調味料の「さしすせそ」の1つとして、生活に欠かせない「お塩」。
あまりに身近すぎる素材がゆえに、どうやって作られているのか、どんな違いがあるのかなど、意識したことがある方は少ないのではないでしょうか?
そんな塩のあれこれを改めて知るべく、そして、鹿児島で出会った熱き塩男・黒江さんのお塩を味わい、その美味しさをもっと多くの方へ知っていただくべく、アナバナ編集部では「塩炊きバー」を開店しました。
バーを通して知った塩のこと、黒江さんのこと、塩料理のことについて、3本立てでご紹介していきます!
塩はどこから来てどこへ行く?
「そもそも、お塩の原料ってなんだっけ?」
今回私も、そんなところからお塩について考えることになりました。
塩の原料は大きく3つで、海水が固まってできた岩塩、塩分濃度の高い湖から取り出した湖塩、そして海水から作られる海塩です。海のイメージが強い塩ですが「山塩」と呼ばれるものもあり、これは大昔の海水が、温泉などの地下水に溶け出したものとされるそう。いずれにせよすべて、海水が姿を変えたものです。
岩塩も塩湖もない島国の日本では海塩が一般的ですが、世界的に見ると岩塩が塩生産量の6割を占めるのですって!そう聞くと世界の塩事情も気になってくるものです。
黒江さんの塩づくりの方法は、「釜で海水を煮詰める」という、シンプルで手間がかかり、大量生産のできない平釜製法です。この製法で作った塩の結晶は、科学の力を使った塩づくりでは決してできない形になり、溶けやすく粉と混ざりやすいなどの特徴が生まれるそう。
実際に目の前で見せてもらった塩炊きの実演では、海水を煮詰めるうちに表面がキラキラとし、鍋の下のほうから塩が生まれてくるのを見ることができました!
塩ができることを「神秘」という、黒江さんの気持ちがわかるほど不思議な光景。いつも何気なくキッチンに置き、使っている塩が、海から生まれてきているんだなと実感する瞬間でした。
1塩5役?歯磨き粉やシャンプーにもなる
暮らしの影の立役者
お塩の役割といえば、「しょっぱさを加える」「甘みを引き立てる」ためにお料理に使われ、時には身を清めることにも使われますよね。
今回さらに驚いたのは、黒江さんがおみやげにとご用意してくれた「塩の歯磨き」「頭と身体を洗う塩」「にがり」の3点。
実はお塩は歯に使って歯茎を引き締めたり、シャンプーがわりやボディーソープがわりに使ったりできるのだそう。黒江さんいわく、にがりは入浴剤として使うのもおすすめなんだとか。
お塩ってまさに暮らしの影の立役者。使い方をたくさん知って塩上手になれば、暮らし上手にもなれそうです。
「塩なんてどれを選んでもそう変わらないだろうな」と、なんとなく塩を選んでいた私ですが、黒江さんの塩を使い始めると料理がぐんと美味しくなり、塩の偉大さと塩にこだわる楽しさに目覚めてしまいました。少しこだわってみるだけでも、大きな違いが感じられるはず。
あなたも今日から塩上手を目指してみてはいかが?
(文:編集部 天野加奈、写真:末次優太)