インタビュー

『はじまり』の場所をつくる(1)

アナ話 〜thought のみなさんにお会いしました〜2014.3.14(fri) up

thoughtの4人のみなさんにお会いしました。

なにやらワクワクする催しが、やきものの町を舞台にひらかれるそうですよ。
3月27、28、29日の3日間、主に九州で活動する作り手さんが、衣食住の垣根を越えて集まる合同展示会『thought』が、長崎県の波佐見町にて開催されます。都会から少し外れた小さな町で、何がはじまろうとしているのでしょう。thought を立ち上げる4人のみなさんにお会いしました。3話に分けてお届けします。

thoughtのみなさん

植村さん
福岡市中央区でショップ『PARQ』を構えながら、自身のブランド『thinq(シンク)』を企画/デザインする。メンバーの南さんと共同でカットソーを主軸とした『fit』も展開。
林さん
メーカーの九州営業代行業を行いながら、糸島(福岡)の間伐材を使った小物を地元のお店(ここのき)と共同開発し販売する活動も。
藤戸さん
全国展開するメンズブランド『FUJITO』デザイナー。福岡市長浜にショップ『Directors』を構える。
南さん
FLOWER ADJUSTMENT(フラワーアジャストメント/押し花をフレームに入れてつくる額装)作家。メンバーの植村さんと展開させる『fit』の企画/デザイナー。

[第一話]モノづくりを表現する

お話は、福岡市の長浜にあるメンバーの一人、藤戸さんのお店、『Directors』にてうかがいました。

アナバナ “展示会”とは、いわゆるバイヤー(ディーラー)が、アパレルとか雑貨など、ブランドの新作を買い付けに行く場ということですよね。

林さん(以下 林) はい、そうです。

アナバナ 今回は、その合同展示会を、長崎県の波佐見でやってしまおうということなんですね?

林 えぇ、そうなんですよ。
僕個人の話になってしまいますが、僕は関東から2年前に糸島(福岡)に移住してきて、今は九州を中心に、関東のブランドさんの営業代行をやっています。あらためて感じるのは、いろんなメーカーさんやブランドが、ひとつの会場に集まるような大きな合同展示会は、やっぱり関東や関西でひらかれることが多くて。九州だと、ほぼ個人単位で、小規模になってしまうんです。

藤戸さん(以下 藤戸) やね。僕も、福岡で展示会をひらくときは、自分のブランド単独で、九州中心のバイヤーさんだけに案内してやっています。東京で展示会をする時は、ギャラリーを借りてやってるんですが。福岡でひらくときは、どうしても単独で、自分のお店で、いつも案内している方に来ていただく、という感じになってしまうんですね。

林 藤戸さんがやっている『FUJITO』は、福岡でお店(Directors)を出しているだけじゃなくて、全国に発信できる方法を、10年かけて築いているというところが素晴らしいと思うんですよ。どうしても、関東・関西に比べて九州では、そういう流れを築けているブランドさんは少ないですから。

アナバナ なるほど。そうなると、作り手さんは、関東・関西に拠点を移さないとやっていけないんじゃないかという空気になってしまう?

植村さん(以下 植村) そうですね。九州だと特に、アパレルの作り手は少ないですしね。ウィメンズは比較的多いみたいなんですが、メンズは圧倒的に少ないです。だから、作りたいと思っても、周囲に作ってる環境が無くて、どこから初めたらいいのかもわからない、というのが現状かもしれないです。

藤戸 うん。個人でやる展示会に物足りなさを感じているというのが正直なところで。展示会で会うメンバーが毎回同じで、なんも新しいことが起こっとらんやん、っていう状況もあります。
それと、僕は 『FUJITO』 というブランドをはじめて10年目になるんですが、福岡でこうやって10年間やらせてもらっていて、”福岡でやっている意味” みたいなことを説明できる時期にきたのかもなぁと、あらためて考えはじめたタイミングでもあったんです。

アナバナ この展示会を企画されたのは、そうした流れがあったから?

藤戸 そうですね、ちょうどその頃、南とか植村が自分たちでブランドをはじめた矢先で。 『合同展示会やるけん、おまえがやれ』って(笑)。植村に言ったんかな?

植村 はい、スーパーキラーパスです。

一同 (笑)

藤戸 2011年だったかな?

植村 そうですね。
僕は展示会経験ゼロだったので、行ったことはあるけど、自分らでなんかやるぞっていう、キラーパスをダイレクトに受けた時はさすがに戸惑いましたね。まぁ勢いでやるとはいいましたけど。

一同 (笑)

藤戸 福岡にいる理由って、モノで表現するのは難しいし、僕らがやってるお洋服で表現するのも、それを説明できるようにならないといけないから、遠回りだと思うんです。で、周りを見たら、後輩がちょうどモノづくりをはじめたと聞いて。じゃあ一緒にやろうや、なんかやりなさいよ、ってね(笑)。呑みながら話していたんですが、そこからすぐには動かんかったよね。

植村 そうですね。1年ぐらい経って、僕が林さんとつながってから、また動き出しましたね。

林 そうそう。
その頃、僕が九州担当としてやらせていただいた大きな仕事で、東京のアーツアンドクラフツという鞄のメーカーさんがありまして、波佐見の西海陶器さんの敷地内にあるHANAわくすいでイベントをやったんですね。僕は、そのイベントの運営を担当していて。

アナバナ はい。

林 イベントを一緒に盛り上げてくれるパートナーを探している時に、長崎の佐世保市出身の藤戸さんの名前が挙がったんです。アーツアンドクラフツの藤本社長も佐世保市のご出身ということもあって、すぐに意気投合しましたね。で、『フジトフジ』という合同企画展をやったんです。

アナバナ なるほど。

林 僕もちょうど、藤本社長と話していたんです。九州でも、モノづくりをする地場の若手が、自分たちで発信するとか盛り上げるような動きを、もっとやっていいんじゃないか、と。だから僕自身も、九州で何かやりたいと思っていたところだったんです。植村くんから、藤戸さんとそんな話をしてるって聞いて、「じゃあやっちゃおうよ」って、そこから急発進した、という感じですね。

藤戸 そうやったねー。ちょうど2012年の春ぐらいですね。

展示会が動き出すきっかけとなったとも言える『フジトフジ』のイベントポスター

『フジトフジ』で販売したオリジナルのイラストが描かれたバンダナ。限定の200枚はあっという間に完売したのだそう。


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