Backpackers’ Japanが考える、福岡のポテンシャル
岸本今回、せっかく福岡に来ていただいているので、ぜひうかがいたいのですが、お三方にとって福岡ってどのように見えていますか?
塩満訪れるたびに変化を感じていて、すごくペースも早いし、すべてが実際に機能していますよね。すべてのものにちゃんとセンスを感じますし。
藤城ぼくは今実家が糸島にあるんですが、やっぱり塩満と同じく、帰ってくるたびに変化を感じていますね。街の面白さがどんどん増えていっているな、と。
岸本もし、現時点で、福岡のこの辺りでこんなことやりたいんだよね、みたいなことがあれば教えてもらえますか?
藤城現実的な話をすると、博多駅から電車で10分〜15分くらいの場所が、ぼくらとしては検討範囲になるのかなと思っています。ただ個人的には西新が好きですね。福岡のローカルのよさがあの街には詰まっていると勝手に感じています。
塩満ぼくは、西中洲・春吉・今泉なんかが面白いなと感じています。
石崎僕は2人と比べると圧倒的に福岡きたことがなく、まだ土地勘がないので、これからいろんなところに行ってみたいと思っています。
岸本では、最後にBackpackers’ Japanの今後の展望について教えてください。
石崎目標としているところは大きく2つあって、ひとつは、宿だけではなく複合的に会社を成長させていくこと。宿と相性のいい事業を中心に展開しているので、良い時はみんなで相乗する、そうじゃない時はそれぞれ頑張るみたいな会社の体制にしていきたいなと思っています。
その時に大事なのが最初にお話した「新しい景色をつくる」っていうミッションが本当に大切だと思っていて、人と場所の力を掛け合わせて生まれる共鳴みたいなものをどんどん世の中に出していきたいなと思っています。
ふたつ目は逆に宿泊事業のさらなる展開です。個性の光るような宿をもっとつくっていきたいと思っています!
会場からのご感想・ご質問
参加者1コミュニティづくりのところでうかがいたいのですが、すごく素敵でいいコミュニティほど、そのコミュニティに依存しちゃう人がでてくるのかな、と思うのですが、意識していることはありますか?
石崎常連さんと呼ばれる人の中には週6日ほど泊まりにくる方もいらっしゃいます。「ここは俺の場所だ」と幅を利かせる感じではなくて、「Nui.」の流れるコミュニティがいいよねって来てくれる人ばかりなので、僕らが意識しなくても不思議と人や空気が自動的に出入りするような空間になっているかなと思いますね。
藤城ぼくらが掲げているオープンでフラットを、スタッフひとりひとりが体現できているので、そこに居心地のよさを感じる人が自然と集まってきている、っていう感じですかね。
塩満本当に「Nui.」っていつも風通しがいいんですよね。意図して、というよりは、自然体でそうなっている感じがしますね。
参加者1なるほど、自然体でなんですね。そういう空気感を持っている場所だからこそ、変なルールで縛る必要がないんだなとよくわかりました。ありがとうございます。
参加者2Backpackers’ Japanさんがつくる場所が好きで、すべて泊まりに行っているんですけど、どちらもその場所らしさを大切にしながらも、Backpackers’ Japanさんらしさもしっかり取り入れられているな、と。その塩梅って実はすごく難しいと思うのですが、何か意識されているんでしょうか?
藤城塩梅はそこまで考えていないかもしれないです。ぼくらがいいと思う空間を突き詰めるのを大事にしています。
石崎京都のホステルをつくる時に大工さんたちとも最初に話していたのが、京都だからって“和”にしたくはないよね、っていうことなんです。鴨川とか山の景色とか、そういうものを空間に落とし込んで京都らしさみたいなものを演出したいよね、っていう話になって。そういうちょっとした感覚みたいなものは、たくさんコミュニケーションをとる中でいつの間にかそろっていたっていうのはあるかもしれません。そのコミュニケーションの総量が「らしさ」を生んでるのかな、と。
塩満スタッフ全員がナチュラルに公平なんですよね。それが、自然にその場所の空気感をつくっている気がするし、その場所特有のものになっていっているんじゃないかなと思います。
参加者3宿泊施設やお店、カフェなど、認知されるのにはふたつのパターンがあると思っていて、ひとつはポイントで認知される場合、そしてもうひとつはシリーズとして認知される場合。シリーズとして認知されているものの代表が「星野リゾート」かなと思うのですが、Backpackers’ Japanさんの宿泊施設は、どう認知されていきたいとお考えですか?
藤城いい質問ですね!ぼくらもそこはまだ迷ってるっていうか、考えている途中なのかもしれないですね。キャンプ場なんかは同じブランドで展開していくほうがいいかな、と考えつつ、ホステルの方は「Nui.」と「Len」って一緒だったんですね!っていわれることもあったり。それはそれでひとつの形として面白いなって思っているので、どっちの方向でいくほうがいいのかはまだまだ悩みながら考えていきたいと思っています。
石崎ハイブリッド型でやれると、中にいる人たちの面白さにもつながると思うのでいいかなと思っていますね。ちょうど迷っているっていう感じです。
参加者4今日はありがとうございました。この宿泊施設があるとこは出店したいな、逆に避けたいななど、意識されているほかの宿泊事業者さんがあれば教えてください。
藤城そういう目線でいうとないですね。
参加者4参考にされているところはありますか?
石崎いい仕事やかっこいい宿って周りを見るといっぱいあって。ただ、ライバル関係だと思ったことはなくて、むしろ仲良くやっていけたらいいなと思っています。だからぼくたちも、自分たちがいいと思うものを突き詰めて、それが誰かの刺激になったらいいなと思っています。
参加者5私はコロナ禍で、さまざまなホステルに長期滞在する、多拠点生活のようなことをやっていたんですが、その中でBackpackers’ Japanさんが展開するホステルにも宿泊させていただいて、インテリアなどのハード面も本当に素晴らしいなと感じました。ハード面って出店時に一度決めちゃうとなかなか変えにくかったりすると思うのですが、ハード面だけに頼らない空間づくりについて、どう意識されていますか。
石崎最初につくって固定するのってリスクもあるなって思っています。ものはどんどん古くなっていきますし、いいと思っていたものでも、いつかいやになるかもしれない。どれも時代のうつろいの中で起こりうることですからね。やっぱりどこかで人が空間づくりの中心になっていくべきじゃないかなっていうのはすごく思いますね。ハードはあくまで前提やきっかけで。ゲストとどう接するかとか、話し合って改善し続けなきゃいけないと思います。一方で内装の話は、やっぱり誰かが思いを込めてつくったっていうことが、スタッフが変わってもじわ〜っと伝わっていくのが理想ですかね。
岸本ありがとうございます。では、最後にひとことずつちょうだいできますでしょうか。
塩満福岡は、個人的にも好きな街ですし、九州だけじゃなく西日本にとってもすごく鍵となる場所だと思っているので、Backpackers’ Japanとしても、有機的なものが生み出して活けたらと思っています。
石崎そうですね、ぼくはまだ福岡について全然知らないので、今回の滞在も残り1日あるので、少しでも多くの場所を見て帰りたいと思っています。
藤城本日ありがとうございました。ぼくは福岡出身ということもあって、ここで何かやりたいっていう熱量をすごく持っているんですね。だから、今後ともよろしくお願いします!という気持ちです。
岸本ありがとうございました今日は本当に皆様と深い話がたくさんできてよかったなと思います。ご協力いただき本当にありがとうございました。
(了)