穴バーレポート ACTIVITY

放置竹林の竹と自作の農業用ハウスでトマトを作る!元プラントエンジニア農家佐々木さんのバイオマスシステム拡大計画


たけのこを主役に開店した4月の穴バー。ゲストである福岡県古賀市「From Tomato」の佐々木悠二さんは、九州は竹林が多いことや、全国的に荒れた放置竹林が問題になっていることも教えてくださいました。

佐々木さんは現在、放置竹林問題と向き合って竹林を整備しながら、春はたけのこを収穫し、冬は竹を燃料に農業用ハウスをあたためてトマトを生産しています。2年前までプラントエンジニアとして海外勤務をしていたという佐々木さんが、どうして農家の道へ? 気になる理由にせまります。

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普段は話題にあがることの少ないエネルギー問題も話題に挙がり盛り上がりました

▽前回レポート 竹林についてはこちらへ
https://anaba-na.com/anabar-post/21453.html

プラントエンジニア佐々木さんが
農家へ転身したワケ

現在は農家を主な生業とされている佐々木さん。前職とはなかなかイメージが結びつきませんが、きっかけは「バイオマス」という言葉に出会ったことだといいます。
「30代になってから海外の仕事をメインにするようになって、日本と関わることがほとんどなくなってしまったんです。なにか日本が抱えている問題を1つでも解決できないかと思った時に、エネルギー問題が頭の中に思い浮かんだんですよ」
日本のエネルギーシステムは、そのほとんどを石油や石炭などの化石燃料に頼っているというのが現状です。佐々木さんは国内で得られるバイオマスエネルギーを使い、子どもや孫が豊かに生きるための持続的な社会が作れたらという思いに至ったのだそう。

バイオマスとは地球上の生き物からエネルギーを得られる資源のことで、木や生ごみ、竹もその1つ。身近にある放置竹林の竹をエネルギーに活用しようと、佐々木さんの竹林整備計画が始まったのでした。

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古賀にある整備中の竹林。”整備”と一言で言っても、周りの竹に配慮しながらいらない竹を見定めて切り、集め、山から降ろしと、身体も頭もフル回転させる重労働です

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トーク中の真剣な佐々木さん。お客さまも手を止めてお話を聞かれていました

佐々木さんのお話で印象的なのは、竹林整備を持続的なものにするために「ビジネスとして成り立たせよう」と強く意識されていること。
竹林の副産物であるたけのこを販売し、竹を燃やした熱を利用してトマトを育てているだけではありません。通常の1/10程度におさえたコストで建てられるハウスを設計したり、前職の技術を活かしてトマトの栽培システムを自作のコンピュータで管理したりと、技術を駆使して低コストでの農業を実現しています。

もちろん重労働も大変そうだけれど、面白いな、ちょっとやってみたいなと興味をそそられるのは、ハウスや竹林を使って壮大な実験をしているようで、佐々木さん自身がとても楽しんでらっしゃるからだろうなあ。

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当日のお料理には佐々木さん作のトマトも登場しました。甘〜いフルーツトマトや加熱用トマトなど様々な品種を育て、付加価値の高いトマトを販売していく予定だとか

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ホームセンターで手に入る身近な素材を活用した、竹を燃やすためのボイラーの試作。「仕組みは簡単ですよ〜」と楽しげな佐々木さん。まるで夏休みの自由研究のよう!

 

目指すはエネルギーシステムの
チェーン展開

佐々木さんが今後目指していくのは、各地にバイオマス農業システムをチェーン展開していくこと。

現在の日本のエネルギーシステムでは化石燃料を主にしていますが、一部ではバイオマスの活用も行われています。ただし、多くは発電所などの施設が大規模で、設備を作るためのコストや、バイオマスを各地から施設に集約させるのにもお金がかかってしまいます。
「竹林+ハウス」で実現する佐々木さんのミニマムなエネルギーシステムならば、日本の至るところで資源の循環が可能になるはず。

私たちもトマトやたけのこを食べることで、自然と放置竹林やエネルギー問題の解決に貢献できるかもしれません。

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トマトを選んだ理由の1つは、「子どもから大人までいろんな方が食べる食材」だから。現在は古賀市の直売所などで販売をされていますが、今後はもっと多くの人に手に取ってもらえるよう、ネット販売も考えているそう

佐々木さんは現在、バイオマス農業システム構築のためクラウドファンディングにも挑戦中です。興味のある方はこちらのページへ。

アナバナも、佐々木さんを応援し続けたいと思います。


(編集部 天野)

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