博多まちづくりミートアップ

民間主導でつくる、過ごしたくなるまち。広島「カミハチキテル」の取り組みに見るこれからのまちづくり 〜博多まちづくりミートアップvol.27レポート〜

博多のまちづくりのヒントとなる事業者の取組を通じて様々なテーマについて考える『博多まちづくりミートアップ』。

27回目の開催となる今回は“まちを魅力的にする公共空間の活用法”をテーマに、広島市の都心部カミハチエリア(紙屋町・八丁堀地区)で活動をしている「カミハチキテル」よりゲストを迎え、開催しました。

関わる人を巻き込みながら、実際に利用する人が心地よく過ごせる空間のあり方を検討する「カミハチキテル」の取り組みには、公共空間の活用の仕方を考えるヒントがたくさん散りばめられていました。

ゲストはカミハチキテルの事務局を担う一般社団法人地域価値共創センターの増野良子氏、尾形愛実氏。まち協の各部会のメンバーとの座談会形式で進めました

ゲストはカミハチキテルの事務局を担う一般社団法人地域価値共創センターの増野良子氏、尾形愛実氏。まち協の各部会のメンバーとの座談会形式で進めました

会場のコワーキング&コラーニングスペースQに20名を超える人が集まり、関心の高さを実感しました

会場のコワーキング&コラーニングスペースQに20名を超える人が集まり、関心の高さを実感しました

広島で実施された2つの社会実験
道路や広場に歩行者の居場所をつくる

福岡市では、「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」などの再開発が進んでおり、まちの姿がダイナミックに変わろうとしています。再開発を進める上で、歩道を中心とした道路空間や公園、広場などの公共空間を活用し、歩きやすさや回遊性を高める取り組みも重要だと捉えられています。

今回のゲストである「カミハチキテル」の舞台となっている広島市の都心部・カミハチエリア(紙屋町・八丁堀地区)は、福岡市と同様に多くの都市開発プロジェクトが動きつつあるエリアです。

カミハチエリアは、福岡市で再開発が進められている博多〜天神エリアとちょうど同じくらいの規模感

カミハチエリアは、福岡市で再開発が進められている博多〜天神エリアとちょうど同じくらいの規模感

2018年、広島県と広島市による「ひろしま都心活性化プラン」が策定されたことをきっかけに、広島でのエリアマネジメントの気運が高まったといいます。ちょうど同じタイミングで、カミハチエリアが都市再生緊急整備地域に指定されたことをきっかけに、地域の民間企業を中心に、どのようなまちを目指したらいいのかを考える勉強会が立ち上がったのだとか。
勉強会でさまざまな検討をする中で、実際にアクションしてみよう、実践しながら何が最適なのかを見つけていこうと、2020年3月〜4月に1回目の社会実験が実施されました。
この時の社会実験のタイトル「カミハチキテル」が、任意団体の名称となり、現在も活動が継続されています。

1回目の社会実験では、車優先であった空間を人が歩きやすい空間=歩行者が憩い、出会いが起こる空間と捉えて空間づくりを行った

1回目の社会実験では、車優先であった空間を人が歩きやすい空間=歩行者が憩い、出会いが起こる空間と捉えて空間づくりを行った

バスやトラック、タクシーのための切り込み部分にウッドデッキを設置、歩道を拡張し滞留スペースに。コンテナによる飲食店出店は、博多まちづくり推進協議会の「ハカタストリートコンテナ」を参考にしたのだそう

バスやトラック、タクシーのための切り込み部分にウッドデッキを設置、歩道を拡張し滞留スペースに。コンテナによる飲食店出店は、博多まちづくり推進協議会の「ハカタストリートコンテナ」を参考にしたのだそう

2021年1月末〜3月には2回目の社会実験を実施。
道路空間での実施となった1回目に対し、民地の広場を活用した取り組みが展開されました。

2回目の社会実験は、民地空間で展開。コロナ禍、安心安全に過ごすまちのリビングを創出した

2回目の社会実験は、民地空間で展開。コロナ禍、安心安全に過ごすまちのリビングを創出した

芝を設置しただけで、積極的に使われる場所に。既存のモニュメントの周りに芝を設置することで子どもたちの遊び場となり、テーブルとイスの周りに芝を設置することで芝に直に座る子どもも

芝を設置しただけで、積極的に使われる場所に。既存のモニュメントの周りに芝を設置することで子どもたちの遊び場となり、テーブルとイスの周りに芝を設置することで芝に直に座る子どもも

2回の社会実験の話を伺って、とても印象的だったのは、期間限定で設置したテーブルとイスを広場の管理者が買取り、終了後も継続して設置している、というエピソード。

社会実験を実施したことで休憩できるファニチャーの必要性に気づくことができたのですが、当事者としてその必要性を実感できたからこそ柔軟に対応することができたのだと思います。

活動を継続するために、行政からの補助金に頼りすぎず民間主導での活動を目指そう、というのはよく耳にします。実はそれだけではなく、当事者が実施しているからこそ、直面する課題や要望の重要性を敏感に感じ取りスピーディーに対応することにもつながり、実際に利用する私たちのメリットにもなるのだな、と思いました。

使用したファニチャーの一部は、社会実験終了後もそのまま設置され、活用されている

使用したファニチャーの一部は、社会実験終了後もそのまま設置され、活用されている

そしてもう一つ、ファンづくりの仕掛け。
まちづくりには、マンパワーも必要です。社会実験では、取り組みに共感し、一緒に活動してくれる市民のサポーターチームをつくり、ファニチャーの出し入れなど日々の運営を交代で行ったそう。さらに、サポーターが企画するイベントも実施。アイデア出しから出店交渉、実際の運営までをサポーター主導で行ったのだとか。

自分が関わったことは、たくさんの人に知ってほしいし、共感してもらいたい。そして仲間が増えればもっといろんなことにチャレンジできて、まちがより魅力的になっていく。
素敵な連鎖が生まれるよい仕掛けだな、と思いました。

クラウドファンディングや日々の活動をサポートするサポーターを募集し、ファンづくりも実施。まちづくりのプロセスを一緒に学んでもらい、サポーター主導のイベントも生まれている

クラウドファンディングや日々の活動をサポートするサポーターを募集し、ファンづくりも実施。まちづくりのプロセスを一緒に学んでもらい、サポーター主導のイベントも生まれている

当日は、気になるお金の話やデザインの話、道路管理者とどう調整していったかなど、ざっくばらんに話していただきました。
当日のトークのようすをもっと知りたい!という方は、動画もぜひ覧ください。

YouTubeでの視聴はこちら
https://youtu.be/rvDUi4Dzm9s

今年の秋に3回目の社会実験を予定しているそうです。
現在、関係各所と絶賛調整中ということですが、これまでの取り組みを踏まえてどう進化していくのか、今から楽しみです。

 

(編集部:トゴウ)


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