日々のてまひまの日々

障害のあるアーティストと社会を、デザインでつなげる「日々の芸術」ただいま準備中(前編)

みなさんは、障害のあるアーティスト達が描いた作品を観たことはありますか? 特別な展示会に行かなくても、普段何気なく通っているcaféの壁や、ポスターやチラシなど、実は私たちの周りで目にする機会が意外とあるのです。

>前編
>後編

《日々のてまひまが手がけた、障害のある人の作品を使った制作物》


福岡市中央区の『西鉄天神CLASS』に設置した自動販売機。福祉施設『JOY倶楽部 アトリエヴラヴォ』の利用者さんによる愉快で賑やかな作品が、児童館に訪れる子ども達の遊びゴコロを大いにくすぐりそうです。

福祉施設『工房まる』のyokoさんが描いたイラストをリーフレットのデザインに採用。相続系のお堅い内容も、ほどよく力の抜けたイラストの効果で柔らかくとっつきやすい印象に。

施設で眠っていた作品たちが動きだす

福岡市内でアート事業を行っている障害者福祉施設『JOY倶楽部アトリエヴラヴォ』『ひまわりパーク六本松』『工房まる』の3施設には、合計10,000点にものぼる膨大な数のアート作品が眠っていて、日々作品数が増え続けています。


『工房まる』にて制作中の作品。それぞれの利用者さんが得意とする描写で、独特の世界観ができあがっていきます。

彼らが描く個性溢れる作品は、企業のノベリティや販促物などのデザインとして需要がある一方で、企業から「アートを使用したい」という依頼がきても、希望に合う作品を探すのにとてつもない労力がかかったり、他の企業ですでに使用されていたり・・・と「管理が追いついていかない」のが現状です。
そこで「日々のてまひま」では、3施設で貯蔵されている膨大な数のアート作品をデジタル化して、イラストストックを作成。ネットで閲覧して、企業の販促物や雑貨のデザインなどに使用できるようなしくみづくりをすすめているのです。使いたい人が使いたい時に、気に入った作品をダウンロードして気軽にデザインとして使用できるサイト「日々の芸術」が近々オープンする予定です。


2月に「日々の芸術」とのコラボで展開されたアート展「日々、描く」では、福岡市内3箇所のカフェが障害のある人が描いた作品でジャックされました。(写真は、solid&liquid✖️JOY倶楽部アトリエブラヴォ)

福岡市内のカフェ「TAG STA」では、『工房まる』のアーティスト柳田氏の作品のみをピックアップして展示。迫力ある制作映像も上映されました。

’ごく日常’で描かれる絵の いろいろな使い方

「現在、3施設で合計1万点以上のイラストが眠っています。それをレンタルフォトみたいな形で提供して、障害者のアートと社会とをつなげる橋渡しができたらと思います」と『株式会社ふくしごと』クリエイティブディレクターの先崎さん。「障害者がこんなすごい絵を描くんだぞ!」というのを広めたいのではなくて、「彼らが日常の表現欲求としてごく普通に描いている‘絵’が、もっといろんな形で使えるのではないか」というのがこのプロジェクトの原点にあるといいます。
「作品を使いたけど、どこに相談していいかわからない」と今まで躊躇していた人でも、手軽に障害のあるアーティスト達の作品を使うことができる、障害者と社会との新たな出会いなおしの場になりそうです。


6月末に公開予定のサイトイメージ。『工房まる』のアーティスト達によるキュートなイラストが、作品への期待を高めます。ジャンルごとにカテゴライズされているので、イメージにあったイラストを検索できます。

ところで、アート活動をしている施設ってどんなところなのでしょう? 日々の芸術が生まれることで、施設で作業している利用者さんにはどんなメリットが?? 日々の芸術がもたらす素敵な化学反応について、福祉施設『ひまわりパーク六本松』の山中さんにお話を伺いました。


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