博多まちづくりミートアップ

“ハカタストリートバル”これからのはかたのまちづくり〜ミートアップvol5レポート後編〜

ビルの広場「公開空地」を活用するために

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白石本日の会場でもあるハカタストリートバルは、イベント単体で見るとどのような狙いがあるのでしょうか。

中嶋公道と民地を掛け合わせた実験的な取り組みですね。こういう事例は、全国的に見てもありそうでない。色々なまちづくり団体から注目をされていますし、視察に来てくださる方もいらっしゃいます。狙いは2つあって、公道を使い倒すこと。もうひとつは、公開空地(※)の活用につなげることです。

白石公開空地とは、ビルなどの敷地に設けられた、一般市民が自由に行き来できる空間のことですね。

中嶋博多駅が今の場所に移ってきてかれこれ50年ほど経ちますし、今後ビルの建替えが進むにつれて、おそらく公開空地が生まれてくる可能性が高いと考えています。「公開空地」とひと言で言っても、消防用もあれば、公共空間としての空地もある。一概にまちづくりのために活用できるとは限りませんが、後者の場合は賑わいの創出に役立てられるわけです。この場所も、今は歩道と駐車場に囲まれていますが、将来的には公開空地になる可能性もある。そのための、いわば社会実験と言ったところでしょうか。

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白石公開空地の活用は今後非常に大きな課題になると思います。キャナルシティの公開空地の状況について、下田部会長にもう少しお聞きしてみましょう。

下田公開空地には制限がかなりあるんですね。まず、その場で営業行為をやってはいけない。でも、広場が目の前にあって人が集まりやすいですし、我々としては何かしら売上げにつなげたい。法的な縛りによって思ったように使えないのが課題です。なんとか法律的にもクリアしてうまく活用につなげていけないかと、まち協の取り組みとあわせて協議しています。

橋爪具体的にはキャナルシティのどのあたりですか?

下田運河の中も含めた一帯です。

中嶋平成28年度から、我々のようなまちづくり団体では公開空地をイベント等で使用してもいいという話もあるんですね。天神地区では平成25年くらいから社会実験的にそういった試みがはじまっていますので、そういう意味で博多地区は後発。とはいえ、将来的な公開空地の可能性は、今後さらに出てくると思います。

※公開空地・・・ビルやマンションの敷地に設けられた、一般市民が自由に出入りできる空間。営利目的の常設占有はできないが、イベントなど一時的な利用は可能。一般的には、通路や植栽を整備し、快適で憩いの空間とする場合が多い。福岡都心部では、博多大丸のパサージュ広場、福岡三越1階ライオン広場、天神イムズ外周などが公開空地にあたる

公園とまちづくり

橋爪公道と公開空地もそうですし、公園の活用も、今後まちづくりの対象になっていくと思います。例えば、明治公園(福岡市博多区)では映画の上映会などが催されていますね。

中嶋明治公園は、今でこそきれいに整備されましたが、以前はちょっと近寄りがたい雰囲気だったので、もっと地元の人たちに利用してもらえる空間にしようと整備されました。地元の方のご意見を聞きながら、要望をまち協がまとめて福岡市に提出しました。地下鉄工事のあたりは再整備中なので未完成ですが、工事の暴風壁を逆にスクリーンとして利用し、上映会を開催しています。このあたりは市内でも駐輪マナーが極めて悪かったのですが、駐輪場も整備し、不法駐輪が減りました。

中嶋現在は公園に関する法改正も検討されていますし、今後色々なかたちで公園を活用できるチャンスが増えていきそうなので、公共空間の中でも公園には特に注目しています。「住んでよし、働いていよし、訪れてよしの魅力あるまちづくり」というまち協のキーワードにも通じていくと思います。

白石公園ということで、ちょうど南池袋公園(東京都)の再整備に関られた株式会社船場(以下、船場)の小西さんがいらしていますので、南池袋公園の開発事情についてひと言いただけますか?

(小西さんにマイクを渡す)

小西さん(以下、小西)本日は貴重なお話をありがとうございます。南池袋公園は、明治公園と同じく、昔は少し近寄りがたい公園だったんですね。そこで、東京電力さんの変電工事を契機に6年半ほど封鎖し、公園を整備してカフェを設置しました。東京に行った際はぜひ行ってみてください。カフェでテイクアウトしたサンドイッチを、芝生やデッキに座って食べるのが気持ちいいです。公園には、商業的な貢献だけではなく、地域貢献や社会貢献の面でもまちづくりに寄与できると感じています。

白石ありがとうございます。

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東京から来福中の小西さんは、東京都の南池袋公園の開発事情について話してくださいました

地道な仕掛けを通して、ようやく形になってきた博多のまち

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白石現在ハカタストリートバルがあるこの場所は、今後どのように開発されていくのでしょうか?

中嶋ここは博多駅からもキャナルシティさんからも近く、大変良い立地ですので、ビルの1階を中心に店舗が入ることが望ましいと考えています。一方でオフィスが多くホテルの需要も高いエリアだということも考慮しています。今後の計画としては、今夏まで駐車場、その後に着工、平成31年にホテルが完成する予定です。今年度にははかた駅前通りの整備も終わりますし、32年には七隈線の開通(予定)なので、少しずつ賑わいが生まれてくることを期待しています。

白石これまで色々な仕掛けを投じてきた「歩いて楽しいまちづくり」が、いよいよ形になってきましたね。

中嶋そうですね。ようやく形になる時期に入ったという印象です。

白石地道な取り組みを通じてようやく実を結ぶという感じですね。ありがとうございます。

ベンチからはじまるまちづくり?

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白石会場のほうからご意見などありましたらお聞きしたいと思います。

参加者まさに「ベンチからはじまったまちづくり」という印象を受けました。実際ベンチに込めている大意があれば教えてください。

中嶋実は特にありません(笑)。ベンチははかた駅前通りを活性化するための、あくまでひとつのツールです。とは言っても、「歩いて楽しいまちづくり」ですし、実際に歩くと数百メートルおきに腰掛けたくなるという統計データもあるくらいですから、案外「ベンチからはじまるまちづくり」になっているのかもしれません。ちなみに、ベンチを置く場所は非常に重要だなと感じています。

白石ありがとうございます。
本日は、まち協のメンバーでもある船場・九州支店の三浦支店長もいらしていますので、ひと言ご感想をお願いします。

三浦支店長(以下、三浦)私は博多に転勤してきて4年になります。船場は去年の夏にまち協に入会させていただいたばかりなのですが、昨年までこの会の存在を知りませんでした。まちづくりにおいて、そういった情報発信は結構大切だと思いますし、今後はそういったことも課題のひとつに入れていきたいですね(笑)

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株式会社船場 九州支店より、三浦支店長もトークに参戦

中嶋会員数は現在167で年々増えて入るのですが、確かに発信力はまだまだ弱いと感じています。このようなイベントを通じて発信してくのが一番強いのでしょうが、なかなか認知していただくのは難しいですね。

白石ありがとうございます。

さいごに

白石それでは最後に、ゲストの方にひと言ずつお願いします。

中嶋まち協の色々な活動は、本当に様々な方に支えられてこそです。感謝しかありません。博多のまちを魅力的にしていくために、さらに汗かいて励んでいく決意を改めて致しました(笑)。本日はありがとうございました。

橋爪エリアマネジメントの中で、このまち協の取り組みは全国的に見ても面白い状況にあります。取り組みそのものも、九州の一番大きな玄関口でありながらすごく柔軟。それは、メンバーが抱いている博多のまちに対する将来への思いがそうさせているのだと思います。まち協の関わる167の会員さんが持つコンテンツやノウハウを活かし合い、交流していきたいです。

白石来年度もさまざまな取り組みをおこなう予定です。皆さんご期待下さい。本日はありがとうございました。

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