博多まちづくりミートアップ

訪日観光客に選ばれる博多に!博多に暮らす・働く私たちがこれから取り組むべきことを考える 〜ミートアップvol.29レポート後編〜

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さまざまな事業を行う方をゲストに招き、その取り組みを通じて“博多のまち”について対話をしながら、「これからの博多のまちづくり」を考えるトークイベント「博多まちづくりミートアップ」。29回目は、有限会社フクオカ・ナウ取締役・ゼネラルマネージャーのサーズ恵美子さんを迎え、「博多のまちとインバウンド」について考えた会のレポート、後編をご紹介します。

「住みやすいまちは何か」。観光もまちづくりも一緒に考える

恵美子:
「外国人は全ていい外国人じゃない」ということは、今日必ず伝えたかったことの一つです。人なので、悪い人もいる。そこは見極める必要があり、「みなさんウェルカムですよ」は辞めたい。福岡・九州を好きになってくれる人たちに来てもらえるような発信っていうのがあると思うんです。どういう人たちに来てもらいたいのか、まちとしてしっかり持っておかないと。

関:
「外国人だから」という考え方を強く持ち過ぎると、日本人と外国人とで違うサービスをするのかという話になるのかなって思うんですよね。もちろん求められるものは違う部分もあるんですけど、それは日本人の方も同じ。たとえ日本人の方だとしても、一人ひとりでニーズは違います。国籍がどこであれ、必要なものはそれぞれ違うので、どういうふうに真摯に向き合っていくのかが我々が必要とされていることだと思っています。

岸本:
インバウンドって、国際的なことのテーマを話しているように聞こえますが、人としてのふるまいとか、人としてどう考えるのかってことに辿り着きますね。「インバウンド」っていう言葉の弊害で、特別な対応って思っている限り、真の解決にはならないんだと感じます。

恵美子:
施設の利用者が外国人からの旅行者ばかりになったら、日常使いをする日本人が減っちゃうかもしれない。「駅を利用して、お買い物をして帰る」という地域に住む日本人にとって生活の場であるってことを、事業者として持っておかなくちゃいけないと思うんです。これは、オーバーツーリズムの問題にも関わってきます。「誰もが住みやすいまち=リバブルシティ」を考えたときに、観光もまちづくりも一緒に考えるというのは大きなポイントです。

「インバウンド」っていう言葉が嫌いなのは、「インバウンド予算を使って多言語化する看板を作りましょう」といった話になりがちだから。マーケティングの言葉に踊らされて、目の前の数値を拾うような戦略をとりがちなんです。そもそも、「住みやすいまちは何か」っていうまちづくり、国づくりをしっかり考えておかないと、自分たちの好きなまちが、自分たちがいられる場所じゃなくなるっていう危機感があるんです。

岸本:
行政がやってくれるっていうんじゃなく、自分たちがどんなまちにしていきたいのかっていうのを一人ひとりが考えておかないといけないのでしょうね。大きな施設は、必然的に最初に問われる場面があると思います。誰のための施設を目指すのか、どんな人に来てほしいのか。キャナルシティ博多ではどうお考えですか。

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河野:
商業事業者としては、目先的な話で当然、インバウンドがたくさん来たほうが儲かるという話もあります。ただ長期的にいえば、「日本人が嫌がるよね」ってところは絶対出てくる。そこをどう両立していくのか、今はまだ答えがでず、考えているところです。

ただ「外国人の方に喜んでいただけるコンテンツをいっぱいそろえよう」っていうかつての考えから、「コアな日本人たちが好きなものを外国の皆さんにも感じていただこう」という考えに変化しています。「これが日常的な日本人なんだ」って言う、リアルな日本を感じられるような施設に向けて、舵を切りたいなって思うところです。

歩いて楽しめるまち・福岡の魅力を、まずは地元に暮らす人が知る

恵美子:
2009年、福岡に大型クルーズ船が定期出港をはじめた年に私たちが作り始めたのが「BEST MAP FUKUOKA(Now Map)」。お買い物だけじゃなく歩いてまちを楽しんでほしいねって思いで作り始めたんです。

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恵美子:
博多から天神、天神から大濠公園はそれぞれ歩けるし、大濠公園からは桜坂も徒歩で行けます。こうやってまちを楽しむことが、天神・博多の商業施設だけではない楽しみ方。徒歩や自転車移動で楽しめるまちって、実は世界の中ではかなり希少なんです。まちを楽しむことをまず私たちができるようになれば、人にも教えてあげられます。住んでいる人が、まちを楽しんでいる。そんなまちにしたいなって、私は思っています。

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岸本:
住んでいる人たちが自分のまちのことを愛していて、「これがいいよ」っておすすめしてくれることが旅行者にとっても心地が良い。福岡の人こそ、「自分たちのまちってこんなにすてきなんだ」ってことをちゃんと知ることが大事なのかもしれないですね。

暮らすように旅するまちへ。皆で手を組めば、できることはたくさんある

参加者1:
アメリカ人といっても、北米・南米とは行動パターンや文化が違います。ヨーロッパや中東、アフリカもそれぞれ違う。訪日観光客っていうのは、具体的にどう絞って行くのが良いと思いますか。

恵美子:
ターゲットは、「好きになってくれる人」。安く買い物ができる場所を探している人に選ばれるまちではないです。

でも、マーケティングの視点からいうと、旅行・観光業っていうのはやっぱり欧米に向けて行うことが多いです。アジアの人たちは、欧米の人たちが良いと言ったものを取り入れる傾向があります。欧米向けに発信されたものに、アジアがフォローするという流れがあるので、アジアの人を狙いたい場合も、欧米向けに発信するという大雑把なルールはあります。

私たちは、福岡的なものに関心度が高く、文化的成熟度が高い大人のヨーロッパや北米の人が好んで長期滞在してくれるまちになったらいいなと思っています。博多の町屋に2週間くらい滞在しながら、新幹線や列車を使って九州を巡って、また帰ってきて福岡のまちでゆっくりしてくれる。暮らすように旅行を楽しんでくれる人たちが好きになってくれたらいいな。九州は自然も豊富ですから、トレッキングやサーフィンを含めてまるっと楽しんでくれるような人たちが、長期で滞在するのに適しているまちだと思いますね。

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参加者2:
2025年に開催される大阪万博にむけて、新たな観光動線「西のゴールデンルート」構想が進んでいます。福岡でも一泊滞在してもらうようなコンテンツが必要だと思っているのですが、どういったものを準備すれば福岡・博多で消費をしてもらえるのでしょうか。

恵美子:
いろんなところにいって感じるのは、やっぱり宿泊施設がある程度豊富なところは強い。だって、どんなに「糸島がいい」っていっても、泊まるところほとんどないんですよ。結果的に日帰り需要しかゲットできません。福岡市は、宿泊施設が魅力的であるということが一番大きいです。さらに夜を楽しむコンテンツとして、屋台という安全で、すばらしいサービスがあります。一方で、長く滞在してくれることを目指す必要はあると思います。

また、例えば百貨店は、これまで「北海道フェア」とか「イタリアフェア」とか、この土地にないものを売っている場所でした。でも、この地のものを求めてくる人が増えているので、ラインナップを変えていかなければならない。地元のものを見て買える場所が必要です。まちの動きに目を向けていくと、世の中の動きに敏感な若者たちはすでに動いています。それを上手に察知して、一緒に進めていけるように門戸を開いていくことで、事業者もできることはたくさんあるのではないでしょうか。

今は、コンテンツをお持ちの方と手を組んで、協力をしていくっていう世の中です。イチから作っていくと多分、世の中の動きに間に合わない。あるものを活かして手を組み合って一緒に大きくなる。そしてまちの方を向いて、みんなで動くっていうのが必要だと思います。

無理をせず、どういうふうに継承していくかっていうことが大切です。日本ではまだ「ESG」って言葉が、観光の業界で使われていないっていうのがちょっと心配なんです。「ESG」とは、企業が長期的に成長するために経営において必要とされる、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の頭文字を合わせた言葉です。持続可能で豊かな社会の実現を目指す上でESGの視点は注目されています。

なかなか観光の業界で「ESG」が叫ばれることは少ないんですけど、あえて福岡・博多の観光開発をするときには、「ESG」をひとつ指標に入れて、チェックリストにしていくのもいいんじゃないかと考えています。

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恵美子:
まず、地元の方が福岡のことを好きになり、さらに福岡を訪れた人が福岡を好きになってくれて、もっと福岡のファンを増やしたい。ぜひそういう仲間として情報交換をしたり、お互い助け合ったりしながら、まちが長生きして行けたら思っています。ぜひ、フクオカナウをフォローして、広げてやってくださいね。本日は、私のさまざまな思いを受け取っていただき、ありがとうございます。

(了)

 

 

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