イベントレポート

映画「バレンタイン一揆」上映会&並河進さんトークイベントレポート

アナバナ編集部1Fのスペースで開催させていただいた上映会。東京からゲストを呼んで、トークまでしてもらって…さて、いったいどんなことになっていたのか。開催から少し時間が開いてしまいましたが、主宰させていただいたわたくし吉野がその模様をレポートさせていただきます。

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この日のメニューは、ドキュメンタリー映画「バレンタイン一揆」の上映、そして、この作品を企画した、電通のソーシャル・デザイナー兼クリエイティブデザイナー兼コピーライターである並河進さんのトークの二本立てです。

バレンタイン一揆」ってどんな映画?

この作品は世界の子どもを児童労働から守るため、19­97年から活動している国際協力NGO「ACE(エース)」の設立15周年記念として制作されたドキュメンタリー映画。主役は、ふつうの学生の女の子3人です。彼女たちがアフリカのガーナに向かい、そこで出会ったのは、たくさんの子どもたちがカカオ農園で働かされ、学校に通うこともできない「児童労働」という現実でした。そして彼女たちは動き出します。バレンタインデーに、フェアトレードでつくられた、ほんとうに愛のあるチョコレートを、日本のみんなに選んでほしい。果たして、彼女たちの想いはみんなに届くのか? これは、児童労働の問題と出会い、悩み、闘った、日本の女の子たちの物語です。

児童労働と聞いても、あんまりピンと来ないという人も多いかもしれません。でも今回は、この地球のどこかで起きていることを、少しだけでも身近に感じる機会になったらいいな、ということで自主上映の運びとなりました。簡単な挨拶のあと、早速上映スタート!

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上映中の写真は残念ながらありませんが、約60分の作品が終わり参加者の表情を見ると、それぞれいろんな思いを胸に膨らませた様子。ドキュメンタリーだけあって過度の演出のないリアルなストーリーに、かえって心を打たれました。

 つづいて、「そのこ」という短い映像の上映に移ります。

これは、谷川俊太郎さんが7歳の男の子の気持ちになって、児­童労働を伝えるために書き下ろした詩。「バレンタイン一揆」と同じ制作チームが映像化を手掛けた作品で、この詩に塚本やすしさんが絵を添え、森山良子さんと矢野顕子さんのユニット「やもり」が歌を添えました。

□「やもり」をyoutubeでひらく

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「そのこ」のポストカード

しばしの休憩を挟み、第2部へのトークイベントに移ります。

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フェアトレードショップとして知られている「People Tree」のコーヒー。そして、映画をみたらきっとチョコが食べたくなるはず!と、チョコもご用意しました。

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紅茶派にはフェアトレードのナチュラルティーをご用意

ドリンクとチョコ、クッキーが並ぶテーブルを囲んで、いよいよゲストの並河さんがマイクを握ります。

さまざまなソーシャルプロジェクトを手掛けてこられた並河さんですが、実際にお会いすると、ごく自然体の方。会場の空気もやわらかくなり、緊張もほぐれていきます。

 並河進さんってどんな方?

電通ソーシャル・デザイン・エンジン所属ソーシャル・デザイナー/クリエイティブ・ディレクター/コピーライター

世界手洗いの日プロジェクト、千のトイレプロジェクト、100万人の手洗いプロジェクト、WorldShift、祈りのツリープロジェクト、GAL LABOなど数多くのそーさるプロジェクトを手掛ける。著書に「ハッピーバースデイ3.11」「Social Design」「Communication Shift-モノを売る-から社会をよくする-コミュニケーションへ」など

[参考]

http://dentsu-social.jp/sdtj/detail004.html

http://greenz.jp/2013/10/07/socialdesign_namikawa/

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トークスタート!

コピーライターとして広告業の第一線で活躍してこられた並河さんが、広告のありかたに疑問を感じ始めたのは今から約10年前。広告づくりのスキルや発想には、「モノを売る」だけではない価値があるのではないか。マーケティングやブランディング、プロジェクトのすべては、「社会をよくする」コミュニケーションとして機能するのではないか…そう考えたそうです。この思いや事例は、著書「Communication Shift」に詳しく綴られており、主宰者が並河さんや「バレンタイン一揆」と出会ったのも、この本がきっかけでした。

 トークでは、これまでに手掛けてきたたくさんの事例を挙げながら、そこにまつわる思いや苦労、形になった時の気持ちなど、自分の言葉でわかりやすく話してくださいました。

「ソーシャルデザインって?」「ソーシャルプロジェクトって?」と、??がいっぱいだった頭の中のモヤモヤが、少しずつ晴れていきます。

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並河さんの話やプロジェクトは、井上ひさしさんの名言「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことはあくまでもゆかいに」を体現したような印象

1か月のうち1週間は海外へ行っているという並河さん。インドや東ティモール、中国と飛び回っているそうです。そのほか日本国内も足を運び、多忙を極めているとあれば、もうコピーのお仕事はできないですよね…と聞いてみると、「してますよ!」とのことでした。

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紅白歌合戦のキャッチコピーなども手掛けられているそう。今年の紅白は違う目線で観てしまいそう。

「バレンタイン一揆」や並河さんのお話を通じて実感したのは、「社会貢献」ってなんだか堅苦しくて難しいことのように感じられるけど、自分なりにできることをできる範囲でやってみることなんだということ。誰かのために何かすることは、その誰かのためじゃなく、自分のためであるのかもしれません。

日本で、世界で起きていることを、ちょっとだけ「自分ごと」として捉えてみる。「そうしたら、もう今からみんながソーシャル・デザイナーですね」。並河さんの言葉は、参加者みんなの心の奥の方にじんわりと響いたような気がします。

ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました!

010vt(文/吉野友紀、写真/比田勝大直)


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