくりが始まったんです。国の政策でぶどう栽培が推奨された1965年(昭和40年)ごろには約400軒ものぶどう農家がいたんですよ。今は150件ぐらいに減っています。シャインマスカットなど人気品種の売り上げは伸びてはいるんですけどね」
なるほど。そんな背景があったんですね。
安心院には「ぶどう狩り」ができる農園もたくさんありますよね。
「安心院を含む宇佐地域で25件くらいありますね。ぶどうを購入できる直売所も含めると、立ち寄りできる農園は50件くらいあります」
農園によって、収穫する品種って変わるんですか?
「メジャーなところでは、シャインマスカットやデラウェア、巨峰、ピオーネなどの品種があります。あとは、農園の個性に合わせて、そこにしかない品種もあるんですよ。ちなみに、うちにはキャンベルと言う品種を育てているんですけど、この品種をぶどう狩りできる農園は他にないですね」
珍しい品種や食べておいた方がいいものはありますか?
「農園によって違うので、まずは園主さんに聞いてみましょう。何カ所か農園を回るのもいいかなと思います」
ぶどう狩りのハシゴみたいな?
「そうそう。食べ比べも面白いかなと思います」
ちなみに、「ドリームファーマーズJAPAN」さんのぶどうはどんな特徴があるんですか?
「うちは種ありの品種が多いんですけど、わざわざそれを求めてくるお客さんが多いんですよね。種なしも扱っているので、食べて比べてみても面白いかも。ワンシーズン中に6種類の品種が登場しますが、これから巨峰、シャインマスカットが旬です。あと、9月中旬から出る『ベリーA』ってワイン用の品種も甘酸っぱくてうまいんですよ。ぶどう狩りに対応している農園は珍しくて、ファンの方も結構いらっしゃいます」
それは期待大ですね。ぶどう狩りに向いている品種ってあるんでしょうか?
「ぶどう狩りだと、やっぱりガツンと重いものが喜ばれるんです。だから粒の小さいのはあまり人気が無いかな。でも、大きさとおいしさは比例しているわけではないんですよ。小さいものでも、しっかりと熟れたものは甘くておいしい」
安心院だと小粒のデラウエアも人気ですよね。
「デラウエアのぶどう狩りをやっているところは結構少ないんですよ。収穫できるのは大体7月からお盆前までなんです」
では、デラウェアのぶどう狩りは、また来年という事ですね。
「そう!そこがポイントなんです。シーズンを逃すと来年までぶどう狩りできないんですよ」
確かに!ちなみに、ぶどう狩りができるのは10月までですよね?
「そうです、タイミングによって種類が変わりますが、7月くらいから10月くらいまでぶどう狩りシーズンは続きます。ぶどう狩りはね、ワインと一緒でヴィンテージなんですよ。去年はこんな味、今年はこんな味、そんな風に毎年の味を楽しむものなんです。なので、我々はこういうものを作っています」
“ぶどう狩りハンター認定書”ですか。
「そう、ぶどう狩りに来られた方に1枚お渡しします。毎年絵柄が変わるんですよ。今年でスタートして4年目。あと6年、つまり合計10年分貯めると、なんとフランス旅行が当たります!」
本当に!?太っ腹ですね!
「正直、今は予算的に厳しくて、現地集合現地解散になりそうです(笑)でも、あと6年ありますので、その間にどんどんぶどう狩りに来て頂けたら、帰り道の費用まで出せるかな」
では、皆さんぜひぶどう狩りに行きましょう!
「ワンシーズンにいろんな品種が出るので、ぜひ毎月お越しください!」
そうそう、8月から「非密のぶどう畑大作戦」というキャンペーンもスタートされたんですね。
「主催は農泊を応援する組織『安心院NGTコンソーシアム協議会』なんですが、そもそもは、もっちーが『ぶどう100kgプレゼント企画やろうよ』って言い出したのがきっかけなんです。そのアイデアと安心院のぶどう&農泊のPRがつながったんですね」
ぶどう100kgとはすごい!安心院は農泊発祥の地でもありますもんね。
「そうなんです。宿泊するのが厳しくても、農泊の体験メニューとしてぶどう狩りをしていただけたらと思って。地域のぶどう農家の皆さんも協力してくださっています」
パンフレットには感染症対策もしっかり掲載されていますね。
「フェイスシールドや丸洗いできるステンレス製のハサミを新規購入して配ったり、カゴなどの消毒を徹底したり、私たち農園側もしっかり受け入れ態勢を整えています。だから来てくださる方にもマスク着用や手洗いをお願いして、安心して楽しんで欲しいと思っています。そもそも、農園だと密にならずに、開放的に過ごせますからね。心だけは濃厚接触で(笑)」
「非密のぶどう畑大作戦」詳しくはコチラ
合言葉は「農家の力で農村イノベーション」
シーズン以外でもぶどうを楽しめる商品を
YouTubeチャンネルを持っている「ドリームファーマーズJAPAN」。
動画の前には合言葉があるんです。実はこの日の収録の最初にもポーズ付きでバッチリ決めてくださいました。
「親指と人差し指を立てて、“農家の力で農村イノベーション”ってね」
先ほど紹介した「非密のぶどう畑大作戦」などもそうですが、ドリームファーマーズJAPANでは、生産者自らがさまざまなアイデアを形にしているんです。ぶどうを加工した商品開発もその一つ。
「例えば、こちらの干しぶどう。さっき、ぶどう農家400軒から150軒に減ったと話したでしょう。このまま農家が減って産地が干される前にぶどうを干しちゃおうって(笑)」
笑い事ではないですよ(汗)種入り巨峰やピオーネ 、シャインマスカットもあるんですね。お土産としても喜ばれそう。
安心院にはワイナリーが2つあって、その一つ「小さなワイン工房」でワインも作っていらっしゃいますよね。
「そうなんです。このワインのすごいところって何だと思います?ラベルに生産者が載っているでしょう。私たちが作ったぶどうがワインになってるというところがポイントなんですよ。顔の見えるワインですね」
本当だ!普通は複数の農家からぶどうを集めるから、誰が作ったのかわからないですもんね。
「そうなんです。他に特徴としては、加糖しないんですよ。ぶどうそのものの糖分で発酵させるから、原料には糖度が高い良質なぶどうを使わないといけない。意外とアルコール度数は低いんですよ」
一般的にワインのアルコール度数は12%くらいですがこのワインは5%、これならいくらでも飲めます!こんな風に生産者さんがいろんな商品を開発すると、地域も元気になりますよね。
「ぶどうのシーズンは7〜10月くらいなんですけど、加工品にすれば1年中売れるんですよね。いつでも目にすることで安心院のことを知ってもらえるし、旬がきたら生のぶどうを食べたいなと思ってもらえたら」
オフシーズンも安心院に遊びに来るきっかけにもなりますね。園内にはカフェもあるからドライブの休憩にもぴったりです。
「カフェは今日お休みのもっちーが担当なので、多くは語れないんですけど、ぶどうアイスや濃厚なジュースなどが味わえますよ」
ぶどう100kgプレゼントやカフェの運営、商品開発など、溢れるほどのぶどう愛を燃料に“次々とイノベーション(=新しい切り口)”を実現している「ドリームファーマーズJAPAN」。なんだか宮田さんのお話をお聞きするだけでもワクワクしてきました。次回はぜひ農泊のお話もお聞きしたいところです。
ぶどうのシーズンオフまで、あと少し。
まずは現地で採れたてのぶどうを満喫して、素敵な思い出を作ってみてはいかがでしょう。
ドリームファーマーズJAPAN
大分県宇佐市安心院町下毛1090(事務所・工房)
Tel 0978-58-3534
https://www.dreamfarmers.jp
YouTube「ドリームファーマーズちゃんねる」では、旬のぶどう情報を配信中。
ぜひチェックしてみて。
https://www.youtube.com/channel/UC4Nb_SZ3Ci0vU1p13WOg2bQ
(取材:編集部、文:ライター/大内りか)