博多まちづくりミートアップ

空地や通りを活用して賑わいを生む仕掛けとは?〜ミートアップvol14レポート後編〜

フードトラックビレッジに関するあれこれ

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白石フードトラックビレッジには、どのような方の利用が多いですか?

村上まだオープンしたばかり、かつ寒い時期なので変化はありますが、平日の昼間は近隣のオフィスの方のご利用が多いです。ビレッジ入り口で、テイクアウト専用のお弁当を買いに来られたりですね。

白石お弁当の単価はどれくらいですか?

村上各出店者さんで値段はまちまちですが、僕のところは600〜700円くらいで4つのメニューを出しています。

白石夜はどういった方々が来られていますか?

村上インバウンドの方がすごく多いですね。メニューも日本語表記のみだったんですが、みなさん韓国語や英語表記のメニューもさっそく作っています。僕なんか英語まったく喋れないので、ちょっとはできるようになりたいですね(笑)

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これから先の展望

白石今後の展望などはありますか?

村上今は平戸にフューチャーしていますが、それを九州全体に広げてもいいと考えています。生産者がいくらこだわりを持っていても、それをどう広めるのかという有効な手段を知らない方も多いですから、それを拾い上げるということに取り組んでいきたいですね。

白石春には、直営店舗での展開もあるとか?

村上はい、赤坂に割烹の店を開く予定です。コンセプトはFTVと同様で、生産者の方とじかに顔を合わせ、コミュニケーションをとった食材しか使わない予定です。あとは、FTVでは4月からビアガーデンを開催します。

白石4月から!

村上平日は夕方から、土日祝日は朝から飲めますよ(笑)

白石今はまだ寒い時期ですが、一番の稼ぎどきはこれからですね。これまで数ヶ月やってきて、今後の課題はありますか?

村上今のところお客さんの反応は上々です。ただ間口が狭いこともあり、お客さんが入ってきづらいということがあるようです。福岡は、イベントではキッチンカーって当たり前になりつつありますが、日常使いとなるとまだ弱い。それをどう普及させていくかは課題です。

白石ありがとうございます。

昼より夜のニーズが高いという想定外のメリット

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博多まちづくり推進協議会 尾田さん先日FTVさんにお邪魔して、実際に飲んだり食べたりしたのですが、本当にひとつひとつの料理、特にお魚へのこだわりが感じられて、いい意味で裏切られました。博多ではこういう場所自体がどうしてもイベント的な感じになってしまう。今ある屋台と、こうしたネオ屋台のようなものがまちの風景になっていったらいいなと思いました。
そこで村上さんにご質問なのですが、実際に博多のまちでキッチンカーをやってみて、狙い通りだったところ、あるいはちょっと違ったなというところがあれば、教えてください。

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村上まだオープンして2ヶ月ほどしか経っていないので様子見の部分もありますが、当初、2月くらいまではランチ営業だけにして、夜営業はやらないほうがいいだろうという判断をしていました。つまり近隣のオフィスワーカーの方をターゲットにした価格や空間設定で進めてきた。しかしいざやってみると、昼のほうが厳しかった。時期的なものも要因としてはあるのかもしれませんが、むしろ福岡という土地性、文化的なものの影響といいますか、夜のほうがニーズが高いと感じています。もうひとつ、インバウンドを頭に入れてなかったので、そのあたりも取り組んでいきたいと思います。

白石夜の営業は今どのような感じでやられていますか?

村上一応23時までなんですが、日によってはお客さんも帰らないから夜中の1時頃まで開けていることもあります(笑)。外国の方もやっぱり多くて、僕以外海外のお客さんということもありますね。空間の捉え方が、日本人とは違うのかなと思うことはありますね。

白石ありがとうございます。

福岡の人は新しい店に入りたがらない!?

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参加者1この場所、この空間を利用することについてのメリット・デメリットなどはありますか?

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村上本当だったら、間口が広い方が認知されやすいですよね。今は、奥行きはあるけど間口が狭いから、入り口からはなかなか認知されにくい。ただ僕らに与えられたのはこのスペースなんで、じゃあこのスペースを使って何ができるのか?ということを第一に考えています。

白石この入り口から中をどう伝えるかというのが、ポイントですね。

村上今年に入って足を踏み入れてくれる方がかなり増えているのも事実です。海外の方はすぐに入ってきてくださいますが、特に日本の方は通り過ぎるだけで最初から入ろうとしない。でも「実は気になっていた」という方はいて、そういう方の利用が増えてきています。

白石特に福岡だからという実感はありますか?

村上これは福岡の人から聞いた情報ですが、福岡の方は新しい店を見つけても、自分で行かずにまず調べるんだそうです。例えば知り合いが良いって言ってたから行こうとか、友達のインスタグラムに載ってたから行こうとか。つまり自分から新しい場所に行かないらしいです(笑)

白石だからこそ、この寒い時期なのにお客さんがじわじわ増えているのかもしれませんね(笑)

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ビル下のオアシス「公開空地」をどう活かすか

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白石ここで参加者のみなさんにグループに分かれてディスカッションをしていただく時間を設けたいと思います。博多まちづくり推進協議会でも様々な取り組みをしてきた中で、ひとつポイントとなっているのは「公開空地」です。公開空地とは、ビルの足元に作られたオープンスペースで、一般に開放され、自由に通行または利用できる区域のことです。本来、公開空地では、キッチンカーを設置したりマルシェを開催するのはダメなんですが、まちの活性化に資すると判断された場合は、オープンカフェや物品販売をしてもいいという流れも、特に東京などでは出てきています。「東京のしゃれた街づくり推進条例」というものは、まさにこうした流れを受けた代表的なものだと思います。

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白石このような動きの中で、FTVや博多ストリートバルなど、公共空間や空き地はもちろん、公開空地のような空間の活用に関して、新しい賑わいを創出するためにはどのような可能性があるのかということを、みなさんに話し合っていただければと思います。

NYの公園の事例から、ビルオーナーとの相互関係まで

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グループ1NYのブライアントパークの事例が出たのですが、この公園は平日でも4000人くらいの人が利用するくらいの公共空間です。日本の場合は、野球はダメ、犬の散歩はダメ、大声で話すのもダメ……といったように、「おもてなしの国」と言っておきながら、みんながくつろぐべき公園が、くつろげない空間になってしまっています。公開空地もあるけれど、住んでいる人は全然使ってない。「福岡市って観光する場所がないよね」とよく言われますが、FTVさんみたいな取り組みや公園自体を盛り上げていくような仕組みづくりによって、新たな観光の場所が生まれるのではないかと思います。

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グループ2村上さんへの質問なのですが、今日ご紹介いただいたFTVのような空間は、基本的にオフィス用地、空き地が中心になっていると思いますが、住宅地での需要はどう思われますか?

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村上住宅エリアの需要ももちろんあると思います。そこは、住宅エリアに合わせたコンテンツがあるかどうかが重要かなと思います。

グループ3人が少ない場所や隠れた空き地というのは、人が歩いて認知されやすい仕組みを作る必要があると思いました。例えば、路上にアート作品が点在していたら、歩いて見て回りますよね。そういう人が、キッチンカーに足を運ぶ。ロゴ入りのコーヒーカップを持ってまち歩きすることで、また認知度が上がる。まち全体をつなげるような仕組みがあったら、そういった空き地の活用にも可能性が生まれるんじゃないかと思いました。

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グループ4まちづくりをやっている側、出店者側が、いくら空き地を活用したいと思っていても、極端に言えばビルのオーナーさんが「盛り上げてくれなくてもいい」「管理が面倒」「道を汚すだけ」という方もいらっしゃると思います。だからこそ、そこにプラスαのメリットを上手に仕掛けていく必要があると思います。じゃあ何ができるのかということは、すぐには答えが出ないのですが、双方の気持ちが同じ方向を向いていないと、なかなか続かないと感じました。

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グループ5これは提案ですが、博多駅前のこのエリアってオフィス街なので、案外朝営業もイケるんじゃないのかなと思いました。あとはキッチンカーで一緒にクッキングができたりと、ワークショップ的な機能があったら面白いねという意見も出ました。もうひとつ、呉服町という寺町のあたりに和テイストのフードトラックが出現したりすると、インバウンドも含めて、エリアの特性を生かした新しい魅力になっていくのではないでしょうか。博多駅前エリアって地元の人間でも知らないような場所がまだまだありますので、イベントなどを通じてエリアを知れていけるといいなと思いました。

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様々な縁が結んだフードトラックビレッジ

白石様々なご意見ありがとうございました。FTVはまだまだこれから本格的に動き出すという時期だと思いますので、これからの動きをさらに楽しみに、一緒にまちを元気にしていきたいと思います。

村上僕は秋田の出身で、東京に出て15年、そして昨年に福岡に進出してきて、来月にはようやく博多区民になります(2019年1月現在)。福岡に住んでそこで仕事をやっていくことになるとは思ってもみませんでしたが、何のご縁か、ここ1年は地方に行く機会も増え、まちを元気にしたいという人との出会いもあり、そして今があると思っています。こういった場にこういった形で参加することはあまりなく最初は緊張もしてましたが、とてもいい経験になりました。ありがとうございました。

白石村上さん、本日はどうもありがとうございました!

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(了)


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