RethinkFUKUOKAProject

視点を変えると毎日がもっと楽しくなる 今こそ、大人の“こども力”を身につけよう!

 

ReTHINK FUKUOKA PROJECT レポートvol.29

アナバナではReTHINK FUKUOKA PROJECTの取材と発信をお手伝いしています。

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眼に写るもの全てが新鮮で、刺激的だったこどもの頃。そんな昔の自分が今を支えてくれるのかもしれません。今回のゲストは、3,000人以上のこどもと触れ合ってきた保育士の視点を生かし、街づくりや商品開発など多種多様な企画を展開する「保育士起業家」こどもみらい探求社の小笠原舞さんと小竹めぐみさん。そしてリアルタイムで音楽を奏でるサウンドファシリテーターとして、ReTHINK FUKUOKA PROJECTでもおなじみのatkさん。子どもの視点を通して社会を見つめる新たな問題解決力“こども力”について、司会の高山貴久美さんと一緒にReTHINKします。

 

「こども×〇〇」から世の中をクリエイト
保育士起業家が導く、こどもの可能性とは?

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さっそくワークショップからスタート。
なにやら参加者全員にアイマスクが配られます。

高山 今日は初めて体験型のトークイベントを目指しています。ゲストのご紹介前に、まずは自然音を使ってリラックスをしていただきましょう。皆さんは一番リラックスできる音って何だと思いますか? 実はこれなんですよ。

静まりかえった会場内に、どこか遠くの方からドクッドクッという音が響きます。音量は大きいのに何だか優しくて、とても落ち着く感じ。そう、これは胎動音、つまり赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時に聴こえてくる音なのです。

高山 皆さん、リラックスできたでしょうか? 元々、我々はお腹の中で音を頼りに外界を感じていたのでリラックスできたんですね。これが音の持つ力なんですね。
続いてトークをスタートしましょう。ではまず小笠原さんと小竹さんから。お二人とも最初は保育士でしたが、すでにその範囲から飛び出ていますよね。今の「保育士起業家」という肩書きはどんな意味があるのですか?

小笠原 この肩書きは私達が作りました。保育士って保育園でクラスを運営しているだけではなくて、もっといろんな社会に掛け算して出ていけるのではないかと。でも、子育て環境を改善するには、こども自体ではなく、周りの人やモノ、環境が大事なんですね。そこで、私たちは「こども×〇〇」として、保育士という強みを生かしながら、その時代に合うものと掛け算をして、今本当にこども達に合う環境やモノを提案しています。

高山 具体的にはどんな活動をされているのですか?

小竹 この間は都市づくりに取り組んでいる方々からのご依頼で、「こども×渋谷」をテーマに実験を行いました。都市づくりは多様性が求められているのですが、その中に欠けている視点があるんですよ。それが「こども」。

高山 確かに!車椅子とかお年寄りとは聞きますけど、こどもに優しいって聞かないですよね。

小竹 そうそう。実は都会ほど、こどもに会わないんです。そこで、実験と称して渋谷の大都会をこども達と練り歩いたんです。大人目線では危ないと思ってしまう車止めのチェーンなんかも遊び道具にしちゃうし。実はこどもからは見えないお店も多い事に気付いたり、休憩できるベンチが少なかったり。

小笠原 これが次の実験で、普段は石畳のオフィス街にシートを敷いてみました。音のなる石など、最先端のテクノロジーを設置して、大人もこどもも心地よく過ごせるパブリックスペースをオープンしたんです。

小竹 日本ってパブリックスペースがすごく少なくて、自由にできるスペースが全然無いんですよ。なので、企業が持つ場所とくっつけてはどうかと実験してみました。こどもが作ったシールを貼ったお茶をサービスしたのですが、通りがかる大人はニコニコで受け取ってくれましたよ。あと、お母さん方には、こんな風に休憩できる場所が無いので助かると言われましたね。

高山 企業側からはどんな意見が出ていたんですか?

小竹 こども=うるさいってイメージを持たれていたのですが、こんな時にはうるさい、けれどもこうすると静かになる、なんて事が分かったと驚かれましたね。

高山 二人の課題解決ってプラスな感じですよね。ビジネスライクだと足りないところの穴埋めになりがちですが、そこをこども視点で+αの相乗効果を産む取り組みが面白い。

小笠原 こどものための環境づくりという点では、関係のないものは無いんですよ。こどもが生きる環境の一部分だといろんな人に気づいて欲しいなと思います。

高山 感覚的なこどもの視点を取り入れると、課題解決にも役立ちそうですね。

 

リアルタイムの音作りがもたらすグルーヴ感
サウンドファシリテーションの魔法で“今”を演出する

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高山 サウンドファシリテーターって、今会場に流れているこのBGMを今作っているって事ですよね。

atk はい。YAMAHAのTENORI-ONという電子楽器を使って、登壇者のトークスピード、内容、場面に合わせてリアルタイムで音楽を作っています。サウンドファシリテーターという言葉は僕が作った造語でこの様な形でやっているのは世界で僕一人だけです。

高山 毎回ゲストに言われるのですが、atkの音があるか無いかで話しやすさが違うそうです。

atk 音の要素というのはとても大事だと思っていて、音を無くすとシーンとして、なんだか緊張するでしょう。真剣な話の時はトーンとテンポを落としたり、逆に間が空きすぎている時はテンポを上げて気分を盛り上げたり、トークの内容にそった音作りをしていて内容をしっかり聴きながら音に変換しているので終わった後はとても疲れます(笑)

高山 普段はどんな事をしているんですか?

atk 電子楽器やラップトップを使って、ダンサーやVJなど様々な表現者とコラボレーションLIVEを企画してやっています。あとはTVや映像モノからアイドルまで様々なジャンルに楽曲提供を行ったり、音楽を身近に楽しんでもらうワークショップ「OTO-ASOBI」もやっています。

高山 なるほど。「音との掛け算」って、具体的にどんな活動をしているんですか?

atk 幼児教育教室と組んで「親子で作ろう初めての作曲教室」を開催しました。この電子楽器やタブレットを使って、まずはお母さん方にレクチャー。その後こどもと挑戦してもらいました。

高山 お母さんの方が前のめりですね。

atk  音楽好きな方も多いですね。でも、最新の機器をこどもが使う事に抵抗がある人も多いと思う。ただ、今は今で実際に身の周りにあるものだから使って楽しんじゃうのもアリだと思うんですよ。「音楽×遊び」として久留米で開催している親子で楽しめるディスコイベント「コドモディスコ」や絵本作家のtupera tuperaさんによる「絵本の読み聞かせライブ」ともコラボレーションしました。

高山 絵本も音が加わると世界観が広がるよね。二組ともオリジナリティを感じる分野で活動していて、コラボした相手も面白い事をしている。活動を通して、相手の魅力をしっかり掘り下げていますよね。

atk 改めて感じたのが僕とお2人の活動は似ているなと思っていて、保育士や音楽などのベースがあって、そのベースから飛び出して活動している所が似ていると思いました。小笠原さんと小竹さんの活動にたくさんヒントが眠っている気がする。

高山 今回の二組に共通しているのが、目がキラキラしている所。今注目されている「Children Quotient」(こどもが持っている力)、つまり「こども力」を身に付けるのがビジネスに成功するヒントになるそうです。こどもとビジネスというキーワードは今後より出てきそうですね。小笠原さんと小竹さんが実施されていた「チャイルドクリエイティブラーニング」とかね。

小竹 はい。「堅くなりすぎてしまった頭を柔らかくするには」という実習を行った事があります。こどもの遊びを大人が体験するのですが、皆さんこどもの顔に戻って笑いながら取り組んでいる。頭を柔らかくすることで、色々な壁を突破できた人もいる。

高山 今回、皆さんにも同じくこどもを体感してもらいたいと思います。

 

あなたも私も「遊びの発明家」になれる
こども力を引き出すワークセッションに挑戦!

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小笠原 では、今からある職業を体験してもらいます。ズバリ「遊びの発明家」になって、この綿棒2本を使ってできる遊びを発明してください。ヒントは綿棒を観察して、色々といじってみること。そうするとどんなことができるか分かってくるはずです。では、スタート!

 

会場は静まり返り、皆さん何やら真剣な顔で綿棒を触りながら考え込んでいる様子。

2分後、近くの席4人でグループを作って、お互いに考えた遊びを披露します。どのグループも初対面同士なのに、あっという間に和やかな空気に。最後にグループ内で一番面白かった遊びを考えた人が前に出て発表します。

 

皆さんが選んだゲームの一部はこんな感じ…

『なんだろうなんだろう』…目をつぶって手の平に綿棒で文字を書いてもらい、なんの文字かを当てる

『つまんでみよう』…2本の綿棒を箸のように握って物をつかむ。

『落ちたらダメよ』…綿棒を積み上げて、落ちた人が負け。

『メンポ』…メンコの要領で一本を下に置いて、その上に2本目をキレイに乗せたら勝ち。

『綿棒渡し』…片方の手だけを使い、親指と人差し指から薬指と小指まで綿棒を渡せばOK。

『長さ競いゲーム』…綿棒をほぐして、どれだけ長くできるかを競う。

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小竹 皆さん、ありがとうございました。既成概念を外して、今のいろんな遊びが生まれたんですね。これがクリエイティブの正体なのかなと思います。

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最後はatkさんの電子楽器のボタンを一人一音ずつ押して、今日だけしかできない音楽を作ります。

参加者の皆さんは初めて目にする人も多く、おっかなびっくり触っていましたが、その音が集まって音楽の形をなしてくると、会場は心地良い一体感に包まれました。

 

高山 今日、いろいろな遊びが生まれたように、仕事でも人間関係でも、既成概念のフィルターを外して、「いま」にフォーカスして、粗探しではなく、いいところを掘り下げてみると、もっと魅力的に見えてくるのだと思います。こどもの時のワクワク感に戻って、日常生活をもっとイキイキと過ごしてもらえたらいいですね。

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最後は綿棒一本をタネに、会場中から様々な遊びが飛び出しました。遊びを生み出した参加者の皆さん自身、身のうちから湧き出た無邪気な発想に驚いている様子。そう、少しだけ視点を変える事で、別の角度からアイデアはやってくるもの。大人の現代社会を生きるには“こども力”が必要なのかもしれません。


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ReTHINK FUKUOKA PROJECTについて
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブでエネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。


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