博多のまちづくりのヒントとなる事業者の取組を通じて様々なテーマについて考える『博多まちづくりミートアップ』。
27回目の開催となる今回は“まちを魅力的にする公共空間の活用法”をテーマに、広島市の都心部カミハチエリア(紙屋町・八丁堀地区)で活動をしている「カミハチキテル」よりゲストを迎え、開催しました。
関わる人を巻き込みながら、実際に利用する人が心地よく過ごせる空間のあり方を検討する「カミハチキテル」の取り組みには、公共空間の活用の仕方を考えるヒントがたくさん散りばめられていました。
広島で実施された2つの社会実験
道路や広場に歩行者の居場所をつくる
福岡市では、「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」などの再開発が進んでおり、まちの姿がダイナミックに変わろうとしています。再開発を進める上で、歩道を中心とした道路空間や公園、広場などの公共空間を活用し、歩きやすさや回遊性を高める取り組みも重要だと捉えられています。
今回のゲストである「カミハチキテル」の舞台となっている広島市の都心部・カミハチエリア(紙屋町・八丁堀地区)は、福岡市と同様に多くの都市開発プロジェクトが動きつつあるエリアです。
2018年、広島県と広島市による「ひろしま都心活性化プラン」が策定されたことをきっかけに、広島でのエリアマネジメントの気運が高まったといいます。ちょうど同じタイミングで、カミハチエリアが都市再生緊急整備地域に指定されたことをきっかけに、地域の民間企業を中心に、どのようなまちを目指したらいいのかを考える勉強会が立ち上がったのだとか。
勉強会でさまざまな検討をする中で、実際にアクションしてみよう、実践しながら何が最適なのかを見つけていこうと、2020年3月〜4月に1回目の社会実験が実施されました。
この時の社会実験のタイトル「カミハチキテル」が、任意団体の名称となり、現在も活動が継続されています。
2021年1月末〜3月には2回目の社会実験を実施。
道路空間での実施となった1回目に対し、民地の広場を活用した取り組みが展開されました。
2回の社会実験の話を伺って、とても印象的だったのは、期間限定で設置したテーブルとイスを広場の管理者が買取り、終了後も継続して設置している、というエピソード。
社会実験を実施したことで休憩できるファニチャーの必要性に気づくことができたのですが、当事者としてその必要性を実感できたからこそ柔軟に対応することができたのだと思います。
活動を継続するために、行政からの補助金に頼りすぎず民間主導での活動を目指そう、というのはよく耳にします。実はそれだけではなく、当事者が実施しているからこそ、直面する課題や要望の重要性を敏感に感じ取りスピーディーに対応することにもつながり、実際に利用する私たちのメリットにもなるのだな、と思いました。
そしてもう一つ、ファンづくりの仕掛け。
まちづくりには、マンパワーも必要です。社会実験では、取り組みに共感し、一緒に活動してくれる市民のサポーターチームをつくり、ファニチャーの出し入れなど日々の運営を交代で行ったそう。さらに、サポーターが企画するイベントも実施。アイデア出しから出店交渉、実際の運営までをサポーター主導で行ったのだとか。
自分が関わったことは、たくさんの人に知ってほしいし、共感してもらいたい。そして仲間が増えればもっといろんなことにチャレンジできて、まちがより魅力的になっていく。
素敵な連鎖が生まれるよい仕掛けだな、と思いました。
当日は、気になるお金の話やデザインの話、道路管理者とどう調整していったかなど、ざっくばらんに話していただきました。
当日のトークのようすをもっと知りたい!という方は、動画もぜひ覧ください。
YouTubeでの視聴はこちら
https://youtu.be/rvDUi4Dzm9s
今年の秋に3回目の社会実験を予定しているそうです。
現在、関係各所と絶賛調整中ということですが、これまでの取り組みを踏まえてどう進化していくのか、今から楽しみです。
(編集部:トゴウ)