博多まちづくりミートアップ

福博リバーサイドにおけるまちづくりの展望〜ミートアップvol21レポート前編〜

一柳洋一郎 Yoichiro Ichiyanagi

福岡地所株式会社 商業事業部 商業価値創造プロジェクトチーム
一柳洋一郎 Yoichiro Ichiyanagi

福岡地所のミッション「福岡の街をもっと面白くする」に基づき、現在、キャナルシティ博多をより面白くするプロジェクトとして、周辺のキーマンを巻き込んでエリア全体を活性化すべく、日々様々な企画を計画。今後はキャナルシティ博多を飛び出し、清流公園や那珂川を巻き込んだエリア活性化を思案中。

花村武志 Takeshi Hanamura

西日本鉄道株式会社 ミズベリングファンクラブ・フクオカキャプテン
花村武志 Takeshi Hanamura

本業は天神ビックバンの中核である福ビル街区プロジェクトを担当。2014年に事業者決定した福岡市の水上公園プロジェクトを通じて、福岡の水辺を盛り上げていくためミズベリングファンクラブ・フクオカを設立。毎年9月末に開催されるSUP(スタンドアップパドル)の大会と屋外イベントを融合した『ミズベックガーデン』を中心に水辺エリアの活性へ取り組んでいる。

山本憲司 Kenji Yamamoto

株式会社西鉄エージェンシー ミズベリングファンクラブ・フクオカチーフミズベリスト
山本憲司 Kenji Yamamoto

本業は広告会社の営業として、クライアント企業へ広告コミュニケーション領域の事業ソリューションをサポート。また、西鉄グループで取り組む福岡の街づくり事業(都市開発)では、主にPFI案件における賑わいづくりの企画・制作・運営などに取り組んでいる。水上公園のプロジェクトの延長線でミズベリングを設立し、市民も巻き込んだ継続的な水辺エリアの活性にチャレンジ中。


21回目となる博多まちづくりミートアップのテーマは「福博リバーサイドにおけるまちづくりの展望」。千年夜市が浸透してきた清流公園、2020年完成予定の春吉橋のにぎわい広場活用、水上公園・天神中央公園周辺で活性化する水辺の活用の取り組み、一人一花運動の春のイベント、福博花しるべ事業によるチューリップロードなど、福博リバーサイドでは賑わいづくり・景観づくりが様々な形で進行しています。那珂川を挟む博多エリアの展望、福岡エリアの展望をそれぞれの仕掛け人をゲストに招き、リバーサイドを活用した都市のにぎわいづくり・回遊性向上について考えます。


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左から一柳さん、花村さん、山本さん

白石さん(以下、白石)みなさんこんばんは。司会進行の株式会社ダイスプロジェクト白石です。今回の博多まちづくりミートアップは、「福博リバーサイドにおけるまちづくりの展望」をテーマに、いろいろお話をうかがっていけたらと思います。

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白石まずは、こちらの資料をご覧ください。水辺空間(リバーフロント)の活用について、「都市計画マスタープラン」というのが掲げられています。

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白石そして本日の議題の“福博リバーサイド”とは水上公園から清流公園までのエリアを指します。それではさっそくですが、清流公園を中心に活動していらっしゃいます、福岡地所株式会社の一柳さんからお願いします。

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一柳さん(以下、一柳)福岡地所株式会社の一柳です。よろしくお願いいたします。まず簡単に自己紹介からさせていただきます。福岡地所に入社して今年で11年目、1983年生まれの36歳です。入社して、まずはマリノアシティ福岡を担当、その後、開発事業部を経て商業事業部にいたります。ちなみに趣味は釣りで、週末は1日が釣り、1日が妻と過ごす、そんな生活を10年くらい続けています(笑)。

福岡地所の街づくりが目指す「街のおもしろさ」とは?

一柳福岡地所の街づくりのテーマは「福岡の街を、もっと面白くする」なんですね。私自身の解釈になりますが、福岡地所が得意としているのはアート的な街づくり。どういうものかというと、新しい街や新しい商業施設をつくる、それを少しアート的な尖った形で表現し、周りに普及していく。ひとつの突出した“点”をつくるのが得意なのかな、と思います。キャナルシティ博多や、有名建築家が1棟ずつ設計したデザイナーズマンション・ネクサスワールド、この辺りは全国的に見ても当時はすごく面白いものだったんじゃないかなと。
近年の取り組みとしては、天神ビッグバンの第一号プロジェクトとして、世界的建築家の重松象平さんと取り組んだ「天神ビジネスセンタープロジェクト」。そして、キャナルシティ博多で1月27日から4月6日まで毎日3回上演されているエヴァンゲリオンのプロジェクションマッピングなどです。これはCMに使っていたお金をコンテンツにまわして、集客していこうという考えからスタートしたプロジェクトです。

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一柳そして、マリノアシティ福岡の敷地内に2019年秋にオープンした国内最大級の屋内型スポーツ・アスレチック施設「ノボルト」。これは私がメインで関わったプロジェクトなのですが、MARK IS 福岡ももちのオープンを受け、「どのようにマリノアシティ福岡の存在感をアピールしていくべきか」という課題がプロジェクトの始まりでした。
ノボルトは最初から完成形が見えていたわけではなく、全国各地の面白そうなスポットに足を運んでたどり着いたものなんです。「福岡の街を、もっと面白くする」という視点で考えた際に、福岡の中で東京ディズニーランドなどのように超広域集約のテーマパークは難しいです。そこで何度も足を運びたくなるような面白さを持つ場所をつくろうということからノボルトが完成しました。

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福岡の夜を彩る風物詩「千年夜市」との地域とつながった取り組み

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一柳もともとキャナルシティ博多のコンセプトは「街の中に街をつくる」だったんです。というのも25年前は、周辺が歓楽街だったので、中に入って違う世界観をお客様に見ていただくという考え方でした。25年経ってキャナルの周辺環境も変化し、今後10年間くらいかけて、もっと地域とつながっていこうと考えています。
ノボルトに取り組む際に施設だけではなく、イベントにもたくさん足を運んでいまして、1番心が踊ったことは、名古屋の「森、道、市場」。東京の「生活のたのしみ展」、広島の「The Trunk Market」などもよかったです。いずれもスモールビジネスとソーシャルグッドをかけ合わせた、出展者、参加者、企画者の思いが共有できる、いい距離感のイベントでした。こういう地域や出展者、参加者とつながったイベントを福岡でも…と考えた時「千年夜市さんしかないだろう」と、お声がけをさせていただきました。 そして、去年、那珂川付近の駐車場を使って実験的に開催したのが「千年夜市キャナルナイトパーキング」です。もともと福岡は、屋台や中洲ジャズなど、ナイトタイムエコノミーの要素がある街です。それを活かしてうまくつなげながら福岡を活性できたら面白いんじゃないかと思ったんです。

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一柳屋台を20店舗くらい、それにプラスしてライブやスケボー、ポールダンスなどを行いました。いい意味でカオスな空間というか、多種多様な人が入り混じって楽しめるイベントになったかなと思います。水辺の公園という心地よいロケーションの賑わいが、水上公園、春吉橋などもつながって、いつかはソウルのパムトッケビナイトマーケットのように、数種類のマーケットが切磋琢磨しながら盛り上げていけるようなイベントにしていけたらと考えています。

ミズベリングファンクラブ・フクオカの使命

白石続きまして、ミズベリングファンクラブ・フクオカチームから、まず花村さんお願いします。

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花村よろしくお願いします。私が導入を、山本がイベント関係というパート分けで、ミズベリングファンクラブ・フクオカについてご紹介させていただきます。

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花村「天神ビッグバン」の主要事業のひとつとして、行政と民間が協力して公共サービスを提供させていただいている水上公園で、私は不動産の開発、山本はイベント企画を担当しております。もともとは仕事として開発に携わっていたんですが、開発が終わったら引き渡して「はい、終わり」というわけにはいかないなということで、個人の活動としてミズベリングファンクラブ・フクオカを立ち上げて活動しているという状況です。

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花村こちらはミズベリングの活動範囲です。天神⇔博多をつなぐ推奨ルートの中心に水辺が位置すればいいな、と思っています。東京や大阪には、歩いて楽しい通りというのがありますが福岡の場合、移動は徒歩ではなく地下鉄やバスを使っている方が多い。歩いて楽しい通りを創出するためにリバーフロントの充実が非常に重要になると考えています。
一方で、これから福岡ビルや天神コア、天神ビブレなどの工事がこの先4年くらい続くというような状況で、博多と比べると、天神のプレゼンスが下がっていくんじゃないかといわれています。水上公園や天神中央公園の近辺、天神ビッグバン東側のゲートで天神を盛り上げていきたいという会社のミッションもございます。

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花村ミズベリング活動の原動力ともなっている、私の好きな言葉が「川はどこでも同じ姿ではない」です。街によって幅や長さも違うし、水辺というのは都市のセンスが見える場所なんですよね。福岡の文化センスというものが川の活用を通して問われているんじゃないかなと思っています。


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