福岡市に、鶏を祀った全国的にも珍しい神社があることはご存知ですか?
JR香椎駅から楠の並ぶ心地のよい参道を進むとたどりつく香椎宮。大きな杉のご神木のそばに、「鶏石神社」があります。
今日は香椎宮神職の木下英大さんに、鶏石神社のこと、そして今秋からはじまる新しいお祭りのことをお聞きしてきました。酉年生まれの編集部天野がご紹介します!
装い新たに酉年を迎えた鶏石神社
御利益は育児夜泣きと”修理固成”?
「鶏石神社」の名の通り、神社には鶏の形をした石がご神体として祀られています。
木下さんいわく起源は江戸時代ごろ、いじめられていた鶏をかわいそうに思ったお坊さんが、その魂を供養しようと鶏を石にして祀ったのがはじまりです。
鶏は陽の登りを知らせることから、太陽の神・天照大神が祀られた神社では、神の使いとして飼われていることがあるそう。しかしながら鶏をご神体として祀った神社は珍しく、西日本ではここだけなのだとか。こんな珍しい神社が福岡市内にあるなんて知らなかったなあ。
本年の干支は酉年。やはり酉年にお参りをすると、ありがたいご利益があるのでしょうか?
木下さんに尋ねると、「きっといいことがありますよ」とのこと。そう信じることで自然と気持ちが明るくなるため、実際にご運をひきよせる効果もあるのだそうです。やった! 酉年生まれの私はさらにいいことがあるに違いない!
香椎宮ならではの悩みとは?
新しい取り組みで取り戻す神社のにぎやかな姿
さらにお話を伺っていくと、木下さんが香椎宮ならではの悩みを教えてくださいました。
香椎宮は福岡で一番格式高い神社で、全国に16しかない勅祭社(※天皇陛下による名代である勅使が遣わされる神社)のひとつです。
「地域や周辺神社の誇りとなることが、香椎宮の役目だと思っています。ただ、格式が高いが故に新しい取り組みをしたくてもなかなかできないという現実もあって」と木下さん。
香椎宮としての発信が最小限に留まっていることで、格式の高い神社として誇りが持てるほどの認知度に至っていないことに、香椎宮のみなさまは頭を悩ませていたそうです。
そこで、歴史ある神社のことを多くの人に知ってほしいと始めたのが、香椎宮の中にある鶏石神社での新しい取組みです。木下さんは「12年後の酉年には、鶏石神社が全国区になっているのが目標です」と語ります。
酉年の本年に合わせて、社紋のデザインと狛鶏、そして社紋をモチーフにした絵馬とお守りを新しく作りました。
さらに、毎年開催される「鶏魂祭」に合わせて、今年から「あおぞらたまご市」という新しいお祭りも始まります!
たまご好きさんもお子さん連れも
9/2・3は「あおぞらたまご市」へ
今年からはじまる新たな試み「あおぞらたまご市」。途絶えた風習を形を変えて今に引き継ごうと、お菓子のお供えとお参りが行われます。
夜泣きを防ぐことから、子どもの守り神ともされてきた鶏石神社では、年末に子どもがお餅をお供えしたり、参拝者に甘茶を振る舞ったりする風習があったそう。
たまご市では「直会(なおらい)」という習わしの形をとって、お供えのあとに神様に感謝しながらみんなで一緒にお菓子を分け合います。昔からの風習が時代によって形を変え、また新たに引き継がれていくって興味深いですね。
家族や友人と共に、神様に感謝してお祭りを楽しむ、鶏石神社らしいにぎやかな姿が見られそうです。
ぜひ足を運んでみてくださいね。
■開催概要
「香椎の杜 あおぞらたまご市」
期間:9月2日(土)・3日(日)10:30-16:30
場所:香椎宮 鶏石神社(福岡市東区香椎4-16-1)
無料参拝者専用駐車場あり
Facebookページはこちら:https://www.facebook.com/aozoratamagoichi/
(編集部 天野)