地元食材のエッセンスを加えたおかず案がいよいよ出そろったと聞いて、デザインを手掛ける九産大の江本さんと園田さんがみやま市へ。みやまスマートエネルギーの皆さんとの試食会の様子をレポートしてくれました。
江本さんによると「部員の皆さんは最初は少し緊張気味でしたが、次第にワクワクした表情をのぞかせていました」とのこと。
早速、試食会当日の様子をお二人の目線でご紹介しましょう。
デザイナー江本さん&園田さんが密着!
ドキドキ・ワクワクな調理タイム
調理は9時30分にスタート。
おかずごとに担当する部員が分かれ、ずらりと並んだ食材から使うものを選びます。
どのグループもまずはグラム単位まで食材を量り記録している様子。
多人数のお弁当を作るには、この計量がとても大切なんですね。
原価や利益などの会計管理まで任されたからこそ、無駄が出ないようにしっかり計算して工夫する必要があるのです。何気ない作業のようで、お弁当プロジェクトに臨む高校生の皆さんの責任感が伝わるシーンでした。
調理は全て高校生だけで進めます。
時間に気を配りながら、大きなトラブルもなく12時には全てのメニューが完成。
その後はお楽しみの盛り付けタイムです。
彩りや食感の組み合わせなどを考えて“映える”お弁当が出来上がりましたよ。
最後に私たちが用意したパッケージを巻けば、すぐにでも販売できそうな見栄えに。調理に集中していた皆さんもホッとした表情を浮かべていました。
見ているこちらはお腹が鳴りそう。試食が楽しみです。
色とりどりのおかずを前に
メンバーの皆さんが真剣にジャッジ
各担当が作ったおかずは味のバランスなどを考えて、3つの盛り合わせに分けられました。作り手の感想や試食会で出た意見を一部ご紹介します。
〈みやまの玉手箱セット1つ目〉
○ナスのしそチーズ豚肉巻き
ジュワッとあふれるナス&豚肉の旨味を引き立てるように、マイルドなチーズと爽やかなしその風味が交互にやってきます。香奈さんは、肉を巻くときにきつめに巻いてチーズが溶け出すのを防いだとか。香ばしいタレも食欲もそそります。
○タコとブロッコリーのバジルサラダ
穂香さんはお母さんに相談しながらレシピを考案。噛みしめるほどに味わい深いタコとブロッコリーのグリーンが見た目にも華やかです。具材が小さくて箸でつかみにくいという前回の反省点を生かして、今回は野菜を少し大きめに。
ところが、今回使った容器にはパンパンになってしまいました。野菜のカットについては再度検討するそうですよ。
○ペペロンチーノ
「うちのお昼ご飯のイメージです」と陽向さんが提案したのは、唐辛子のピリッとしたアクセントが効いたパスタ。シンプルな具材だけに、セロリやナスなど個性的なみやま市の野菜をプラスしても味わいが広がりそう。
○じゃがいもハンバーグ
「お母さんがよく作ってくれるメニューです。前回作った時は形が崩れるのが悩みだったのですが、片栗粉を加えて形を整えました」と姫華さん。
ごろっと食べごたえのあるサイズでジャガイモやコーンの食感もユニークです。試食会では「味付けもしっかりしているのでご飯が進みそう」「ネギなど緑を添えてもいいのでは?」という意見も。
〈みやまの玉手箱セット2つ目〉
○トマトとモッツァレラチーズのサラダ
みずみずしいトマトの赤が映えるイタリアンなサラダ。意外にもごま油ベースの和風ドレッシングがマッチしています。
「トマト果汁が強めなので、緑のバジルを添えるとより味わいが増すかも。彩りにもなりそう」という感想もいただきました。
○ほうれん草のおひたし
凛華さん作のおひたしは、ほうれん草の茹で時間に注意しながら、幅広い世代に親しみやすい醤油味で仕上げました。「少し甘みが欲しいかも」「食感がいい!みやま市のセロリや春菊も一緒におひたしにしてみては」など、さまざまなアイデアが寄せられました。
○みかんケーキ
歩美さんが作ったのは、携帯しやすいカップタイプの生クリームケーキ。スポンジのふわふわ感をキープしたまま、型崩れしないように生地を工夫したそうです。
みやま市出身のスタッフ達にも「みかんと生クリームの組み合わせは初めて。甘さのバランスもちょうどいい」と好評でした。
「見た目もかわいいと言ってもらえました」と歩美さんも嬉しそう。
〈みやまの玉手箱セット3つ目〉
○2色巻き
花瑠佳さんのお祖母さんは、みやま市の給食の調理師だったそうです。家でもずっと作ってくれたという思い出の味は、黄身とネギを入れた白身を分けて焼いた卵焼き。見た目もかわいらしいのですが、きれいに焼くにはコツがいるのだとか。前回よりもネギを少し増やして、白と黄色に緑の彩りを添えているのもポイントです。
○豚肉ともやし炒め
凛華さんのお母さんのレシピをヒントにした一品です。ジューシーな豚肉とシャキシャキのもやしは見た目もボリューミー。ネギはあと乗せで香味を引き立たせています。
○イカ炒め
YouTubeでイカの捌き方を勉強したという陽向さん。スルスルと皮をむく様子は練習の成果を感じます。
一番こだわったイカの味付けは試作を重ねてバターのみに絞ったそうです。イカの旨味が引き立って、試食会でも“間違いない”と好評。
冷めた時にバターが固まってしまうのと、イカの部位にばらつきがあるため、均等に盛り付けるのは苦労していたようです。試食会では「一人分ならイカは何切れ、など分量をきっちり決めてから切るといいかも」との意見も出ました。
○ほうれん草のナムル・にんじんのきんぴら
ナムルは韓国海苔とほうれん草のコンビネーションが絶妙。日蘭さんの家では、ナムルと言えばこの組み合わせなんですって。きんぴらはにんじんの甘みがポイントです。
韓国海苔の風味を生かすため、全体の味付けを抑えたという日蘭さん。「ナムルに白ゴマを加えたら、香ばしさと色味が加わるのでは」という具体的な意見に耳を傾けていました。
全体的に見た目も味わいもメリハリがあって、おかずを選ぶのが楽しみになる盛り合わせでした。男性側の「あと少しボリュームがあれば嬉しい」という意見や「みやま市ならではの野菜やキノコなどがもう少し加わるといいかも」などのアドバイスも参考にしながら最終調整するそう。
ちなみに、部員達は「家族にも食べて欲しい」と作ったお弁当を持ち帰ったそうです。喜んでもらえるといいな。販売日当日もきっと成功すると思います。
現地でのふれあいの中で“みやま愛”が急上昇中の江本さんと園田さん。この日も、試行錯誤を繰り返しながら調理に向き合う高校生に刺激を受けていたよう。
次回は、いよいよ販売日当日!目が離せません。