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「おにぎりバー〜食と道具編」では、おにぎりバーの中でも、当日使われた食材、料理とそれにまつわる道具に焦点をあててご紹介していきます。
調味料マイスターである神谷さんならではの「食」に対する視点を、ご出身である宇佐の郷土料理を皆で食べる体験を通じて教えて頂きました。
道具のこと
今回のテーマに合わせて、神谷さんが用意したのは麹蓋(もろぶた)という木箱です。
麹蓋(もろぶた)は、お悔やみの席で食事をとる際に料理を運ぶ道具として使われていましたが、現代では、親戚の家に集まることも少なくなり、使われる機会もずいぶん減りました。子どもの頃に親戚の家で目にした麹蓋とそこに並ぶ食事の美しさが印象に残っているという神谷さん。麹蓋に盛られた料理を皆で囲むと、自然に会話も生まれ、にぎやかで楽しい食事になりました。
味覚のこと調味料のこと
「おにぎりバー〜神谷さんのおもてなし編」でも紹介しましたが、「甘み」「辛み」「うまみ」など一度の食事で様々な味覚をとりいれると、味のバランスがとれてより美味しくなると教えていただきました。
神谷さんのご出身の大分県宇佐の郷土料理をはじめとした今回の料理をご紹介します。
まずは、麹蓋に並ぶ色とりどりの料理たち。
「にしめ」
大分県産の「干ししいたけ」は、うまみが一層引き立つ様に、国東半島の「菜の花オイル」と「魚のうまみ」をしみ込ませて味付けをする「うま煮」にしてありました。
神谷さんがトーストがわりにいただくという「高野豆腐」は、ミネラル、たんぱく質、カルシウムがたっぷり。何と言っても体に良い食材です。
「あげ」は甘く煮付けてありました。
「酸っぱい」の要素にはお漬け物です。
「一六漬け」に「奈良漬け」そして、味麹につけ込んだ「紅芯大根」はサラダ感覚でいただけます。
「唐揚げ」
大分名物といえばやっぱり鶏の唐揚げですね! 大分県の宇佐や、中津は今や唐揚げの町と言っていいほど唐揚げ専門店が多く存在しています。今回は、神谷さんの大ファンだという宇佐の唐揚げ専門店「とりあん」の大隈社長が、この日のために福岡市内の店舗から出来立てを届けてくださいました!
そして、主役の「おにぎり」です。
しっかり噛んで、米本来の甘味を感じてほしいと、ごはんは少し固めに炊き上げられています。おかずと一緒に色々な表情を楽しめるよう、まずは具材の入っていないシンプルな白おにぎりを用意しました。
もう1つは、少し歯ごたえも残る玄米おにぎりです。「大分三井」という品種のお米で、一度途絶えてしまったこの希少な酒米は、宇佐の「小松酒造」という酒蔵で、「豊潤」というお酒に醸造されています。
大変希少なお酒にも関わらず、なんと嬉しい事に前日絞りたてを今日の為に用意してくださっていました。
これには、会場の皆様も大喜びです。
さらに、絞った酒粕を使った「粕汁」をふるまって頂き、余すところ無く「大分三井」を楽しむ事ができました。
「にぐい」
にぐいとは、宇佐に伝わる郷土料理で、通常の煮物よりも具材を小さく一口サイズに刻み、だし汁たっぷりで煮たものです。一度目は汁物として頂き、時間が経って汁気が無くなってきたものを「二度目」と数えて「二度食う」ことから、「にぐい」と呼ばれてきました。
おにぎりを引き立てる漬物も4種類用意しました。
この日、出されたお野菜は全て、ohana本舗の有機野菜をつかっています。大根のしょうゆ漬け、菜の花のお漬け物、高菜漬けなど、皆で仲良く分け合って食べてねと、用意してくださいました。
宇佐の上野水産で水揚げされたものです。勝ちえびの旨味も、白いごはんにぴったりでした。
おにぎりは必ず自分の手でにぎること、みんなで会話をしながら食事をすることが日々の食事を豊かにすること、そして、調味料の味覚をうまく取り入れながらより美味しくごはんを食べるといった、調味料マイスター神谷さんならではの愛情たっぷりなお話を聞くことができました。
「食べる事」は人間にとって必要不可欠な事。毎日のことだから自分流の向き合い方をもって楽しんでいきたいですね。
そんな神谷さん、今後も「おにぎり場」と称しておにぎりを囲んだ食にまつわるパーティーをしたいと意気込んでおりました。これからの活動にも注目です。
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編集部:ワタナベ