3/26(火)〜31(日)に、長崎県美術館と国指定史跡「出島」の2会場で開かれた「ナガサキリンネ」へ。
私が訪れたのは30日(土)。
最終日を含む週末の2日間、同時開催されていたフードマーケットと43名のつくり手さんが会場に立ち、
販売をするクラフトマーケットに行ってみたかったのだ。
会場のある長崎市出島町は、島々を結ぶ船や外国からの客船が出入りする港町。
正面には稲佐山がくっきりと映え、最高に天気の良かったこの日は、
そりゃーテンションがあがらずにはいられない気持ち良さ。
まず向かったのは美術館側のテラスで開かれていたフード・クラフトマーケット。惣菜やパン、珈琲などの販売店にお客がにぎわっている。
芝生ということもあってかフワフワとした空気感がなんとも心地よい
珈琲は元々長崎から日本に入ってきた文化なんですねぇ。知らなかった。 長崎に行くときには立ち寄ろうと決めていたカリオモンズコーヒーも出店していたので、さっそく1杯いただいた。
特に心を奪われたうつわは、天草に工房をかまえる作家さんのもの。
天草は「天草陶石」という土が豊富に採れる焼き物の盛んな地域。
作家さんによると「もっと多くの人に天草の陶磁器を手に取ってもらいたい」と、若い層を中心に地域をめぐってもらえるようなイベントを企画中なのだそう。
今度の陶器市の案内をくださるとのこと。嬉しい出会い。
萌え~
美術館内ではワークショップも開かれていた。
波佐見焼きの作家さんを講師に招き、石膏型を使って成形する「排泥鋳込み」という製法を再現された、かなり本格的なもの。
子どもさんたちも交えて、茶道具「蓋付小瓶(振出し)」を作ったのだそう。
「素材の力」という力強いタイトルが素敵だ。
型で形が固定される本体とは違い、フタには個性が満載。
もう一つの会場は、国立指定史跡の「出島」。
出島の資料館と旧出島神学校に挟まれた広場だなんて。
かつての鎖国時代へ思いを馳せずにはいられない。
あぁ、長崎って楽しい…
こちらの会場にも焼き菓子や酒蔵の商品、クラフト作品が展示販売されていた。
お、雲仙温泉の遠江屋(トオトウミヤと読む)の湯せんぺい屋さんを発見。
以前お土産にもらった湯せんぺいが懐かしく立ち寄る。
手焼きで湯せんぺいを作っているのは、今では遠江屋さんだけなのだそう。
湯せんぺいを使ったゴーフレットやチョコバーなど、趣向のきいた商品も勧めてくれた。
つくり手さんと会話をしながらお気に入りを見つけるのも、楽しみのひとつだ。
途中、気になった会場正面にあるうつわや暮らしの道具をそろえるお店「List;」にも立ち寄る。(ナガサキリンネ事務局だったことを後で知る…)
最後に美術館内の展示会場へ。
ここではクラフトマーケットに出店している作品や、伝統工芸「松原包丁」、「本木昌造と活字のある風景」など、長崎と文化の交わりが感じられる興味深い企画になっていた。
なかでも心おどらされたのは「日々をつつむ包装紙」の展示。
ふだん、何気なく目にしてきた“脇役”の包装紙も、こうしてあらためて眺めると「あ、あそこのやつだ!」とちゃんと記憶に残っていて、手にしたときのあのワクワクする香りとか、その時の思い出まで呼び起こしてくれるから不思議だ。
目の前のご夫婦も「わぁ、あれ懐かしいねぇ」と感慨深げだった。
素敵なつくり手さん、おいしい食を提供してくれる人が、こんなに近くにいることをあらためて感じる。
そして、九州に暮らす私にとって、九州の魅力を再発見できたという嬉しい気づきがいくつも落ちていた。
自宅に帰り、会場で手にした冊子をあらためて読む。
作品や展示に至ったエピソードなどが丁寧に記されていて、さらにつくり手さんへ興味が湧く。
その場で見学して購入して終わりではなく、つくり手さんとの出会いや行動を後押しするこうした冊子も、めぐっている感じ、つながっているようでとても良い。
帰りに、美術館の目の前にある水辺の森公園へ。
船にもトリコロールが。リンネつながり?と思ったら、水産庁の漁業調査船だった。。。
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(取材/文 曽我、写真/西田)