博多まちづくりミートアップ

福岡の新たな風物詩「千年夜市」。続く楽しみのつくり方〜ミートアップvol18レポート前編〜

松岡まさたか Masataka Matsuoka

千年夜市実行委員会 代表
松岡まさたか Masataka Matsuoka

ロマンを追い求めて勝手にがんばる37歳。「自分が楽しいこと・誰かが喜んでくれること」を仕事や遊びの価値基準の最優先にし、活動を展開する。つくりたいのは特別なイベントやフェスではなく、日常のすぐ隣にある新しい日常。最近のキーワードは「夜市の名物づくり」「電気と照明屋さん」「頼まれてもいないことを」など。

牟田正臣 Masaomi Muta

千年夜市実行委員会外交・防犯
牟田正臣 Masaomi Muta

博多の町に生まれ、山笠と共に育ち、現在は博多中洲の町で安心、安全、笑顔がある町のために日々奮闘中。昭和の中洲、平成の中洲、令話の中洲で町に関わり、中洲町連合会や中洲一丁目町内会などのお世話役員を約30年ほど担っている。

高木洋人 Hiroto Takaki

千年夜市 コーヒー屋さん
高木洋人 Hiroto Takaki

角打ち「BANKS STAND」(予定)イベント・催事「BANKS PARTY」コーヒースタンド「BANX RIVER」カフェ「BANKS HOLE CAFE」を経営するオーナー。福岡県内外のマルシエや催事出店を経験し、千年夜市では会場の花となる大型バー「アイランドバー」の立ち上げを行うなど、様々な仕掛けを行っている。


日本各地へ海外からの旅行者が増加する中、夜の観光コンテンツとし注目されているナイトタイムエコノミー。国を挙げて振興しようという機運が高まりを見せているにも関わらず、思うように進んでいないのが現状です。そんな中、福岡市の中心部で2013年に開始し、新しい夜の遊び場として毎回盛り上がりを見せている「千年夜市」。独特な存在感を発揮し、全国的にも注目度が高まっています。今回は千年夜市実行委員会から代表の松岡さん、外交・防犯の牟田さん、そして出店者代表として福岡市内でカフェを営む高木さんをお招きし、千年夜市についてたっぷりとお話をうかがいました。


注目されるナイトタイムエコノミー

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モデレーターの白石さん

白石洋一さん(以下、白石)みなさんこんばんは。本日モデレーターを務めさせていただく株式会社ダイスプロジェクトの白石です。今回の博多まちづくりミートアップは、博多の新たな風物詩になっている千年夜市にスポットを当てたいと思います。本題に入る前に、簡単にナイトタイムエコノミーについて説明させていただきます。

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左から、高木さん、松岡さん、牟田さん

白石ナイトタイムエコノミーというのは、行楽地で過ごす日中の過ごし方とは対照的に、主に20時から翌朝の3時までの経済活動のことを指します。福岡をはじめ、日本中に訪れる外国人観光客からは「夜遊びのコンテンツが少ない」という不満の声が多く、夜間の消費をいかに増やすかが国を挙げての課題になっています。しかも、現在訪日外国人の消費行動は“モノ消費”だけではなく、“コト消費”に移行しているといわれる中で、いかに日本文化に触れられたり、特別な体験を得られたりするかが重要なポイントになっています。

千年夜市とは…?

白石千年夜市は、「旅とローカルの交差点」というコンセプト通り、訪日外国人たちが地元の人たちと出会い、地元の人たちが外国人と出会うという“コト消費”をイメージして立ち上げられたイベントです。

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白石このご時世、WEBやSNSなどを駆使して人や情報を集めてイベントを開催すること自体は簡単になってきています。ただ、1回だけではなく、継続していくことがすごく難しい。特に千年夜市の場合は民間事業として行われているので、補助金もなし。そういった状況でどのようにして運営しているのか、根掘り葉掘りうかがいたいと思います。さっそくですが、千年夜市についてご説明をお願いします。

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千年夜市実行委員会代表の松岡さん

松岡さん(以下、松岡)こんばんは。千年夜市実行委員会代表の松岡と申します。千年夜市を立ち上げる前に、前身となるイベントを2012年に開催しました。そうして、2013年の夏から中洲の清流公園で千年夜市をスタートし、今年で7年目になります。

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松岡イメージしているのはアジアのナイトマーケットです。飲食店や雑貨、占い、マッサージ、さらには金魚すくいの縁日エリアやライブなど、なんでもアリの雑多な空間を目指しています。

白石2012年のお試しから現在までの規模の変化を教えていただけますか?

松岡お試し開催時は「出店料は結構なので、出ていただけませんか?」と声をかけまくって、集まったのは5店舗でした。ほとんどが古くからの友人でしたね。専門学校に頼んで、学生さんにライブペイントをしていただいたりしました。ぼくはただ、公園の使用料とチラシ代を払って、収入はなし。今年は、飲食店だけで56店舗、雑貨や占いなど飲食店以外のブースは40〜50店舗です。そう考えると、約10倍の規模になっていますね。

いかに日常に溶け込むかが勝負

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白石今年は8月から3ヶ月間、毎週金・土・日曜日(各日16:00〜23:00)に開催されるということですが、それだけ長い期間を設けているのはどうしてですか?

松岡先程、イベントは継続するのが難しいと白石さんもおっしゃっていましたが、ぼくらは「イベントをやろう!」ではなく、「遊び場をつくろう!」と思ってやっているんです。年に数日だけ開催されるイベントの場合、山笠やどんたく規模のイベントは別として、海外から訪れる人がその情報をキャッチするのは難しいですよね。ぼくたちは「いつ来ても清流公園に行ったら、何かやっているよね」っていう場所を目指していているので、初年度から8月〜11月の週末開催をマストにしています。

千年夜市が生まれるまで

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白石少し話は逸れるんですが、松岡さんって「なに屋」さんなんですか?(笑)千年夜市以外のシーズンは何をされているのかな?と。

松岡イベントではないと言っておいて不本意なのですが、職業はイベント屋さんですね。年間でイベントの委託を受けているので、毎月決まったお金は入ってくるようにはなっているんです。それ以外にも、千年夜市の知名度が少しずつ上がってきて、コラボイベントなどの企画をちょこちょこいただけるようになっている感じですね。

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白石ちなみに、千年夜市をスタートする前は何をされていたんですか?

松岡親不孝通りのクラブで店長をしていたんですよ。だからイベントごとは得意なんですよね。当時、ぼくが香港在住のDJに声をかけて交換留学のような形で福岡と香港でそれぞれイベントを開催したんです。それがぼくにとって初海外旅行でした。そもそもはクラブシーンを盛り上げようという意気込みで訪れた香港だったんですが、ナイトマーケットの文化にびっくりしちゃって。こんなのが福岡にもあったらいいのに…と思ったのが10年前。そこから、紆余曲折を経てここまで来たという感じです。

欠かせない、地域との連携

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千年夜市実行委員会で外交・防犯を担当する牟田さん

白石外交・防犯担当の牟田さんは、いつ実行委員会に加わられたんですか?

牟田さん(以下、牟田)約4年前になります。もともとは千年夜市が開催されている清流公園の地区(中洲一丁目)の役員なんですよ。その兼ね合いで松岡さんと知り合い、「一緒に中洲を盛り上げましょう」いうことで、千年夜市の実行委員に加わる流れになりました。

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白石町内の人から見て、千年夜市はどんな印象ですか?

牟田基本的に中洲の人はお祭り好きなんですよ。でも、どうやって入っていけばいいかわらからなくて。そんな時にたまたま中洲祭りと千年夜市が同じ日に開催される年があって、さてどうしようか、となったわけです。町内の人からは「譲ってもらえ」なんていう声も挙がったんですが、それはおかしいでしょ、と。そこから、ぼくが「一緒にやりましょう」と松岡くんに話したんです。中洲は観光の街。観光客が来ないとおかしい街なのに、ちょっと閉鎖的な部分があるんですよね。そこを崩していくために、まずはぼくが動いていこうということで、実行委員にジョインさせてもらいました。今では、中洲の連合会も千年夜市を全力でバックアップしています。

白石牟田さんは千年夜市の開催中、基本的に現場にいらっしゃるんですか?

牟田実は、松岡さんから「町内の方も出店してほしい」との要望があったので、ぼくも元飲食店店主という腕を活かして出店しているんですよ。出店者でもあり実行委員でもあるので、設営から出店、撤収まで全部やっています。


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