博多まちづくりミートアップ

博多はもっと楽しくなれる! 飲食店から見たこれからの博多の魅力作り〜ミートアップvol13レポート前編〜

佐藤裕久 Hirohisa Sato

株式会社バルニバービ 代表取締役
佐藤裕久 Hirohisa Sato

京都市上京区生まれ。神戸市外国語大学英米語学科中退。アパレル会社で出店計画事業などに従事後、1991年バルニバービを設立、代表取締役に就任。現在、東京・大阪をはじめ全国に80店以上のレストラン・カフェやスイーツショップを展開する。地域に根ざした店舗作りを展開する傍ら、商業施設のプロデュースや起業・経営についての講演なども行っている。

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株式会社GROW LEAVES 代表取締役
ファビオ(本多威悠) FABIO(Takehiro Honda)

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株式会社ダイスプロジェクト 代表取締役
橋爪大輔 Daisuke Hashizume


2018年最後となる博多まちづくりミートアップのテーマは「博多×飲食店」です。博多駅エリアの飲食店の中でもとりわけ注目を集めている「ガーブリーブス」。オープンして以来、地域で働く人はもとより、企業の利用、パーティー、観光客など、日々多くの人々で賑わっています。そのガーブリーブスをはじめ、多数の飲食店を展開する株式会社バルニバービの代表取締役である佐藤氏を招き、これからの博多のさらなる魅力作りについてともに考えました。


はじめに

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白石さん(以下、白石)みなさんこんばんは。本日モデレーターを務めさせていただく株式会社ダイスプロジェクトの白石です。

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モデレーターの白石氏

白石今回の博多まちづくりミートアップは「飲食店からみたこれからの博多のまちづくり」をテーマに、3名のゲストをお迎えしています。まずはゲストのご紹介の前に、ミートアップ主催の博多まちづくり推進協議会の尾田さまよりご挨拶をいただきます。

尾田さん(以下、尾田)みなさん、こんばんは。博多まちづくり推進協議会(以下、まち協)で開発部会を担当しています尾田と申します。本日はお忙しい中、博多まちづくりミートアップにお集まりいただきありがとうございます。

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博多まちづくり推進協議会 開発部会 部会長の尾田氏

尾田このイベントは、博多のまちで事業をされている方々をお招きし、その取り組みをご紹介させて頂いたり、ゲストの方にとっての博多のまち、またより魅力的なまちにしていくためのお話や、参加者の方々との意見交換の場となっていて、本日で13回目を迎えます。今回は、実は我々まち協にとってもスペシャルなゲストをお招きしており、ワクワクしています。どうぞよろしくお願いいたします。

白石ありがとうございます。ではスペシャルなゲストの方の前に、これまでまち協がどのような取り組みを展開してきたか、弊社の橋爪大輔より話を聞きたいと思います。

博多まちづくり推進協議会の取り組み

橋爪さん(以下、橋爪)みなさん、こんばんは。今日はよろしくお願いします。

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株式会社ダイスプロジェクト 代表取締役の橋爪氏

橋爪まち協は、博多駅地区を舞台に、まちをより元気に、魅力的にしていくための活動を展開しております。その取り組みには、大きく分けて(1)にぎわい創出活動、(2)回遊促進活動、(3)安心安全・環境向上活動の3つがあります。本日は(1)と(2)に関する活動について、主に2015年から現在まで簡単にご紹介します。

(Ⅰ)HAKATA RENOVATION CAFÉ

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橋爪博多駅からキャナルシティ博多までを結ぶ目抜き通り「はかた駅前通り」の空きビルで、リノベーションしたカフェを、期間限定でオープンしたプロジェクトです。初回は2015年2月。飲食と物販の方にも入って頂き、5日間で約2000人の方にご来場頂きました。好評だったので、8ヶ月後に2回目を開催。こちらも同じ通りから一歩入った路地にある空きビルで、解体されることがすでに決まっていた物件をひと月お借りしました。

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2015年10月に1ヶ月間開催された2回目のHAKATA RENOVATION CAFE

橋爪この時は、輸送用のパレットという木材を約300個仕入れて、テーブルや椅子、カウンターなどの内装から、外観の壁にいたるまでリノベーションしました。完成後はカフェで、トークイベント、ワークショップ、展示、マーケットなどを、会期中の毎日、約40回開催しました。まち協には約170の企業が会員として入っていますので、それぞれのリソースを持ち寄ったかたちです。

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輸送用パレットを空間全体に用いた2回目のHAKATA RENOVATION CAFE。まちづくりに関連するイベントの開催や、地元学生の研究発表などにも活用された

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奥の中庭スペースも、カフェやバーの利用ができる作りに

(Ⅱ)ハカタストリート・コンテナ

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橋爪現在、はかた駅前通りの歩道区画が拡張して広くなっているのですが、このプロジェクトは広くなる前の、2015年11月にスタートしたものです。趣旨としては、歩道が広くなるとどんな可能性が生まれるのか? 歩道に設置したコンテナでカフェ営業をして、まち行く人たちの反応を見てみようというもの。開催期間中の週末には、ストリートマルシェも開きました。
結果、想像以上にたくさんの方に来て頂きました。興味深い点としては、お客さんの4割は海外の方。彼らを含む6割が外来者だったことですね。おそらく海外では、まちなかの売店で気軽に飲食されているのだろうと思います。また周辺地域のことを聞かれるケースも結構ありましたので、まちに関連したインフォメーションを提供することで、飲食という枠組みを超えて、都市の入り口としての機能も果たせるということも分かりました。

(Ⅲ)ハカタストリートバル

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橋爪これはガーブリーブスさんにもがっつり入って頂いた取り組みですね。ここの場所がちょっと面白いのは、公園や歩道などの公共空間と、駐車場などの民地に接しているということ。その歩道に、約130メートルの長さのバーカウンターを設置して店舗に出店して頂き、普段はない賑わいを作りました。というのも、この通りはどうしてもオフィスが多くて、地元の方にとってもなかなか回遊しづらいエリアでした。しかし結果は、なかなか好評を博し多くの方が回遊し通りが人で溢れました。そして2ヶ月後に再び開催し、引き続きガーブリーブスさんにも出て頂きました。2回目はブース周辺のベンチに人だかりが生まれて、夜は灯りがともり、まるでアジアの夜市のようでした。

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2回目となるハカタストリート・バルの風景

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2018年11月現在開催中のバル。「クリスマス スタンド」と銘打ち、立ち飲みを楽しめる空間を演出

(Ⅳ)博多まちづくりミートアップ

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橋爪そしてこのミートアップもまち協の取り組みのひとつです。冒頭で尾田さんからもご説明があった通り、博多のまちづくりの可能性について、博多で活動する事業者の取組に関するトークと参加者との対話を通じて考える場です。2017年4月に開催された第3回目のミートアップには、今回のゲストのお一人でもある本多さんにもご登場いただきました。

本多氏が登壇したミートアップvol3「レストランとコーヒー屋が取り組むまちづくりのかたち」のレポートはこちら

橋爪以上が、まち協の現在の取り組みです。

白石ありがとうございました。

博多のまちに根付き始めた店
株式会社グローリーブス 本多社長

白石ガーブリーブスのファビオ(本多)さんには過去のミートアップや、ハカタストリートバルへの出店など、様々な機会でご参加頂いています。どうぞ宜しくお願いします。

ファビオ(本多)さん(以下、ファビオ)株式会社バルニバービ(以下、バルニバービ)の運営子会社で、九州エリアを中心に運営をしている株式会社GROW LEAVES代表取締役のファビオです。今日は宜しくお願いします。

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本多威悠氏

ファビオガーブリーブスがオープンしたのは、2016年6月。この間ありがたい事に、何度かまち協さんの取り組みに参加させて頂く機会がありました。我々としては、博多というまちにご挨拶したいという気持ちでのスタートでしたが、今は自分たちの店がこの博多というまちに根付いていけるようにという思いで参加しています。

白石お客さんからの反応はいかがですか?

ファビオありがたい評価も頂いています。僕たちも、どこかに食事しに行こうと思ったときに、「ガーブリーブス行こうか」とか、来たお客さんに「このお店があって良かったね」と思ってもらえるような店を作っていきたいという気持ちは、ずっと変わらず持ち続けています。あとは、人が出会う場所であることも意識しています。地域が盛り上がるためには、もちろんお店の力も大きいのですが、何よりも人と人との出会いからしか生まれないものが大きいですから。ストリートバルにも参加させて頂いているのは、できるだけ様々な人と話して、人と人が繋がれる場所を、飲食という形を通して実践していきたいからということもあります。

白石実際にストリートバルに何度か出店頂いて、感想はどうですか?

ファビオさきほども橋爪さんがおっしゃっておられましたが、海外からのお客さんも多いし、色々な方々が集まる場というのは単純に賑わいますよね。そうすると通り自体も明るくなります。継続的に開催していくことで、博多の駅前のイメージが変わっていくんじゃないかと感じています。あとは、お客さんと話す機会が増えますので、店側にとっても楽しいですね。

白石ありがとうございます。

博多の飲食店は日本一!?
株式会社バルニバービ 佐藤社長

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白石では本日のスペシャルゲスト、バルニバービの佐藤社長のご紹介です。まずは単刀直入に、博多のまちについてのご感想をお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

佐藤さん(以下、佐藤)みなさん、こんばんは。今日はよろしくお願いします。

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佐藤裕久氏

佐藤我々は飲食店なので、基本的にはいつも物件を探しているんですけど、博多にはまだ店舗がなかった4年ほど前に、福岡地所さんのほうから「キャナルシティに物件があんねんけど」という案内を頂き、10年ぶりくらいに博多に来たんですね。あいにくその物件でお店を出すことにはならなかったのですが、その日の夜、福岡地所の女性の方に博多のまちをご案内頂いたら、もうね、面白くて。みなさん博多または九州出身でしょうから分からないかもしれませんが、一軒一軒が半端じゃなく濃いんです。我々のような東京・関西ベースの飲食店業界が「博多に出店しようぜ」と店を出しても、間違いなくコケる。池袋に博多のまちをごそっと持って来ても、十分闘えるくらいです。博多はチェーン店が育ちにくいまちと言われていますけど、これだけ個店が強ければ当然です。だから我々の最初の感想は、「このまちで果たして闘えるのだろうか」という不安だった。と同時に、博多のまちがあまりにも面白すぎて、どうせ博多に行く機会があるのなら物件を探そうと決めました。

遊びの中からしか文化は生まれない

佐藤最初に出店したのは、実は、大名にあるアンティーカ ピッツェリア ダ ミケーレ(以下、ミケーレ)というピザ屋さんでした。ミケーレは、ナポリで147年続いてきたピザ屋さんで、我々はその2号店を東京でオープンしたんです。我々のコンテンツとしても自信を持てるものやったし、その世界3号店やったら、福岡でも闘えるかなと思ったんです。結果、まったくダメでした。今も基本的には赤字です(笑)

白石それは意外ですね。

佐藤このまちの良さは、食がベースになっていると思います。しかもそれは、混ざっている食なんです。歴史的に見ても、半島や大陸からたくさんの人が渡って来ているし、ミクスチャーになればなるほど、絶対に面白い。そんな強さが、福岡のまちにはありますよね。 あと僕トライアスリートでもあるんですけど、博多に来たら毎朝大濠公園の池の周りをジョギングするんですよ。こんな都心部なのに公園と池があって、池には島もあって、変化球もある。むっちゃ気持ちいいですよね。

白石トライアスロン以外にも、DJなど色々とやられているそうですね。

佐藤自分の店でDJもやりますし、ギターも弾きます。僕は「街灯り 人が遊びて 生まれけん」、つまり遊びがないと文化は生まれないと思っている。それは店に対しても一緒で、飲食店が単に食べたり飲んだりするだけの産業だったら、こんなにつまらないことはない。でも店を通して、お客さん同士の、あるいは店と客のコミュニケーションが生まれます。それが店どうしになった瞬間、まちができる。この「まちを愛して遊ぶ」という思いはすごく大切だと思います。そういう意味でも、博多の人たちの持っている思いの熱さというのはすごいんです。僕はこのトークが終わったら、今夜も中洲に繰り出すつもりです(笑)

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自ら積極的にDJやライブイベントなどを行う佐藤社長


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