会場に漂う爽やかなカボスの香りと共に、みなさんをお出迎えした当日。まずは、テーブルに置いたくし切りのウェルカムカボスを味わっていただきました。「そのままでもおいしい」「食欲がわいてきた!」との声が上がる中、厨房では、料理を担当する小林孝彦さんがテキパキと準備を進めます。
小林さんは、東京でイタリアンを学んだ後、故郷である竹田市に戻ってきたUターン組です。2012年の九州北部豪雨で水害に襲われた、竹田市の復興応援活動を機に帰郷されました。現在は竹田の中心地にイタリアンバル「Osteria e Bar RecaD」を構え、地元の人と県外の人が自然に交流できるような場を目指し「竹田をおいしく味わってっもらいたい」と、腕を奮っていらっしゃいます。
竹田市の食材を知り尽くし、野菜づくりに携わる友人も多いという小林さん。お店でもカボスは料理やドリンクに取り入れていますが、今回は、生産農家の和田さんから「カボスの魅力伝達料理人」の命を受け、「皮も果汁もとにかくたっぷりと使って、カボスがさまざまな料理に合うということを提案したい」と、張り切って挑んでくださいました。
カボスの酸味が
食材の持つ甘味を引き立てる
前菜2皿は、盛り付けの最後にカボスを絞りかけて仕上げました。
くり抜いたトマトの中に、トマトとカボス果汁で作ったゼリーを流し込んだ「カボスとはちみつのゼリー トマトソース」は、カボスの酸味によってトマトの甘味が引き立ちます。カルパッチョは、ドレッシングで味付けしたカンパチの上から全体にカボス果汁を絞りがけ。ドレッシングのオイリーさが消えてサッパリとした口当たりに。
「まずは果汁をいろんな料理に絞ってかけてみてください。刻んだ皮もふりかけると、香りがすごく立ちますよ」
レモンやお酢の代わりに使うのもおすすめ
「絞りかける以外に、いつも使っているお酢やレモンをカボスに変えてみるのもいいと思います」。ツナとコーンを乗せた揚げピザには、お酢の代わりにカボスを使用した小林さんお手製のマヨネーズが使われていました。
メインの豚肉のローストでも、高菜の種を使った自家製マスタードづくりの際、お酢の代わりにカボスを使用。ピリッとした辛味の中に、やさしい酸味が感じられます。
「もっとカボスの酸味を味わいたい」という方のために、テーブルには追いカボスもご用意。みなさん思い思いにカボスを搾りかけながら、味変を楽しんでいました。
ソーダ、カルピス、ビールにも。
なんにでも合うスキッと爽快カボスドリンク
取材の際に訪れた小林さんのお店には、カボスを使ったドリンクがたくさんメニューに並んでいました。嬉しくて全種類試飲した編集部ですが、なかでも特に気に入った、カボススカッシュ、シトラスカルピス、カボスビールを会場にもご用意。竹田の人たちが愛飲する萱島酒造の麦焼酎「清明」は、カボスを加えてオリジナルチューハイに仕上げました。
アルコールはフレッシュで飲みやすくなり、ソフトドリンクは後味に爽快感が加わります。ジンジャーエールや紅茶など、まだまだバリエーションがありそうで、いろいろな飲み物でチャレンジしてみたくなりました。
竹田の食材のおいしさを広めながら
もっともっと竹田を面白い町にしたい
カボスはもちろん、今回のメニューにはトウモロコシや水なす、ネギをはじめ竹田で収穫された野菜が数多く取り入れられました。果皮がとても薄くとろけるような食感のミニトマト「プチぷよ」、濃厚な味わいのカボチャ「バターナッツ」、温泉熱を利用して育てた「温泉パプリカ」など、珍しい野菜も味わうことができ、竹田がいかに食材に恵まれた土地であるかを改めて実感できたような気がします。
小林さんは「料理を通じて竹田の良さを伝えていきたいし、いろいろな形で地元をもっと楽しく盛り上げていきたいです。カボスも竹田に来ればすごく安く手に入るので、ぜひ温泉に入りがてら遊びにきてほしい」と、コメント。
生産者と料理人、料理人とその味を求めて集まるお客さん。人と人が心地よく繋がり、食の感度が高い人もきっと満足できそうな町・竹田。ぜひ泊りがけで訪れて、温泉や自然散策、グルメを楽しみましょう。もちろん、お土産にカボスをたっぷり手に入れるのをお忘れなく!
(取材・文:ライター・吉野友紀、写真:勝村祐紀)