7月の穴バーは「4種のオクラ」をテーマに、糸島で年間200種類もの野菜を育てる「鍛治農園」鍛治邦之さんと開店しました。
赤いオクラに10角形のオクラなど、一般的にはなかなか見かけることのない珍種揃い。果たしてどんな味がするのでしょうか?レポート前編では、意外に知らないことだらけのオクラの豆知識と、鍛治さんの畑への思いをご紹介します!
アフリカでは茎が腕の太さに!?
オクラマスター鍛治さんに訊く誰かに教えたくなる豆知識
突然ですが私、編集部天野は、ひそかに鍛治さんをオクラマスターと呼んでいます。
それはオクラに限っての話ではないのですが、鍛治さんの栽培方法への探求心がとにかく強いから!オクラを育て始めた最初の数年は、1年間に10〜20通りの栽培方法を試し、一番最適な栽培方法を編み出したのだそうです。
オクラマスター鍛治さんが教えるオクラの豆知識は、どれも初めて耳にすることばかり。
オクラの原産地アフリカでは、冬を越して大きく、茎は腕くらいの太さになること。寝坊して朝の収穫時間に数時間遅れるだけで、成長しすぎて固くなってしまうこと。台風などでストレスがかかると、吹き出物のようにオクラのお肌にもぼこぼこができることなど。
食卓にも頻繁に出てくる身近な野菜だからこそ、初めて知る豆知識は新鮮!今日からオクラ料理を見かけるたびに思い出しては、誰かに言いたくなってしまいそうです。
糸島の海藻もオクラの旨味に!
鍛治農園の野菜にはとにかく「糸島」が詰まっていた
鍛治農園の野菜の特徴は、鍛治さんの探究心の強さが活かされていることともうひとつ、糸島への思いが込められていることです。糸島の海藻や鯛の頭と骨を発酵させて肥料を作ったり、糸島の塩とにがりを使ったりしながら育てる野菜や、糸島の牡蠣の味がする野菜を育てています。
鍛治さんがそれほどに糸島に思いを寄せるようになったのは、偶然テレビで見た糸島の農家さんの楽しそうな様子に、「僕の仕事はこれかもしれない」と農家さんのもとへ飛び込んだことに始まります。
「僕は子どもの頃から病弱で、社会的生活ができないでいたんです。そんな中でも糸島の集落の先輩方に背中を見せていただいて、自分が農業に邁進できる環境を見守ってくれた。そういった方々に恩返しをしたいし、鍛冶農園でしか味わえない味を目指そうと思ったら、糸島由来のものに徹底的にこだわろうということになりました」
「海の旨味がするだろうか?」と糸島の味を探すように味わったり、糸島の食材と一緒に料理する楽しみがあったりと、鍛治さんの思いを聞くと食べる楽しさもまた倍増します。
「野菜で糸島を表現したい」という言葉に、農業ってすごくクリエイティブだなあと改めて思う夜なのでした。
レポート後編では、料理担当の佐藤さん本田さんによる「ゆでレクチャー」をはじめ、当日お楽しみいただいたお料理をご紹介します!
(編集部 天野)