博多まちづくりミートアップ

〜憩いの場所が街を活かす!〜 これからの博多の公園活用〜ミートアップvol6レポート第3話〜

博多区の公園にまつわるヒントとは?

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小西さん(右)と、モデレーターの橋口さん

橋口博多区の公園には、整備が終わっているものと進行中のものがあります。主な3つをご紹介しますと、博多駅の目の前にある「明治公園」、区役所の建替えに伴ってリニューアルが始まろうとしている「藤田公園」、そして博多寺町のゲートウェイ「出来町公園」です。出来町公園は観光バスの乗降場ができたりと、特にインバウンドをキーワードに生まれ変わろうとしています。
ここで、お二人のお話を受けて、さらに質問などを投げかけていきたいと思います。まずは小西さん。公園とは都市の商業的な面を併せ持つ「稼ぐ公園」でもあるというお話が非常に興味深いと思いましたが、その面から博多の公園に関するご意見をお聞かせください。

小西はかた駅前通りに接続している藤田公園は、今後ホテルや商業施設が増えていくと思われる立地です。またキャナルシティさんの目と鼻の先にあるということで、商業面をベースとしたポテンシャルがすでに高いと思います。

橋口なるほど。藤田公園は南池袋公園の立ち位置に近いですね。つまり目抜き通りから近い。公園の整備だけではなく上物=建築物が求められてきたときに、まさに南池袋公園のような事例からさまざまなヒントを引っ張ってこられる可能性があると思います。

観光資源は必要。でも簡単に観光に結びつけるのは要注意

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黒松さん(右)と小西さん

橋口お次に黒松さん。公園とは地域に資する空間でありながら、来た人々に博多の魅力を伝えるプレゼンテーションの場でもあると思うのですが、後者の、つまり観光資源としてとらえたとき、博多の公園の可能性についてどうお考えでしょうか。

黒松観光資源としての活用は非常に大切なのですが、無理矢理つくるとハレーションが起きると思います。例えば出来町公園のあたりはお寺がたくさんあるけれども、ほとんどが禅寺だから京都とは違う。京都の寺町みたいに、海外の人たちがたくさん歩いているというのは、実は僕は「よし」とも思えない。博多にはこういう資源があるんだということを知ってもらう機会にはなりますし、もちろん観光資源はつくらなくてはいけないんです。しかし、お寺=観光資源=外国人みたいな考え方は、あまりにも短絡的です。今はまだ素晴らしい景観が保たれていますので、個人的にはそれを壊してほしくはないですね。
一方で街にとっては、そういう観光資源があったほうがいい場合もあると思いますし、大事なのはそのふたつがどう共存するかでしょう。例えばキャナルシティにも海外からのお客さんを乗せた観光バスが山のように来ていますが、それによって道路が渋滞して地域に迷惑をかけることもある。こういった問題は、ひとつひとつ慎重に解決していく必要があると思います。この公園、この地域にはどのような価値があり、その価値をどう伝え、どう残していくべきなのか。まちに対する価値間をそれぞれが共有しないとうまくいかないでしょう。

橋口ありがとうございます。

防災拠点としての南池袋公園

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ここからは、会場のほうからもご意見やご質問などをお聞きしていきたいと思います。まずは本日のミートアップを主催している「博多まちづくり推進協議会」(https://hakata-machi.jp/)事務局の尾田さん、よろしくお願いします。

尾田さん(以下、尾田)主催者側から失礼します。まずは黒松さんにご質問ですが、現在黒松さんが仕掛けようとしている、あるいは狙っている博多の公園はありますか?

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尾田さん

黒松僕、仕掛けていっていると思われがちなのですが、どちらかというと課題をあたえられて、それに対する解決策をつくる側。だから自分から狙ったりはしません(笑)。今挙がった3つの公園で言いますと、それぞれの公園が持つ状況も課題もぜんぜん違いますし、だからこそ3公園とも違った活用の仕方があると思います。都心で3つの公園の開発が同時に進むなんて、なかなかありませんよ。そういう意味ではどこも狙い目です(笑)。

尾田ありがとうございます(笑)。もう一点は小西さんにご質問です。南池袋公園が防災拠点であるというお話がありましたが、具体的にどのようなかたちで防災の拠点となっているのでしょうか。

小西これは東日本大震災の経験が大きいんですね。公園内にあるカフェ・レストラン「RACINES FARM to PARK」(以下、ラシーヌ)は、災害時に帰宅困難者が多数出た場合、200人を収容できる造りになっています。食糧や水、毛布をストックした備蓄倉庫のほか、災害時用のマンホールトイレなども備えていますし、災害時には、ラシーヌが区と連携して帰宅困難者などに炊き出しの支援を行う体制になっています。店舗内の電気を使用してニュースを発信したりと、インフラ面も含めての防災拠点となっています。
インフラは公園において非常に重要です。防災に限らずイベントもやりやすくなる。今後リニューアルする公園においては、どういう活用の仕方があるのかという仮説を立てながら、水回りを含めたインフラ整備をすることが必要だと思います。

公園の心地よさを生み出す鍵を握るのは事業者

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橋口では次に、片田江さんにもご意見などあればお聞きできますか。

片田江さん(以下、片田江)南池袋公園内のラシーヌでは、ライブラリーで本の貸出もされていたのが印象的でした。これからの公園は、事業者も公園のアメニティとしての役割を担っていくと思われますが、南池袋公園の場合、どのようにして事業者を選定されたのでしょうか。

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小西事業者を募集する要項には、事業者を選定するための評価基準を設けていました。当然会社の事業性・安全性も一評価基準になりますが、注目したのは地域貢献やエリアの精通度。つまりそのエリアでその事業者が何をしてくださるのか、しっかりと企画していただきました。

人がたくさん来るのがいい公園とは限らない

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質問者黒松さんにご質問です。中洲JAZZやさくらまつりなど、有名なイベントは特に何もしなくても集客が可能だと思いますが、新しいイベントで集客を図る場合、どのような広報・告知の手段が効果的だとお考えですか?

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黒松例えば、イベントに100人来たら成功なのかというと、そうではありませんよね。イベントというのは、ある問題を解決するための一手段であり、一プロセスなんです。もちろん集客も成果資本につながるので大事ですし、告知の手段はそれなりにたくさんありますが、あまり集客に気を取られると本来の趣旨からはずれてしまうのではないかと思います。それに今言ったようなポイントを突き詰めておかないと、お客さんにも伝わらないから結局来てくれません。こちら側も“筋”が通っていないと、「何のためのイベントなの?」って、すぐに見透かされますから(笑)。

質問者ありがとうございます。お次に小西さんにお聞きします。もし駅から離れた公園、あるいは行きづらい公園の場合は、どのような活用の方法がありますか?

小西福岡市にはおそらく1500〜1600くらいの公園がありますし、それぞれに違う課題があると思いますが、例えば管理面ひとつとっても、住民の方と連携するとか、NPO法人、ボランティアの方々、これからリタイアしてく方々人たちなどを巻き込んで地域コミュニティを創出するなど、活用法はその公園に応じて無限にあると思います。

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住民と自治体が考えを共有して活用すれば公園はもっとアツくなる

橋口このトークイベントの総括として、お二人からひと言ずつお願いします。

小西本日はありがとうございました。冒頭にもご説明しましたが、国交省ではここ5年ほどで100カ所の都市公園の民間の活用を進めていくことを掲げています。これはあくまで国交省の提案であり、現実的には各自治体が地域住民の方や周囲の事業者の方々と決めていくことです。それぞれの公園にあった考え方を共有して活用していくことで、ますます公園がアツくなるのではないでしょうか。はかた駅前通りに支店を構えている弊社も、微力ながらみなさんのお力になれると嬉しく思っております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

黒松博多区には3つの公園だけじゃなくて小さな公園もたくさんあります。たくさんの人が来る公園がいい公園というわけでもありませんし、小さな公園でも、もしかしたらその周囲10世帯くらいの人たちにとって大切な公園かもしれない。ポテンシャルは意外なところにあるかもしれません。公園に関する法律もどんどん変わりつつありますし、公園を活用に導くいい流れができてきています。その流れに乗って、今後も色んな仕掛けをしていければと思います。ありがとうございました。

橋口お二人とも、本日はどうもありがとうございました。

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(了)


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