2017年最後の穴バーは、福岡県うきは市から「長尾製麺」の長尾洋一さんとうきは市の堤絵理子さんをお迎えして、「うきはの麺めぐりバー」を開店しました!
実は「九州の三大麺どころ」と呼ばれているうきは市。今回はうきは市で製麺所を営むゲスト・長尾さんの、麺づくりにかける情熱をレポートでお届けします。
350年前から続く
うきはと麺の深い関係
福岡県の南東部、筑後川と耳納連山に挟まれたうきは市は、豊かな自然と歴史的な魅力のある人気のお出かけスポット。豊富なフルーツや吉井町の白壁通りのイメージが強い方は、今回のテーマを目にして「うきはが麺どころ?」と驚かれるかもしれません。
私も初めはびっくりでしたが、筑後平野と美しい水に恵まれたうきは市では、およそ350年も前から麦・麺づくりがさかんに行われています。
意外に知られていないのですが、福岡県の小麦の生産量は北海道に続く第2位で、うきは市はその生産量を支える一大産地なのですって。
「長尾製麺」では、およそ200年以上前から麺を作り続けています。堤さんからマイクを受け取った長尾さん、「うきはの麺の歴史を語るうえで大事なことを!」と、まずは素麺の呼び方の歴史を教えてくださいました。
長尾さんの祖父や曽祖父は、素麺のことを「おそうめん」と呼んでいて、これは素麺が、飢饉のときに命をつないでくれた食材だったからなのだそう。
今でもうきは市では、お盆になると仏壇に素麺をお供えしているほど、ありがたい食材とされているのだそうです。素麺の呼び方ひとつでこんなにも背景が知れるなんて、うきはの麺の歴史はなんと奥深いこと。
日本一情熱的な麺職人長尾さんが
うきはの麺の長い歴史を支える
長尾さんは、麺づくりへの情熱が非常に熱いお方。アイデア溢れるそのお姿は、頑固で寡黙な職人気質という感じは全くない、ユーモア溢れるクリエイターというにふさわしい感じがします。
長尾さんの溢れる情熱が形になっているものがもうひとつ、週末限定でひらくうどん屋「井戸」です。自身の思う理想の麺を突き詰めようとはじめた井戸は、その名前にも強い思いがありました。
「”井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る”っていう一句が気に入ってつけたんです。たくさん量や種類は作らないけれど、1つのことを突き詰めたいなと。井戸も掘って行けば反対側のブラジルに行けるように、一杯のうどんと一杯の素麺を極めて日本一にすれば、有名になれんじゃないかなって。そういう気持ちではじめた私の挑戦です」
うきはの麺の長い歴史は、長尾さんのように情熱的な作り手さんの手によって今までがあり、これからも続いていくのだろうなあ。福岡から1時間半車を走らせれば、その情熱と歴史にふれられるなんて嬉しいですね。
レポート後編では、長尾製麺の看板商品「吉井素麺」のゆで方のコツと、簡単なのに本格風にできるめんつゆの作り方もご紹介します。こちらも楽しみにしていてくださいね!
(編集部 天野)