5月の穴バーはうきは市の酢造発酵場Su(スー)の大山英章さん・紀子さんと「しぼりたて!桃酢びらきバー」を開店しました! 約1年をかけて熟成され、いよいよ解禁となった桃酢は、フルーティーな香りとやさしい口当たりが特徴です。お酢をたっぷり取り入れた料理とゲストトークで、果実酢の新たな使い方を発見した夜。当日の様子をレポートします!
うきは市は果実酢づくりにぴったりの場所?
Suさんがつくるうきはの果実の素敵な循環
ゲストの大山さんご夫妻は、「フルーツ王国」とも呼ばれる福岡県うきは市で、さまざまな果実を使ったお酢をつくられています。はじまりは、主に黒酢を製造する酢造にいらした英章さんが、「洋食にも合うお酢をつくろう」と独立され、果実酢づくりにぴったりの場所を求めてうきは市にたどりついたことからだそう。
うきは市にはもともと縁があったわけではなかったお二人。初めは農家さんのもとへ飛び込みでお願いに行ったそう。以来、10年に渡って地元の果物を使って果実酢をつくり続けています。
農家さんの方から「これで果実酢作れない?」とのリクエストもあり、今や商品はお酢だけでも10種類を越え、他にもドレッシングやマスタードなど、バリエーションはお酢そのものに留まりません。
熟し過ぎたものや少しだけ傷の入ったものなど、通常では廃棄されてしまう、美味しくても商品に出せない果物を活用してつくられる果実酢。お二人の果実酢づくりはうきはの農業にも風通しのよい循環を生んでいるようです。
お酢の概念が変わる!
まろやかさの秘密は時間をかけた発酵法
お客さまからは、「酸味がきつくなくて驚きました!」との声が多く聞かれました。
私も取材の際に初めてSuさんのお酢料理を口にして、そのまろやかさにびっくり。「お酢がきいていて酸味が強いのかな〜」、なんて想像をしながらいただくと、本当に驚きます。
Suさんのお酢は、一晩でお酢をつくれる一般的な発酵法とは違い、半年から1年の期間をかけて発酵させる「静置法」によってできています。静置法ではゆっくりと発酵させることによって果物そのもののうまみが引き出され、角がとれたようなまろやかなお酢に仕上がるのだそう。
英章さん・紀子さんのやわらかなお人柄や、手間ひまをかける酢づくりへのまなざしも、お酢のまろやかさに表れているのかもしれません。
全てに桃酢を使った当日のお料理は、お酢の主張がほんのりと優しく、食材に絶妙なアクセントをつける名脇役となっていました。
今まではピクルスやお酢の和え物にしか使うイメージのなかった私ですが、スープやサラダ、煮込みやデザートにまで使えるSuさんのまろやかな果実酢に、お酢の印象がガラリと変わった一夜となりました。紀子さんのようにお酢使いの達人になれたら、お料理の幅もかなり広がるのだろうなあ。
レポート後編では、桃酢が使われた目からウロコなお料理を紹介します!
お酢の使い方の参考にしてみてくださいね。
(編集部 天野)