穴バーレポート ACTIVITY

部位ごとの食感と香りを楽しんで 料理の腕が上がる“みやま市のセロリ”

「一口食べればセロリ感が変わる」と評判のみやま市のセロリ。ひと株丸ごと店頭に並ぶその光景のインパクトもさることながら、甘みのあるフレッシュな味わいに驚く人も多いそう。みやま市でセロリを生産する「瀬高町セルリー部会」の鬼丸智成さんも「作る前はセロリ大っ嫌いだったんですよ。香りがだめだったんです。でも、作り出してから旨味が分かりはじめました」と今では毎日食べるほどの大ファンに。
苦手な人もトリコにしてしまうセロリの秘密をご紹介しましょう!

意外に古いセロリの歴史 香りにはリラックス効果も。

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はじめに、セロリについての基礎知識をおさらいしましょう。セロリはセリ科に分類され、原産地はヨーロッパ、西南アジア、インドと言われています。最初は食用というよりも薬草や防腐剤、香料などで使われていたそうです。古代から中世にかけては風邪やインフルエンザ、痛みなどに効果がある「万能薬」として珍重されていたとか。日本に伝わったのも意外に古く、なんと加藤清正公がニンジンの種と間違えて持ち帰ったという説があるほど。「清正人参(きよまさにんじん)」なんて別名もあるんです。香りが強く、当時は日本人の食文化には馴染まなかったと言われていますが、戦後の洋食文化と共に大規模な栽培が始まったそうです。みやま市で栽培が始まったのもちょうどその頃。レタスに代わる洋野菜として栽培がスタートします。

現在生産されているセロリは、香りが強い「グリーンセロリ」、葉が白くて薄い「ホワイトセロリ」、中国野菜で「キンツァイ」と呼ばれている黄色味の強い品種などいくつか品種があります。みやま市で育てられているのは、コーネル種と呼ばれている中間種。淡い黄緑色で茎が肉厚、ほどよい香りと甘さが楽しめます。地元で人気の「醤油漬け」など、和食にも合わせやすいのが特徴です。

栄養成分を見てみると、ビタミン類、食物繊維カリウム、βカロテンなどが含まれていますが、注目すべきはその“香り”の効能です。
野菜ソムリエの鬼丸幸子さんは「会場の皆さんが感じていらっしゃるセロリの香りには、イライラを沈めて気分を落ち着かせる効能があると言われているんですよ。アロマテラピーにもセロリの種が使われているくらい。ですからセロリの匂いを嗅いでいると、すごく穏やかな気持ちになるはずです。セロリ農家は夫婦喧嘩なんてしないとか言われているんですよ」と茶目っ気たっぷりに教えてくれました。

あなたはどの部位が好き?使い分けで目指せ!セロリマスター

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さまざまな効能を持つセロリですが、穴バーでは野菜ソムリエプロでもある鬼丸幸子さんによるこんな企画で盛り上がりました。みやま市の大きなセロリだからこそ楽しめる「部位の食べ比べ」です。なんでも部位によって味わいが違うのだとか。
鬼丸さんが、一番大きな2Lサイズのセロリを分解しながら教えてくれました。

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手前右側から時計回りに、セロリの外茎、葉、芯、内茎。切りたてはさらにフレッシュで何もつけなくても味わい深い

●一番外側の茎「外茎」
水分量が多く、とってもジューシー。パキッとした歯ごたえも楽しめます。
「みやま市のセロリはスジが柔らかく食べやすいタイプなんですよ。それでも気になる方は、斜めに切ったり、細くスライスしてみてください」

●内側の「内茎」
少し黄色がかっていて、食感も柔らか。水分が少ない分、ギュッと旨味がつまっています。

●一番奥の「芯」
セロリの赤ちゃん。とても柔らかく、淡白な味わい。株で買わないとお目にかかれないレアな存在です。

●「葉」の部分
香りが強いので煮込み料理などにも活躍しますが、新鮮なものを手に入れたらサラダもおすすめ。

「葉っぱの口当たりは気になる場合は、さっとひと茹でしましょう。すぐ冷水にさらせば色落ちもしないし、水気をしぼって冷蔵すると結構持ちますよ」

食べてみるとその違いがよく分かるのですが、部位によって香りの強弱はもちろん、その広がり方も異なります。この違いをどう料理に利用しようか、なんて考えるのも楽しめそうですね。
道の駅で株ごと買えた時は、ぜひお試しください。

そうそう、鬼丸さんにはセロリの保存法もレクチャーいただきました。
「株ごと買った場合は、まずは茎と葉っぱを分けましょう。葉っぱが栄養を取ってしまうし、劣化も早いんです。黄色くなりかけている場合は、房ごと煮込み料理などに入れましょう。肉などのくさみも取れて旨味成分がアップしますよ」

株ごと手に入れたいなら道の駅へ セロリ加工品やみやまグルメも注目

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会場でも販売されていたセロリですが、スーパーや百貨店ではバラ売りをされているのがほとんど。株ごと購入したいという方は「道の駅みやま」へ向かいましょう。11〜6月には採れたてのセロリがずらりと並びますが、あまりの人気のために午前中に売り切れることもしばしば。道の駅のウェブサイトで在庫の確認をするか、遠方の方は電話で取り置きの連絡もできるそうですよ。穴バーのトークでは、みやま市の宮本啓吾さんが道の駅情報も披露してくださいました。

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「県内で道の駅は16箇所あるんですけど、みやま市は売り上げと集客数が県内2位なんです。今日会場で販売しているセロリかりんとうや羊羹など、セロリ加工品もたくさん扱っています。9店舗あるフードコートでもご当地メニューが楽しめますので、セロリを買った後はぜひ立ち寄ってみてください」

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鬼丸さんや宮本さんのユーモアたっぷりのトークで、セロリ好きの皆さんをさらなるファンにしてしまった1月の穴バー。みやま市にもドライブがてら足を運んでみてはいかがでしょうか。

(取材:編集部、文:ライター/大内理加、写真:カメラマン/王丸嘉彬・雨宮どら)

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