新しく年も明けた去る1月22日(金)。アナバナ編集部で開かれたのは、うきはの山のごちそうバー。2016年の穴バー第一弾でございます。
折しもこの日は、福岡ではなんと40年に一度という大寒波が押し迫る直前ともあって、ほっぺがピリピリと冷たい真冬の夜となりました。入り口では、丸太に十字の切れ目を入れて火を焚く丸太ストーブがお客さんをお出迎え。開店と同時にたくさんのお客さんにお越しいただき、一気に会場は満員になりました!
お客さんにはまず、軽くからだを暖めていただくためにお酒やごはんを嗜んでいただきました。みなさん、「嗜む」どころか美味しいお料理の数々に箸が止まらないご様子……。当日の絶品お料理については、次回のレポート後編にてご紹介予定です!
今回の穴バーの目玉のひとつは、なんといってもそのゲストの数。うきは市役所の熊懐真孝さんをはじめ、農家民宿「馬場」の大力さんご夫妻、囲炉裏カフェ「里楽」の林さんご夫妻に加えて、大力さんの娘さん、林さんの3歳の息子さんまで、年齢差じつに70歳くらい(たぶん)はあるであろう面々が勢揃いし、なんともにぎやか〜。
いい感じに会場内も盛り上がってきたところで、トークショウのはじまりです!
最初のトークは熊懐さん。うきは市役所で里山の活性化などに従事し、行政と地元の方々をつなぐパイプ役となっていらっしゃる心強いお方です。この日はうきはの魅力について、またその中でもひめはるエリアとはどんなところなのか、写真を交えながら分かりやすく解説して下さいました。
印象的だったのは「ない、ようで色々あるうきは」という言葉。
名物の棚田、フルーツ、白壁の街並はもちろんのこと、伝統的な日本家屋群、農家民宿、ギャラリー、カフェ、また今回の主役でもある野菜や豆などの豊富な在来作物、そして地元に住まう人々……。たくさんの魅力を紹介してくださいました。
ちなみに熊懐さんはひめはるの住民ではありませんが、うきは生まれ、うきは育ち、うきは在住という、生粋のうきはっ子なのです。だからといって、熊懐さんが語るうきはの魅力は、たんなる“地元愛”にとどまりません。役所で働く職員としての目線を保ちつつ、一うきは住民としての立場も忘れない、その微妙なバランス感覚がじつにお見事なのです。ここに、ますますうきはが輝いて見える理由があるのではないでしょうか。
ちなみに、マウンテンバイクが大好きだという熊懐さん。現在うきはに、マウンテンバイクを通した場所づくりにも取り組んでいるそうです。楽しそうですね〜。
つづいてトークを担当したのは、囲炉裏カフェ「里楽」の林和弘さん。やわらかな表情と言葉のはこびで、会場の空気も和みます。東京出身の林さんご一家がどうしてこのひめはるという土地に移住してきたのか、その経緯にはじまり、カフェオープンまでの道のり、そして現在の取り組みについてお話ししてくださいました。
東京に住んでいた頃から、「いつかは田舎で暮らしたい」という夢があった林さんご夫妻。10年前に出会ったひめはるの古民家に一目惚れし、なんと一大決心して購入。会社員を続けながらお金を貯め、週末はうきはに通いコツコツと修繕を重ねて、ようやく3年前に越してこられたそうです。なんとも運命的なストーリーです。
改修の段階では、地元の方々に多いに助けてもらったという林さん一家。もともと和弘さんは日曜大工が得意でしたが、半分荒れ果てていた家屋を修繕するのは想像以上に大変でした。そんなとき、家屋の改装に助成金が出るという情報を教えてくれたり、茅葺きの総入れ替えを一緒に手伝ってくれたり……住む前からひめはるに受け入れられ、現在はれっきとしたひめはる住民になった林さんにとって、田舎ならではの“人とのつながり”は何よりもかけがえの無いものだそうです。
囲炉裏カフェ「里楽」
そして昨年6月、長年の夢だったカフェがようやくオープン。囲炉裏を前にした地元の料理や、自家製のデザートを振る舞われています。
最近は、ブルーベリーの栽培にも精を出しておられる林さん。東京にいた頃から移住したときのために……とひそかに育てていたブルーベリーの苗をはじめ、栽培しているベリー類の数、今やなんと50近くにのぼります。収穫の時期には、一般の方々もブルーベリー狩りを楽しむこともできるそうですよ。お子さんと実を摘んでは、ついつい口に入れてしまいそうですね。
終盤には会場から「東京に戻りたいと思うことは?」というドキッとするような質問も。それに対して和弘さん、「戻りたくないです」ときっぱり(笑)。すっかりひめはるのとりこになっているようですね〜。会場からは、思わず笑いが起きました。
そして本日最後のゲストは、農家民宿「馬場」の代表・大力英行さん。コテコテのちっごべん(筑後弁)で語られるユニークなお話は、会場を笑いの渦へと誘います。
農業・林業に携わる大力さん。その経験を活かし、農業などの体験ワークショップをはじめ、ヤマメのつかみ取り、ソーメン流しなど、大自然を満喫できる民宿の取り組みも紹介。
また民宿で振る舞われるのは、地元の食材をふんだんに使用したごちそうです。名物弁当「だんだん」の写真が壁一面に映し出されたときには、会場から「おお〜」という感嘆の声があがりました。
最後は、今回のスタッフみんなで集合写真をパチリ。
うきはに惚れ込んで東京から移り住み、カフェを経営する林さん。地元の人たちと民宿を運営しながらうきはの魅力を伝え続ける大力さん。そして、うきは市の職員として、うきはを元気にするべく日々奔走する熊懐さん。3人それぞれ異なった立場からのお話が披露され、色んな角度からひめはるを知れた夜となりました。今後ますます注目を集めそうなひめはるエリアの魅力がたっぷり伝わる夜となったのではないでしょうか?
次回の「うきはバーレポート後編」では、うきはの山の幸を活かしたごちそうの数々を紹介します!
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(堀尾真理)