つるりとした喉ごし、柔らかく包み込むような透明感。そしてほのかな甘み。
繊細な味わいが魅力の和食の世界で、古来から使い続けられてきた “葛”が今回の主役です。
通常は葛粉として用いられ、葛きり、葛餅、あんかけなど、さまざまな料理でお目にかかる食材ですが、本来の姿は山々に自生するマメ科のツル植物。温暖な気候の中で旺盛に育つ葛は、私たちにとっても身近な野草です。
その反面、混ぜもの無しで本葛粉まで精製するには高い技術力と時間を要するため、純粋な葛粉と言えるものは数えるほどしか無いのだとか。
今回のゲストは、そんな数少ない純国産葛粉を200年以上に渡り製造し続ける秋月「廣久葛本舗」の10代目・髙木久助さんと弟子の川原洋平さんです。
身近な野草としての葛と、和食の中で生き続けてきた食材としての葛。
二つの魅力を一度に味わう“葛バー”を開催します。
30〜50年ものの根を掘り出し
職人の技で洗煉された葛粉へ
実は、身近な野草で、公園のフェンスや道路脇など身近なところに、自生している葛。真っ白い葛粉になるのは、デンプンを蓄えた根っこの部分です。「廣久葛本舗」は、自然深い鹿児島で30〜50年もの間成長を続けてきた葛の根っこを原料としています。
葛粉作りは経験と天性の勘が必要とされる世界。山の奥深くに分け入って上質な葛を探し出すのは“掘り子”と呼ばれる職人さん達です。人の胴体ほどもある太さの葛をシャベルとクワだけで掘り起こします。形を保ったまま収穫するのはかなりの根気を要するそう。
掘り子さんから届いた葛の根っこを粉砕してデンプンを抽出。醤油のような色合いのデンプン原液を真っ白になるまで何度も冷水にさらした後、秋月に湧く清らかな冷水と独自の製法「舟入れ・舟あげ」で葛粉に仕上げます。その後、蔵で半年から1年間自然乾燥させた後、店頭に並びます。
収穫から精製までトータル1年半から2年の歳月がかかる上、なんと100kgの原料から約7kgしか採れないとか。10代に渡って一子相伝で伝えられてきた葛粉はまさに“白い金”。日本各地から買いに訪れる人が途切れないのも納得です。
当日は、髙木さんによる「廣久葛本舗」のドラマティックな葛づくりのお話に加え、誰でも簡単に挑戦できる「葛練り」の実演もしていただけますよ。
栄養満点な葛の花や葉を使った
フード&ドリンクでピチピチに
葛は昔から「葛根湯」として風邪や体調不良の時に飲まれていたという万能食材。根っこのデンプンを比べてみると、小麦や米、ジャガイモなどよりも粒子が小さく、消化吸収しやすいという特徴があるそうです。さらに、葉や花にも女性ホルモンに似た働きを持つイソフラボンが豊富なので、肌のハリやツヤを保ち、加齢によるトラブルを抑えてくれるんですって。これは女性の皆さん必見ですよ。
当日は、野草料理研究家のなかおあやさんと、葛を中心に野草もアレンジした創作葛メニューをお届けします。秋の実りをぜひ食卓で感じてみませんか?
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◯テーマ 「葛をこうして食べたらバーⅡ」
◯日 時 9月20日(金)19:00−21:30(受付開始 18:45より)
◯場 所 アナバナ編集部(福岡市博多区千代1-20-14 ダイスプロジェクト内)
◯参加費 3000円(税込/フード、ドリンク1杯付)
◯定員 50名 ※要予約
○ゲスト 廣久葛本舗10代目髙木久助さん、川原洋平さん
○料理担当 なかおあやさん
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要予約!参加希望の方は、申込フォームよりお申し込みください。
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(取材・文:ライター・大内理加、写真:編集部)