インタビュー

『はじまり』の場所をつくる(2)

アナ話 〜thoughtのみなさんにお会いしました〜2014.3.15(sat) up

[第二話]新たな価値を生み出す場所

アナバナ 今回、西海陶器さんの敷地が会場ということで、すごく素敵な場所だと思うのですが。正直、便利のよい場所とはいいづらい会場を選んだのはどうしてでしょうか?

藤戸 ええ。遠いんですよ、福岡からも。

アナバナ 車が無い場合はどうやって行けばよいのでしたっけ……

藤戸 いいですねぇ。そうやって、「どうやって行く?」みたいなことを考えてもらえるのも嬉しいですよね。

アナバナ わざわざ行くことに意味がある、ということなのですね。

林 会場はいろいろ検討しました。福岡でも探しましたし。やっぱりパワーのあるハコがいいなと思っていたんですよね。そんななかで、『フジトフジ』(1話参照)を通じて、西海陶器さんとの良い出会いがあって、敷地内の南創庫とモンネポルトさんという、古い建物を使わせていただけることになったんです。本当にありがたいですね。

藤戸パワーのある良い場所ですよね。展示会の中身ももちろんそうですし、この場所自体にも魅力がある。展示会にわざわざ足を運んでもらうだけの価値があると、僕らは自負しています。

会場のひとつとなるモンネポルトギャラリー。旧やきもの工場をリノベーションしたという建物には、当時の面影が残り、味のある雰囲気。

モンネポルトギャラリーと南創庫の2ヶ所が今回の展示会場となる。ギャラリーは、ふだんからアート展示やインスタレーション、ライブなど、さまざまに活用されている。奥には雑貨屋さんもあります。

アナバナ あ、お客さまがいらっしゃいましたね。(*藤戸さんのお店で取材中です)

藤戸 あぁ、大丈夫。スタッフですよ。

アナバナ えぇ〜!! か、かっこよすぎます。

藤戸 FUJITOの、モデル兼スタッフのロビーです。うっとうしいでしょう、カタログに出てるモデルが、売り場にも立っているっていうのは(笑)。

ロビーさん おはようございます。

アナバナ お、おはようございますぅ〜♡♡

ミラノご出身のロビーさん、FUJITOのモデルをしながら店頭で販売スタッフもされています。お買い物のついでにモデルさんにも会えるという贅沢なお店です。ここはパリか?イタリアか? と見まがうような佇まい、絵になります。

シーズンごとにつくられている『FUJITO』のカタログ。ロビーさんももちろん登場しています。

アナバナ FUJITOさんのように、カタログを作って、ウェブサイトや映像を作ってと、クオリティの高い発信をされているブランドは、九州には少ないのではないでしょうか?

藤戸 うーん、そうですねぇ。僕は、やれる範囲のことを全部やっている、という感じなんですよ、それも予算をかけずに。イメージしていることをカタチにしてくれる、信頼できる仲間がいるというのは強みですよね。今回の展示会では、そういう点からも、「地方で洋服をつくるのは無理なんじゃないか」みたいな空気を、「そんなことないかもよ」って、少しでも変えられたらいいですね。

アナバナ こうした展示会が地元九州で開催されることは、モノづくりをされている人にとっても刺激になりそうですね。

林 そうですね。今回は、ジャンルを問わずいろんなメーカーさんが集まるのですが、出展してくださる各ブランドが、それぞれに期待していることがあると思うんです。ビジネスの場としてはもちろん、出展者同士のコミュニケーションから、新しいつながりとかビジネスが生まれるかもしれない。そういう出会いのきっかけになるといいな、と考えているんです。

南 こうやって、自分たちで場をつくるというのはすごく楽しみですね。僕は、自身でやっている作品、ブランドを、展示会で発表するのは初めてなんです。thought が、バイヤーさんやお客さんとの新しい接点の場になればと思っています。

植村 僕も南くんと同じで、自ら展示会を行うという経験は初めてです。展示会を立ち上げる立場としても、試行錯誤な部分が多いのですが、藤戸さん、林さんという経験豊富な先輩方が、しっかりこの展示会というベースをつくってくれているので、どうすれば盛り上げられるか? 僕らが考えていることをどれだけカタチにできるか? というのを、いろいろ考えながらやっています。

南 うんうん、そうやね。

植村 作り手さんにとってもそうですし、バイヤーさんが新しいものを見つけてもらえるように、色んな方にthought を知っていただいて、広げていきたいですね。「九州でこんなことが起こってますよー」って、発信できるような合同展示会にしたいです。

林 それと、バイヤーさんだけではなく、販売員さんにもぜひ来てほしいと思っていて。どんな想いで作られているか? を、つくっている方から直に聞ける場ですし、刺激にもなると思います。やっぱり、“熱さ” って大事じゃないですか。値段とかトレンドとかだけではない価値を、販売する時にお客さんに熱く語ってほしい。九州に潜在している作家さんと、バイヤーさん、販売員さんが介する合同展示会として、新たな価値が生まれるきっかけの場にしたいですね。

 

thoughtのみなさん

植村さん
福岡市中央区でショップ『PARQ』を構えながら、自身のブランド『thinq(シンク)』を企画/デザインする。メンバーの南さんと共同でカットソーを主軸とした『fit』も展開。
林さん
メーカーの九州営業代行業を行いながら、糸島(福岡)の間伐材を使った小物を地元のお店(ここのき)と共同開発し販売する活動も。
藤戸さん
全国展開するメンズブランド『FUJITO』デザイナー。福岡市長浜にショップ『Directors』を構える。
南さん
FLOWER ADJUSTMENT(フラワーアジャストメント/押し花をフレームに入れてつくる額装)作家。メンバーの植村さんと展開させる『fit』の企画/デザイナー。

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