穴バーレポート ACTIVITY

豊かな自然と人の情熱がおいしさの秘密 海苔メン達が作る“一推し海苔”を食べたい!

5月に開店した「有明海苔ー」会場においしい海苔を届けてくれた大川漁業協同組合研究会の皆さんにオリナルブランド大川産一番摘み海苔『初摘海(はつみ)』シリーのことや川漁業協同組合研究会の活動についてお話をお聞きしました

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事前インタビューに応じてくださったのは息もぴったりなこちらの4人。右から、⻄義文さん、⻄好治さん、古賀弘彰さん、古賀哲也さん

約半世をかけて磨き上げた技術 
一枚の海苔で味わってほしい! 

当日参加いたいたのは、現会の古賀弘彰さん、前会の古賀哲也さん、会員の義文さん、健一郎さんの4人の漁師さん。さらに穴バー当日は残念なら欠席となりました、元会員の好治さんにもお話をお聞きしました
皆さん
漁師歴1020年ですが、海苔業界ではまだ若手に入るのだとか収穫や種付けなど海苔漁の最前線で活躍する一方で、川漁業協同組合研究会としてSNSやイント販売なの PR にも取り組んいるそう
実は、福岡県の有明海区でも15の漁業協同組合あって、それ研究会が活動しています大川漁業協同組合研究会は、組合の中でも年部にあたる会員参加しています。発足は我々の2 代前なの、昭和37年頃ですね。大川市組合ができたのは、そ10年くらい前。それまは牡蠣と海苔を半々くらい養殖していたの、水害牡蠣育たなくなって海苔一本になったそう
大川市で本格的に海苔を作り始めて約60年とは驚きです研究会自体もかなり長く続いていますが、最近では地域のイベントも多く、中には毎年恒例になっているものも94月が漁期なので、シーズンオフになる夏に広報活動をしています。いろんなイベントや産直市で販売したり、2月の恵方巻きの時期に合わせて大川市の幼稚園や小学校に海苔を配ったり。あとは、4月に大川漁協うまい海苔コンテスト』を開催しています」

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節分シーズンには恵方巻き用の海苔を漁師さんが直接お届け。子ども達も毎年楽しみに待っているそう(写真:大川漁業協同組合研究会Facebookより)

うまい海苔コンテストとは、海苔好きには見過ごせないイベントですよねどんな内容か研究会の皆さんに教えていただきました。
大川漁協には12の生産者が在籍していますが、それぞれでその年一番の海苔を出品するんです。誰のものか分からないよう匿名にした海苔を組合内で試食して上位3名を選び、その3名の海苔をイベントに出します。一般のお客さんに食べ比べてもらって最優秀賞が決まるんですよ。ちなみに、今年の最優秀賞は古賀正八さん。この道50年の大ベテランで、4年連続で3位内にランクインしています」

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うまい海苔コンテストの投票の様子。実際にその場で食べてもらい、一番おいしいと思った海苔にシールを貼ってもらう(写真:大川漁業協同組合研究会Facebookより)

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穴バー当日には、古賀さんが最優秀賞を獲得した海苔も販売。あっという間に完売でした

名人の海苔ぜひ食べてみたい!とはいえ同じ漁区でそんなに味の差が出るものでしょうか。
「有明海の海苔は海に支柱を立てて網を張り、そこで海苔を育て
ています。潮の干満の差で網が海水に隠れたり干されたりして味が深まるんですが、乾燥させすぎても干上がってしまう。支柱に網を張る高さでそのバランスが変わってくるので、漁師さんの技術の見せ所なんです。漁区は毎年くじ引きで決まるので、ずっと同じ場所をキープすることもできませんしね」
う〜ん
毎年漁区が変わる中での4年連続入賞って本当にすごい。組合内で切磋琢磨することで、全体のモチベーションも上がりそうですね。だけではなく自分であれこれ試したり、仲間内で情報を交換したりと、みんな工夫しています」と研究会の面々が教えてくれました。

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最優秀賞の古賀正八さん。海苔コンテストでは400票中170票を獲得!「次は5年連続を目指してます。そうしたら殿堂入りでトロフィーでもほしかね(笑)」

さらに、ベテランの漁師さんたちは古賀さんの代から販売を始めたオリジナル商品も応援してくれているそう。「もともと研究会のメンバーだった好治さんのアイデアで販売を決めました。通常、私たちが作った海苔は、他の組合と一緒になって『福岡 有明海苔』として納品されるんですが、やっぱり大川の海苔を知ってもらいたいという気持ちがあって」

そういえば、研究会の取材で興味深い話しをお聞きしました。同じ場所で採れる海苔でも摘んだ時期で味わいが変わるのだそうです。なんでもお茶と同じく、最初の一摘みはその味がまるで違うとかそこで、“初摘み”に注目して研究会でブランド化を進めたのが「初摘海(はつみ)」です。最初にアイデアを出した西さん曰く「旅行先の旅館やホテルの朝食に海苔が出てくるでしょ。でも、その海苔はほとんどこだわったものがありません。皆さん、本当に美味しい海苔を食べたことないんじゃないかと思って」

たしかに、海苔って食卓の主役として意識したことがなかったかも。実際に「初摘海」をいただいてみると海苔の味わいも香りもしっかり出ていて、今までの海苔のイメージとは全く違います。まさに主役級の存在感!
「『
初摘海』は、一年で採れた中で一番いいものを使っています。大川の海苔は、2回収穫があり、1回目の秋が旬なのですが、実は2回目に採ったものの方が味がいいんです。2回目だと冬の寒さで鍛えられる分、味に甘みが増すんですよね。あと、本当にいい海苔はお湯に入れると溶けちゃうんですよ

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穴バーでは海苔ができるまでをスライドとともに説明。会場に詰めかけた海苔ニストが食い入るように聞いていました

その溶ける性質を利用して、出汁として味わっているのも漁師さんならではのアイデア。時間がない時は刻んだ海苔をお湯に入れて、鰹節と醤油を少し加えるとお吸い物代わりになります。インスタントラーメンにもよく入れますよね。スープが格別においしくなるんです。なにせ海苔には、3大うま味成分が入ってますから」「うちの子もご飯を食べん時は、海苔を振りかけてやるとバクバク食べてます。その代わり、スーパーで売っている海苔はおいしくないけん食べんち言いますけど」 

大川オリジナルブランドの初摘海大川漁協と市の観光協会だけで販売されていますが、まれに道の駅やイベントで出品すること。今はSNSなどでも告知をされているので、海苔好きの方はそちらをチェックしてみるのもいいかもしれませんね。「今後は関東や関西にも販売できたらと考えています。あ!穴バーでも販売しますよ」

「海苔漁って、農業みたいなものなんです 
休みなくハードだからこそ喜びは大きい 

海苔の栽培は体力勝負です。有明海は穏やかというイメージがありますが、干満の差があるし、小さい船の上で動くので揺れやすい。他の海苔生産地は海が荒れた漁に出ないんですよ。でも有明海の漁師はシケても海に出ますシーズン中は休みなく海苔の栽培にかかりきりなので、漁というよりも農業に近い感じかな。収穫時期には徹夜することもあるし、ハードですが、生産者の皆さんが後押ししてくれるし、やっぱり食べて美味しいと言ってもらえると疲れが吹っ飛びます!」そんな風に語ってくれた研究会の皆さん。
今まで
当たり前のように食べている存在でしたが、様々な苦労を重ねて食卓に届いているんですね。

この美味しさは実際に食べてみないと分からない…。
という事で、次回、
フレンチ風に生まれ変わった有明海苔穴バーの様子をお伝えします!

(取材・文:ライター・大内りか、写真:末次優太)

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