うきは市

[出品者情報]

うきは市
福岡県うきは市浮羽町朝田582-1(うきはブランド推進課)
電話:0943-76-9059

[商品]

  • すっぴんドライフルーツ(うきは百姓組)[農産加工品]
  • ミディトマト(うきは百姓組)[青果]
  • お野菜ベーグル・野草ベーグル・果物ベーグル(Plantago)[農産加工品]
  • べにふうき粉末緑茶、べにふうき緑茶ティーバッグ、特上煎茶、べにふうき紅茶(堀江銘茶園)[農産加工品]
  • たまご(ゆむたファーム)[農産]

うきはの食の底力

うきはの食は忙しい。“龍の背骨”のような東西に約30kmのびる耳納連山は語らずとも豊かさを湛え、筑後川を中心に広がる平野はどこまでも広い。恵まれた環境を活かして、農業、畜産、果樹栽培が盛んに行われている。訪れるたびに、道の駅やまちのスーパーに立ち寄っては、旬の食材を買い込まなくてはいけない。

そんな数多の食から、今回出品いただく商品とはどんなものか? アドバイスをくださったのは、うきはの山間部小塩地区で自然農平飼いの養鶏を営む「ゆむたファーム」の高木亜希子さんだ。亜希子さんは、ゆむたファームの仕事を手伝いながら、自らも企画者となり、うきはの食を広める一人である。

「最近、地元の人が、地元の食材を使って商品を作ったり、コラボしたりする動きが盛んなんですよ」と、亜希子さんがまず紹介してくれたのは、新川地区の『 Plantago(プランタゴ) 』だ。レシピを考えるのは野菜料理家のゴトウタカコさん。店を切り盛りするキヨさんと共に、旬の食材を使ったメニューをふるまう。こちらで毎朝仕込まれるのが、野菜、果実、野草を使ったベーグルだ。筑後川支流を面前に流川地区で収穫される流川蓮根、うきは百姓組のメンバー石井さんのミディトマト、近隣で採れた野草など、選び抜かれた食材が、むっちりした生地にたっぷり練りこまれている。

「味付けはなんにもしないほうが美味しいんだよ」と口グセのように話すキヨさん。こんがり焼き上げたベーグルにかぶりつくと、うきはの旬が勢い良くはみ出した。

ベーグルの種類は豊富で、どれもお二人が熱心に選んだ食材ばかり。「ベーグルになったのはたまたま。美味しい食材を食べてもらうためにどうしたらいいかっていうのが先」というくらい、食材ごとに特徴を吟味し、下ごしらえに手間をかける。写真は店内で食べられる『ベーグルプレート』

ホクホクした食感の流川蓮根。Plantagoではまず食材を50度洗いする。そうして食材の味を引き出してから、スチームやドライにしてベーグルに練り込んでいく

炊きたてごはんに笑顔のおふたり。コースメニューで出されるゆむたファームのたまごと親鶏肉を使った「ゆむた丼」をふるまってくれた。ちなみに、”Plantago”は英語で野草の“オオバコ”の意味

一番美味しい時に届ける

Plantagoでツヤツヤと存在感を放っていたミディトマトは、うきはの若手農家で結成した「うきは百姓組」の石井さんが作ったものだった。トマト農家の二代目として、主力商品『桃太郎』の傍ら、百姓組の商品として、ミディトマトを作っている。

石井さんのハウスを訪ねると、20度に保たれた室内では、赤・黄・紫のミディがごろごろなっていてトマト好きの身としては、それは夢のような場所だった。

種から育てる石井さんのトマトは、8月に種をまき、10月ぐらいから半年間かけて収穫する。ミツバチに受粉をお願いし、太陽の光と程よい湿度の管理をする。「石井さんのミディトマトはどうしてこんなに美味しいんですか?」とトマト好きらしい素直な質問を投げかけてみると、「樹上完熟させるからです」と自信たっぷりに答えてくれた。百姓組の商品(生鮮)は、基本、お客さまに直接届けるスタイルで販売される。だから、市場に出るまでのタイムラグを省くことができ、一番美味しいタイミングでお客さまの元に届けられるのだ。ありがたいことだ。

百姓組の立ち上げメンバーの一人、イチゴ農家の佐藤さんの元にもおじゃました。佐藤さんは「あすかルビー」という奈良県品種のいちごを栽培している。宝石のような見た目の美しさと高い香りが特徴の「あすかルビー」1品種に絞って、ハウス2棟分をお一人で管理されている。温度をあげずにじっくりと時間をかけて育てるいちごは、収量が減るものの、密度が高く良い状態で収穫ができるのだそうだ。

百姓組では、オリジナルの商品として、すっぴんドライフルーツも作っている。ドライいちごのオススメの食べ方を聞いてみると、「チョコと一緒に食べるのが好きですね。ヨーグルトに混ぜてもいいし、紅茶に浮かべるのもかわいいと思います」と佐藤さん。がっしりとした見た目に反する理想的な乙女回答に、嬉しくなった。

鈴なりのミディトマト。”ミディ”はミニと普通のトマトの中間の大きさ。食べ応えもあり、調理のしやすい絶妙なサイズ。うま味が凝縮したドライミディトマトも出品予定だ

上へ上へと伸びていく苗は収穫しながら剪定していく。気候に合わせた温度・湿度の管理、偏りなく光を当てるために蔓のバランスを整えるなど、手間と知恵をかけてこそ美味しいトマトができる

「写真慣れてないんです」と照れながら取材に応じてくれた佐藤さん。百姓組を結成して良かったことは「お客さまの顔が見えること、イベントなどで『美味しい』と言ってもらえるとモチベーションがあがります」

訪問した2月は、ちょうど収穫と収穫の間の端境期。いちごの実がなる前の“葉かき”と呼ばれる作業中だった。出荷分はすでに注文でいっぱいという佐藤さんのいちご。果たして皿の上の九州に登場するのだろうか?

自然の循環で生まれるたまご

2012年にアナバナの正直ブランドで取材するために、道に迷いながらたどり着いた「ゆむたファーム」を再訪した。今回、ゆむたのたまごを出品してくださるのだ。嬉しいなあ。なんとか迷わず到着すると、相変わらず雄大な佇まいのゆむたファーム。亜希子さんの夫、ファームの主高木雄治朗さんと息子のハルくんが出迎えてくれた。

ぬかやおがくず、時季にはたけのこなどを混ぜて発酵させた餌を鶏たちがついばむ。腸の働きが活発な鶏たち。およそ4時間後には糞となる。鶏たちがそれをふみつぶすと、ちょうどいい頃合いの肥料ができる。肥料は鶏舎横の畑にまかれる。野菜は鶏糞と太陽と高地の寒暖差が生む朝露を養分に、すくすくと育つ。再び鶏がついばむ餌ができた。そんな具合に、ゆむたファームの自然循環型の平飼いたまごがこの日も生まれていた。

「この間の大雪の時に鶏がぜんぜんたまごを生まなくなったんですよ。それで、考えてね。エサに“梅しそ”を混ぜたらこれが効果てき面でね」と嬉しそうに話す雄治朗さん。いつお話してもその思慮深く鶏と向き合う姿勢に、頭が下がる。

発酵した餌はいかにも栄養のありそうないい香りがする

レモン色のぷっくりした黄身が想像できる生みたてのたまご。できるだけ直接届けたいと、一部は地元スーパーや道の駅に卸し、注文分は雄治朗さん自ら配達に奔走する

「もうすぐ小学生!」とハルくんも野菜収穫のお手伝い。畑にはターサイやチンゲン菜などがもりもり育っていた

月に1回程「高木家の朝ごはん」の会をひらいている亜希子さん。

「朝からわざわざうきはに足を運んでもらうというのがいいじゃないですか。ごはんを食べたあともまだたっぷり時間があるから、そのままうきはをウロウロしてほしいんです」と話しながら、取材二日目の朝に、朝食をふるまってくれた。

この日のメニューは、「堀江銘茶園」のべにふうき粉末緑茶、吉井町の人気店「もっかのパン」の食パン、「Plantago」のベーグル、Plantagoキヨさんも絶賛の「松野牧場」の濃厚牛乳。焼いて軽く塩を振った流川蓮根。ターサイのオムレツ(ゆむたのたまご使用)、流川蓮根のスープ、トッピングに「ネコノテシャ」のジャムなどなど。主菜・副菜・汁物・デザートに至るまでうきはづくしのごちそうだった。

早起きをしてでも食べに行きたくなるうきはの朝ごはん。皿の上の九州では、朝の食卓におすすめの食材とレシピをご提案いただける。

こんな素敵な朝食なかなか作れませーん。器も地元や近郊の作家さんを多く揃えている亜希子さん。ぬかりない高木家の食卓である

「堀江銘茶園」のべにふうき粉末緑茶。粉末はそのまま舐めても美味しいほど、香りと味がしっかりしている。ミルクティでいただくのもおすすめ

亜希子さんは関東のご出身。夫・雄治朗さんの脱サラ、新規就農を機にうきはへ移り住んだ。外からの視点があるから、このうきはの底知れぬ食の魅力に気づくことも多いはず。だからこそ、それを知ってもらいたいと思うのではないか

うきはに行くと必ず立ち寄る「耳納の里」。地元の新鮮な野菜や加工品が豊富にそろう

関連する記事