鐘ヶ江オリジナル商品にも力を入れています。福岡県内のメーカーさんとのコラボが中心なんですが、「堂島ロール」で有名な大阪のMon cherさんとコラボした「堂島チーズクリームロール」を販売しております。九州外の会社とコラボする時にはちょっとした条件をつけさせていただいておりまして、工場が九州にあり雇用を生んでいること、または、九州のものを使っていること、このどちらかを満たしていることが条件となっております。
鐘ヶ江さらに、JR九州と連携して、お客様にアンケートを実施いたしまして、お客様のニーズなどを調査いたしました。女性の5割程度の方は自分へのお土産を購入されている方が多く、プレミアムコーナーの新設は正解だったな、と。そのほか、お土産を購入するお店を決めるポイントとしては、内装の雰囲気がよい、商品が魅力的に見える、そして、飛び抜けて票を集めたのが、そこでしか買えない限定アイテムがあるかどうか、ということだったんです。後づけですけど、私たちが思い切ってやったリニューアルはやはりすべて正解だったんだな、と大満足しております(笑)。
白石差し支えなければ、リニューアル前後でどのくらい売上の変化があったのか教えていただけませんか?
鐘ヶ江2015年のオープン当初と比べて142%です。
白石繁忙期の売上がグッと伸びたというよりは、全体的に底上げできた感じでしょうか?
鐘ヶ江2015年のリニューアルで店内の回転率が上がって、繁忙期の売上が増えました。その後のリニューアルで閑散期も売上が上がるようになったのかなと思います。
お土産売り場から地域に貢献!
白石ではさっそくですが、色々こちらから質問させていただけたらと思います。まず鐘ヶ江さん。1ヶ月に1度レイアウトを変えているというのは、地域の新たな名産を作ろうといった思いからなんでしょうか?
鐘ヶ江はい。小売の特徴ですけど、売れるものは前に出す、前に出すとまた売れるっていういい循環を繰り返していくんですけど、本当に売れる商品は一番前でなくても売れることは実証済みで、加えて新しい名産を売っていくというのも我々の大切な役割だと思っています。新しいものが売れる、そうすると地域の産業が育つ、我々が売ることによってまた九州に来たいと思ってくださる、それが何回も繰り返されて、住みたいに変わる、すると雇用が生まれる。それがいい循環になって九州の人口がもっと増えるといいなと本気で思っております。
白石ウェブでなんでも買えてしまう時代ですが、お店側から九州のホットなものや面白いものを提案しているのは、商品開発部の方が探し歩いているんですか?
鐘ヶ江はい。昨年の4月から新たに商品部というのをつくりまして、その中で商品戦略課の4名が日々探し歩いております。
白石今、九州の中でこれは熱いなっていうのはありますか?
鐘ヶ江原料でいうと長崎で生産されているゆうこう、こちらも柑橘類なんですが宮崎県産のへべすには注目しています。
互いに切磋琢磨することでいい商品が生まれる
白石では二鶴堂さんにもうかがいたいと思います。福岡でも知名度の高いお土産品を数々生み出してこられていますが、現在試行錯誤されているのはどのようなところでしょうか?
池若年層を取り込むために様々なフレーバーに挑戦しています。「博多の女」であれば、あまおう味や抹茶味、珍しいところではハチミツレモン味なども発売しています。まだほかのお菓子メーカーさんが出していない新味を、常に考えていますね。
白石社内に商品開発部のような人たちがいるんでしょうか?
池実はいないんです。月に1回「次世代経営塾」という会議のようなものを開催しているんですが、各部署のリーダー的ポジションの人たちが集まって、意見を出し合っています。
白石今、特に大変だなと思うことはどんなことでしょうか?
池シンプルに、人材が不足していることでしょうか。このフレーバーはいいぞと思って開発しても、工場の人材が足りないということでなかなか商品化に至らないということがあったので、機械の数を増やしたりしているところです。多分自社の工場を持っているお菓子メーカーさん、みんな悩んでいるところなんじゃないでしょうか。
さらなるインバウンドに需要を見込んで
白石世界では土に還る袋などが開発されていたりと、パッケージの簡素化・エコ化がどんどん進んでいますが、それについてはどうお考えですか?
鐘ヶ江銘品蔵についてはセレクトショップなので、お土産のパッケージ自体を当社が主体的に変えることはできないんですが、お土産用の小分け袋を削減するような取り組みを今考えているところです。もちろん、法に従うのは当たり前で、その一歩先を見越していきたいと思っています。
池弊社は、まさに“土に還る”ものを、今年の5月から取り入れる予定です。
白石外国人に売れるものはどんな商品なんでしょうか?
池弊社の弱いところは外国人客ウケが悪いところなんです。今、韓国人観光客が激減していますがまったく影響は受けておりません。うれしいような、悲しいような…という複雑な心境です。
鐘ヶ江銘品蔵も同じです。ラグビーのワールドカップが開催された時に合わせて、店内にQRコードを設置しました。読み込んでいただくと、携帯のデフォルトの言語でお土産をご案内するような仕組みだったのですが、思ったほど利用されていないようでした。これから、まだまだ改善の余地はありますね!
白石お土産ショップとお菓子メーカーの視点、両方からお話をうかがうことで新たな発見や気付きがあり、ぼく自身もたくさん学ばせていただきました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
(了)