博多まちづくりミートアップ

博多に来たら泊まりたい!話題の施設に聞くこれからの宿泊体験とは〜ミートアップvol15レポート後編〜

宿泊事業は右も左もわからない素人だった

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白石ここ数年、福岡市内でも宿泊施設の数は急激に増えてきています。そのような現状も踏まえ、2年ほど前に開催した第1回目のミートアップでは、「ゲストハウス」をテーマに催しました。ではなぜ今回またホテルがテーマなのか。そしてそのゲストに、どうしてこの2つの宿泊施設を選んだのか。
「グレートモーニング」も「宿屋ひととき」も、これまでのホテルとはちょっと違う切り口ですが、それだけに、泊まるということ以外の価値も提供してくれる宿泊施設なのではないかと思います。一方で素朴な疑問としてあるのが、もともと宿泊をメインに展開されていない企業さんが、どうして宿泊事業に参入したのか?ということです。

二枝私は今年でちょうど60歳になるんですが、自分の還暦の記念に、これまでの事業の集大成を作りたいと思っておりました。「アニーのお気に入り」という健康雑貨のノウハウ。「天井桟敷」という飲食店の食事のノウハウ、「石の癒」という岩盤浴のノウハウ。そして新しく開発した光冷暖。この4つを融合するには、ホテルしかないと思ったんですね。アニーグループの40年間の歴史の集大成でした。

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白石とはいえ、宿泊業を始めようと思ったからといってすぐに始められるものでもないと思います。そこには何か今後の展開に結びつくような意志や決意のようなものがおありだったのでしょうか?

二枝実は私は、雑貨屋を始めた時も思いつきだったんです。雑貨屋経験なんてゼロですし、スタッフも同じ。石の癒のときも経験ゼロからのスタート。光冷暖もそう。そしてホテルも同じです。つまり原理原則にかなっていれば、意外と為せば成るもんなんです。私は、人が楽しいこと、体に優しいことはうまくいくと信じてやっております。だからといって中途半端はいやですよね。宿泊事業も、やりはじめたら徹底的にやる。目下の目標としては、10年間で300店くらいオープンしてやるぞ、と。もちろん途中で挫折することもあります。

白石ありがとうございます。同じく谷社長の方も、もともと色々な事業をされていらっしゃる中で、創業150年という節目に宿泊事業に参入されたということですね。これまでとは違った事業をやろうとした意図はなんでしょうか? またなぜこの場所なのでしょうか?

ひとつは、うちは不動産屋もやっていたからこそ、たまたまこういう物件に巡り合えたこと。あともうひとつは、さきほども言いましたが、150周年のときに打ち出したブランドコンセプト「ひと息つけるひとときを」の展開において、これまでのフランチャイズのビジネスだけではその独自性が表現しにくいということがあった。つまり「ひと息つけるひととき」は、従業員がお客さんに接するその姿からはなかなか見えにくいわけです。だからこそ、目に見える=具現化できる形が必要だというのは、常々考えておりました。場所といい、きっかけといい、色々なことが重なった結果かなと思っております。

白石ありがとうございます。オープンしてまだ2ヶ月半ですが、お客さんの反応はいかがですか?

今のところご家族での宿泊が多いのですが、「ゆっくり過ごせた」というご感想を頂くことが多いので、喜んで頂いているとは思います。

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白石ありがとうございます。続いて二枝社長にお聞きします。開業にあたってはご苦労されたこともあったかと思いますが、そのあたりについてはいかがでしょうか?

二枝昨年の7月に西日本豪雨があったでしょう。我々のホテルは当初、8月24日オープンの予定だったんですが、取引先である倉敷の家具屋さんが被災しましてね。電話があって「被災したから家具が間に合いません」と。そこで丸1日考えて「じゃあその家具ができるまで待ちます」とお返事したんです。「12月末までにオープンすれば大丈夫」と。「すでに入っている予約があるでしょう」と言われるもんですから、「どげんかします、どうしてもあなたのところの家具を使いたいから」と。そしたら向こうは涙。こっちも涙ですよ(笑)。ということもあり、オープンしたのは11月23日でした。

白石それが結果として強い結びつきを作ったわけですね。実際宿泊に来ている方はどのような方が多いですか?

二枝エアコンが1台もないということで、ホテル関係者や建築会社の方が宿泊してくださって、提携依頼を頂くこともあります。そういう意味では、9階建ての巨大なモデルルームのような感じだと思っております。

白石宿泊が次のビジネスのきっかけになることも多いということで、本当にショールームのようですね。外国人の方はどうでしょう?

二枝決して宿泊費が低いわけではありませんから、インバウンドの需要はあまりないと思っていましたが、意外にアメリカ、韓国、中国の方も多いですね。上海からのお客様にはえらく気に入ってくださって、上海でグレートモーニングホテルのオープンが決まりましたし、韓国でも提携が決まりました。

白石ありがとうございます。ではもう一度谷社長にご質問です。実際にこのあたりのエリアにオープンして今後博多のまちの可能性についてどうお考えですか?

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当初はよそ者だし「はて、どうしようか」と思いまして、まずは山笠の関係者のところに挨拶に行きました。思った以上に、博多の中心は櫛田神社であり、山笠という祭を中心にある種のつながりと発展があると感じています。

白石谷弥さんの商圏エリアの中心は、どちらかとうと直方のあたりかと思いますが、この博多エリアで事業を広げていこうというお考えもありますか?

もちろんです。例えば1階の「ポークたまごおにぎり本店」は沖縄が本拠地で今回初めて進出したのが博多です。また我々の宿泊事業も博多。新しい試みの最中なので勉強しながらとは思いますが、広げていきたいですね。

白石ありがとうございます。ではここまでのお二方のお話を受けて、博多の宿泊体験に関してどういった感想をお持ちになられたか、参加者のみなさんのご意見をシェアしていただきたいと思います。

「採算はとれてるの?」会場からの気になる質問とは?

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グループ1「グレートモーニング」さんも「宿屋ひととき」さんも、地元の方に泊ってほしいという趣旨の宿泊施設だということで、一般的にはまだまだ珍しいと思いますが、今後非常に大事になってくるんじゃないかと思いました。またお二人とも、もともと宿泊業ではない事業からの参入ですが、自社の長所を理解し、その強みを生かしておられるという感想を持ちました。質問は収支についてです。単純に、どう成り立っているのか。グレートモーニングさんは夜のレストランの固定費などである程度工夫されているのではないかいうのが推測ですが、宿屋ひとときさんは部屋数が2つしかないということですので、そのあたりの工夫についてお伺いできればと思います。

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うちは、2、3階にスタッフは常駐しておらず、スタッフは1階だけです。もちろん夜にすぐ駆けつけられる体制はつくっておりますが、2部屋だけなので今はこういう形で運営をしています。その代わり朝は割と早くから店も開けております。

二枝うちの場合は、ホテルの売り上げに加えて物販もありますし、普通のホテルより種目が多いんじゃないでしょうか。泊まって頂けるだけではない“体感型のモデルルーム”のような機能も併せ持っていると思います。

グループ02感想が主になりますが、飲食店と組み合わせたり、もともと展開しているサービスと組み合わせたりと、どちらもその事業性が非常に興味深いと思いました。また事業者が楽しみながら作っておられるということが伝わってきました。博多のまちづくりという観点から見ても、博多の歴史を生かしつつリードしていってくれていることが素晴らしいと思いました。

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グループ03やはり気になるのは、事業的に成り立っていくのかというところです。実際に運営されている中で、お客さんからの反応や手応え、あるいは課題があれば教えてください。

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試行錯誤の段階ではありますが、家族で宿泊される方が多い半面、女性の方の利用はまだ少ないのが現状です。あとは土曜は良いけれど、それ以外のご利用は厳しいこともあります。課題は山ほどあります。

二枝それは私もどうしたらいいのかと思うところです。土曜日は結構先まで予約で埋まっていてありがたいのですが、逆に金土日と連泊したい方を受け入れられない。こんなときは、連泊の方をどう優先的に宿泊していただくかを知りたいです。ノウハウをお持ちの方、のちほど名刺交換をいたしましょう。良い助言をくださった方には、グレートモーニングの優待券を差し上げます(笑)。

一同(笑)。

白石ありがとうございます。宿泊施設が急増する博多のまちで、非常にユニークな宿泊施設ということで「グレートモーニング」と「宿屋ひととき」のお二方をお迎えしました。改めて、本日はありがとうございました。

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(了)


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