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クールなファッションに熱い大牟田愛を忍ばせて… クリエイター岡村しんしさんの“着る”地域復興支援とは

福岡県で一番南、西鉄天神大牟田線の終点がある大牟田市。「世界文化遺産」にも認定された“炭鉱の町”で生まれ育った岡村しんしさんをゲストにお届けしました。

「デザインで世界を笑顔に」をモットーに、グラフィックデザイナーの仕事をしながらアート活動にも取り組んでいる岡村さん。特に、地元・大牟田市のモチーフをスタイリッシュに表現したTシャツ 大牟田デザインTシャツ通称“オムT”は、県外の方にもファンが多いとか。今年の7月に甚大な豪雨災害に見舞われた大牟田市に対しても、オムTを通した支援活動を行なったそうです。

クリエイターとして、そしてふるさとを愛する一市民として、岡村さんが考える街おこしについてお話をお聞きしました。

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大牟田市のソウルドリンク“オーム乳業”のロゴTシャツで登場してくれた岡村さん。この日は編集部で販売も行いました

地元愛とクリエイティブがリンクする
多彩なプロジェクトで“世界を笑顔に”

岡村さんの会社「株式会社RANDOM」のウェブサイトをのぞいてみると、まず目に飛び込んでくるのが、ニヤリと笑うロゴマークと「デザインで世界を笑顔に」というコンセプトです。ロゴやパッケージのグラフィックやウェブサイト制作、SNS向けの動画広告、大牟田市の公式キャラクターのLINEスタンプなど、実にさまざまなジャンルを手掛けているそうですが、いずれもどこか親しみやすさを感じるデザインが印象的。そのユーモアは、アート活動にもいかんなく発揮されています。

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大牟田市の「自家焙煎珈琲専門店 こうひいや」のコーヒーパッケージやみやま市の酒蔵「菊美人酒造」と大牟田市の酒屋「ナガノ」の日本酒「アマビエ」など、大牟田市の名店とのコラボも多数

―デザインのお仕事もすごい数ですが、その合間にこれまたたくさんのアート活動も携わっていらっしゃいますよね?

「そうですね。ハンドスピナーと回転寿司を合わせた“ハンドスシナー”を作ったり、乳がんの啓蒙イベント『おっぱい展』でモニュメントを展示したり、いろいろな活動に参加しています。おっぱいモニュメントはNYのイベントにも出したんですよ」

―世界に羽ばたいていらっしゃるんですね。アナバナを運営しているダイスプロジェクトでもワークショップを開いていただきました。

「子どもさん向けにオリジナルのヨーヨーを作りましたね」

―今はラジオ体操もやってらっしゃるとか?

「そうですね。ラジオ体操って“夏休み”なイメージがあるでしょう。普通の日でもラジオ体操をしてみると、お休み気分が味わえるから面白いかなと思って。5年前からライブ配信を始めたんです」

―ラジオ体操って真剣にやると汗もかくし、いい運動になりますよね。

「どんな人でもなんとなく動けますし、なかなか奥が深くて面白いんですよ。僕たちはちゃんと公認資格をとっていますので、最初から最後まで正しいラジオ体操です」

―なるほど!コロナ期で外出できない時には特にストレス解消になりますね。ラジオ体操の配信はFacebookですか?

「“tulip_taiso”というアカウントで、Instagramで配信しています。毎日朝9時から配信していますので、ぜひご参加ください」

tulip_taisoはこちらから
https://www.instagram.com/tulip_taiso/

 

―デザインのお仕事やアート創作活動のつながりで、地元である大牟田市でもイベントを開催していらっしゃいますよね?

「そうですね。きっかけは2年前かな。大牟田物産振興会の方からお声掛けいただいて、市内の若いお菓子職人さんとシャンパンの『モエ・エ・シャンドン』を絡めたイベントを企画したんです。そこから大牟田市の街づくりに携わっている人たちとつながって、いろんなプロジェクトに加わるようになりました」

大牟田愛があればクスッと笑える
謎解きのようなTシャツで地元へ恩返しを

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―大牟田愛がどんどん高まって、Tシャツまで作っちゃった、と。

「そうなんです。以前から構想はあったんですけど、一つつくってみたら反応が良くて、そのまま作り続けている感じです」

―最初にデザインされたのがこちらのTシャツですね。

「ニューヨーク、パリ、ロンドンの世界3大都市の合間に大牟田が入っています。サラッと着こなせて、なおかつ面白い感じにしたくて」

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最初に販売された4大都市Tシャツ。シンプルな中にニヤリとさせるアイデアがヒット

―すごい並びですね(笑)
こちらのデザインも気になります。この数字はなんですか?

「これも購入された後によく聞かれるんですよ。これはですね、上から836が郵便番号、真ん中の208が国道、0944が市外局番です」

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―全て大牟田に関連した数字なんですね。

「大牟田の人なら誰もがわかる。謎解きが楽しめるTシャツです」

―なるほど!面白いですね。
あと、私も思わず買っちゃったのですが、こちらのかわいいイラスト。“オーム乳業”ですか?

「この“オーム乳業”さんは、大牟田市の方なら誰もが知っているメーカーさんで、給食の牛乳でもおなじみです。こちらで作っている『りんご牛乳』が数年前に惜しまれつつ生産停止になりまして、何か記念に残したいとTシャツを作ったんです。もちろん、オーム乳業さんにお話を通してご協力をいただきました」

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Tシャツのデザインを使った缶バッジもお土産に人気。上二つはオーム乳業がモチーフ

―このTシャツは大牟田市の街おこし支援にもつながっているんですよね?

「そうなんです。“オムT”は、売り上げの10%を地元の活性化に利用しようという試みでスタートしました」

―今年の豪雨災害復興にも役立てられているとか?どういった経緯があったんですか?

「もともと7月の『大蛇山まつり』でオムTを販売していたんですが、今年はコロナの影響で中止になったんですよ。それでTシャツの在庫が100万円分くらいあったんです。そんな時に豪雨災害が起こって‥。かなりひどい状況を目の当たりにして、在庫分の売り上げは全て大牟田市の復興のために使おうと決めたんです。SNSで呼びかけたら、ありがたいことに3日で完売しました。その後の追加生産分は実費を除く利益全部を支援に回す形で使わせていただいております」

―それはすごい反響ですね!
支援金はどんな形で使われているんですか?

「まずは浸水した小学校に高圧洗浄機を3台送りました。残りはすぐに必要な物資やボランティアの方がリアルタイムで使いやすい資金にあてています。今は、僕の友人が大牟田市の災害復興グループを立ち上げたので、そちらにも支援しています」

―コロナの影響もあり現場でのボランティアが厳しい状況ですが、Tシャツを購入することで間接的にでも協力できるのがありがたいですよね。

「ありがとうございます!日頃から現地とつながっていたからこそ一番素早い支援につながったのではないかと思っています。従業員のユニフォームにすると50枚ぐらい購入いただいた大阪のラーメン店のオーナーさんをはじめ、全国の皆様にご協力いただきました」

―素晴らしいですね!それに、Tシャツ自体がおしゃれなので着ていて楽しいというのも魅力です。

「着てもらうことでちょっとでも気持ちを寄せて頂ければ嬉しいです。日常で大牟田を感じてもらえるきっかけになったらいいですね」

―このTシャツは今も購入できるんですよね?

「はい。引き続き、復興支援を続けています。Tシャツだけではなく、秋冬向けにスウェットや長袖シャツ、帽子なども企画中です。商品展開はSNSで随時発信していますので、よろしければご覧ください」

―それも楽しみですね!
これから挑戦したいことはありますか?

「今後も末永く支援できるような体制を作りたいですね。今は通販ですが、いずれは実店舗やポップアップショップで販売できれば。引き続き、面白いと思うものを送り出していきたいです」

 

イキイキと語るその表情は、「世の中を笑顔にする」という会社のコンセプトそのものを体現しているよう。ワクワクするような試みをたくさん世に送り出している岡村さんの動きにこれからも目が離せません。

まずは、ワードローブに大牟田愛をお一ついかがでしょう?

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アナバナ編集部で開催したTシャツ販売会。お客さんも交えて、大牟田の“O”ポーズで記念撮影

株式会社RANDOM
https://random-product.com/

OMUTA DESIGN Tshirt オンラインショップはこちらから
https://www.omu-t.com/

 

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(取材:編集部、文:ライター/大内りか)


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