「黒江」と書かれたカラフルTシャツに「塩」ハチマキ、缶バッジじゃらづけの帽子、西郷どんのようなお顔と陽気な鹿児島弁・・・。
一度見ると絶対に忘れられそうにないこちらのお方は、鹿児島県姶良市で塩づくりを営む「スタディーカンパニー押(おさえ)」黒江学さんです。アナバナでは黒江さんをゲストにお招きして、塩トークとお料理が楽しめる「塩炊きバー」を開店しました。
全身のあらゆるところが会話のタネになりそうな黒江さんですが、これも策略なのか!?黒江さんがハデハデなのは何でなの?どうして塩を作ってるの?などなど、今日は謎多き男 黒江さんについて掘り起こします!
■お塩について知りたい方はこちら
塩を通して誰かと食卓を囲む楽しさを伝えたい
黒江さんは鹿児島県姶良市のご出身。地元に塩炊き釜をつくり、汲んできた錦江湾の海水を使って塩づくりをされています。まず気になるのは、なぜ塩を作るようになったのかということです。
「うちのお母さんのおばあちゃんがですね、奄美大島で塩づくりをしてたんですよ。その思い出話をお母さんがしてくれたのがきっかけです」
お母さまと一緒に塩づくりができればと思い立った黒江さんですが、その夢が実現する前にお母さまが他界されます。自分の作った塩をお母さまには食べてもらうことができなかった。その悔しさをバネに、「母ともっと塩の話や昔話をしたかったんです。でもできなかったので、みなさんには私のお塩で家族や大切な人と、ああでもないこうでもないという会話をしてほしいなと思っています」と力強くお話してくださいました。
塩づくりだけでなく、工房見学や子ども向けの塩づくりワークショップなどもされている黒江さん。そうした活動や『大切な人と大切な時間に使う塩』という黒江さんの塩のコンセプトも、お母さまへの思いを大切にしたい、たくさんの方とも共有したいという気持ちがこもっているからこそ。
私が初めて黒江さんにお会いした時にも、「鹿児島にこんな塩づくりをしてる人がいてさ、すごい派手な格好でめちゃくちゃ面白くて、塩も美味しかったんよー!」と、いろいろな人に話したのを思い出しました。
塩炊きバーの会場設営中「これでお客さんがなにかツッコんでくれるでしょ」と、会話のタネになる小道具をところどころにしかける黒江さんのお茶目な工夫も、これをきっかけに会話をたくさんしてほしいという思いからきているのだなと思うとなんだかホッコリします。
福岡でも黒江さんの塩づくりがはじまる!
実は黒江さん、現在鹿児島だけでなく、福岡は福津市の恋の浦海岸の海水でもお塩を作られています。
運が変わったり良い事があったりした時には、そのお礼にご縁のある神社へ塩を納めているという黒江さん。同市・宮地獄神社の宮司さんに塩を作らせてほしいとアプローチしたのだそう。すると宮司さんから地元の海水を使った塩を使いたいとの声を受け、神社近くの恋の浦海岸の海水を使って、清めのお塩を作ることになったと言います。
現在は恋の浦海岸の海水を汲んでは鹿児島の釜で炊き、少しずつ恋の浦海岸の塩を製作中です。3月以降には福津にも工房を設け、本格的な塩づくりがはじまります。福岡の海水を使った黒江さんのお塩が味わえるようになるなんて、ファンとしてはとても嬉しいこと。
ほかにも、柳川の有明海の塩を作って、有明海苔と一緒におむすびを作ろうというイベントも計画中だとか。「海はつながっていますからね、福岡・佐賀・長崎・熊本の4県で有明海を盛り上げたいです!」と黒江さん。
「一緒に何かやりたい」と思わせられる明るくて遊び心溢れる黒江さんのまわりでは、続々と面白い取組みが生まれていきそう。アナバナでも何が一緒にできるだろうかと、妄想ふくらむ夜でした。
■黒江さんのお塩を食べてみたいと言う方は、ぜひ黒江さんのFacebookにご連絡を!
次回の記事では、「Food Carnival」のお二人に作っていただいた塩料理についてご紹介します。
(文:編集部 天野加奈、写真:末次優太)