コトバナ

暮らしがもっと豊かになる“住まい”としてのシェアハウス 〜前編〜

VOL.006 「暮らしがもっと豊かになる“住まい”としてのシェアハウス」

2015.03.11(水)

あたらしいライフスタイルを実践し、地域を元気にしていく方を招いたトークイベント「コトバナ」。今回は「暮らしがもっと豊かになる“住まい”としてのシェアハウス」がテーマです。テレビドラマでもたびたび取り上げられ、新しい住まい方のトレンドにもなっているシェアハウスですが、いざ住んでみたいと思っても、なかなかハードルが高いのが現状。今回は、全国津々浦々の魅力的なシェア住居を紹介し続けるWebメディア「ひつじ不動産」のオーナー北川さんを迎えて、最新のシェアハウス事情について、たっぷりとお聞きしました。

橋口敏一
アナバナを運営するダイスプロジェクトで、店舗デザイン、リノベーションからまちづくりの企画に携わっている建築デザイナー。自身も南区井尻にて友人とのルームシェア暮らし中。ルームシェアのよさを広く伝えるべく活動中。
北川大祐
「オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産」を運営する株式会社ひつじインキュベーション・スクエアの代表。自身のシェアハウス経験をきっかけに、その魅力を伝えるため事業化。累計入居問合せ数はおよそ16万件を突破し、現在も増加中。シェアハウス普及の立役者。

“事業者介在型”物件の紹介

橋口さん(以下、橋口) さて、本日は住まいについて考える会です。私自身、南区の井尻のシェアハウスにて、男3人のルームシェア生活をしています。ワンルームよりも遥かに広い空間を使え、コミュニケーションも活発で毎日とても楽しい、それでいて家賃は一人当たり2万5000円くらいと、こんなにいいことはないと思っています。最近では世間の注目度も高く、井尻の街にも面白いシェアハウスがたくさんできてきました。スタジオアパートメントKICHICOMRET あまつ風シェアリースタイル博多、今夏オープン予定のアーベインルネス諸岡「O SHARE」など、それぞれに特色のあるシェアハウスがあり、福岡でもこれから大きな流れになっていく気配を感じます。そこで今回は、全国のシェアハウスの魅力を発信する先駆者である「ひつじ不動産」の北川さんをお招きし、シェアハウスの魅力をたっぷりと語っていただこうと思います。北川さん、よろしくお願いします。

北川さん(以下、北川) こんにちは。よろしくお願い致します。ではまず、ひつじ不動産の紹介から始めますね。「オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産」は、日本全国のシェア住居の紹介をするWebサイトで、2005年から始めて今年で10年目になります。特徴はシェア住居専門、中でも事業者介在型物件しか扱っていないことです。

橋口 事業者介在型?

北川 これは、友人同士でルールを決めてシェア暮らしをするのではなく、入居者の募集から管理全般に運営事業者が介在する物件、ということです。退去者が出ても家賃は変わりませんし、代わりの入居者を探す必要もありません。入居者は、運営事業者と入居契約を結びます。

橋口 なるほど。一般のシェアハウスのイメージとは少し違いますね。

北川 もちろん、入居者同士が自由な交流を持てる共用設備があるので、仲良くなっていく仕組みはありますが、それによって住居としてのプライバシーや快適性を犠牲にすることはなく、基本的に一人暮らしと同等の感覚で住めるように整えられています。

橋口 ひつじ不動産のWebサイトでは、これまでどれぐらいの物件を紹介してきたんですか?

北川 掲載数は2万4千戸ほどですね。すべて現地に行って事業者の話を聞き、写真もこちらで撮影しているんですよ。

橋口 それは大変ですね!

北川 それだけしないと、見て満足できる情報が集まらなくて。特に物件の写真って、いくらでもごまかせるんですが、嘘や誇張はやめようと。現状のありのままを見てもらい、現地に行くかどうかの判断材料になるような情報を載せています。

世界最先端の東京シェア住居事情

橋口 ひつじ不動産が扱う物件では、どんな入居者が多いんでしょうか?

北川 20代後半が一番多かったんですが、少しずつ平均年齢が上がってきていますね。昔から女性が多く、現在でも8割弱は女性です。物件の9割が関東にあり、平均賃料は6万5000円、共益費が1万円程度。都内のワンルームの家賃相場はだいたい7万6000円前後ですから、実質ほとんど同じくらいの賃料ですね。

橋口 え、安いから選ぶわけではないんですか!?

北川 家賃は上から下まで幅広く、隣のワンルームマンションより高い場合もあります。人数も4~5人で家族のような付き合いの物件もあれば、30人クラス、多くて80人クラスまであります。

橋口 へぇ~! そうなんですか。少人数で、友達付き合いを楽しみたい人が住んでいるイメージでした……。

北川 そうとは限りませんね。むしろ、普通の会社勤めのOLさんが、家を借りる時の選択肢のひとつとしてシェア住居がある、という感覚になってきています。

橋口 東京ではもうそこまで進んでいるんですね。

北川 シェア住居の数やバリエーションの多様さも世界に類を見ない発展をしているので、海外から来る方も驚きますよ。


家賃3万円代で気軽に住めるものから、麻布十番にある農園付きの高級物件、40代~50代が中心の住宅など、物件の種類はほんとうにさまざま。「見学に行ったときに、事業者や物件オペレーターとよく話すことが大事。だいたいオペレーターは居住者の雰囲気を表していますから、オペレーターと相性が良ければ、居心地よく住める可能性は高いですね」と北川さん

合計87室あり、大規模だからこそ、他の入居者との距離感も保てる「シェアリーフ 千歳烏山

私の一冊

スティーブン・キング「スタンド・バイ・ミー」

50代の男性が、10代だった頃のひと夏を思い出す青春物語。一つひとつはたわいもないエピソードですが、誰か人と一緒に経験することで、忘れがたい想い出になるんですよね。シェア住居の楽しさも、これに似ていると思います。大きな出来事はなくても、淡々と暮らす毎日の中に、人との会話があり、小さな思い出が増えていく。それが、暮らしの豊かさ、ひいては人生の豊かな過ごし方に繋がるのでは? そんな思いから、この本を選びました。

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