RethinkFUKUOKAProject

アイデア一つで勝負し続ける広告の仕掛け人に直撃! 極上のエンタメって一体何なの!?

ReTHINK FUKUOKA PROJECT レポートvol.27

アナバナではReTHINK FUKUOKA PROJECTの取材と発信をお手伝いしています。

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ふと目にした映像に心を奪われた事はありますか? 驚きや笑い、そして感動をもたらすエンターテイメントを広告界の第一線で作り続ける二人の職人が今日ReTHINK FUKUOKA PROJECTで相見えました。その二人とは日本を代表する映像制作会社KOO-KI代表取締役・木綿達史さん。映像、デジタル、体験型コンテンツと、様々なアイデアで話題を仕掛けるコンテンツプランナー・眞鍋海里さんです。人の心を動かす作品はどこから生まれるのか、司会のブランコ株式会社クリエイティブディレクター松本祐典さんとSAINO & Loqui代表の学生クリエイター松口健司さんと一緒に、二人の頭の中を覗いてみましょう。

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おっさん乙女と不真面目クリエイターに訊く
エンタメって、つまりはサービス精神?

松口 まずは自己紹介を兼ねてお二人にスライドを作って来てもらいました。まずは木綿さん、テーマは「おっさんなのに乙女!?」

木綿 そうですね。乙女チックディレクターです。僕は昔から乙女チックなものが好きなんです。

  • ここで木綿さんの乙女チックを感じる作品を上映。

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マルコとマルオの7日間 https://www.youtube.com/watch?v=PX5gBBN6JRw

平井堅 切手のないおくりもの https://www.youtube.com/watch?v=FWtvUIl24-o

IMS×SOLARIA PLAZA 25周年アニバーサリー https://www.youtube.com/watch?v=JE21PsC5QYE

スジャータ坊や https://www.youtube.com/watch?v=4iylu1IROow

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会場内 カワイイ〜!!

松口 ほっこりしますね〜。小さい頃から乙女チックなものが好きだったんですか?

木綿 いや、僕は30歳過ぎてからですね。常に乙女チックなものにアンテナを貼っています。って大丈夫!?引いてない?(笑) でもね、実はもっと好きなものがあるんです。それはユーモアです。笑わせるのが好きなんです。TED×Fukuokaという企画で「嫁はんに怒られた時にオナラをして全力で逃げきる」ってテーマでお話をしたことがあって。ストーリーテリングの技術を使ってまとめるとちゃんと伝わりました。最近は3分×13話の寿司アニメ「SUSHI POLICE」を作りました。

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SUSHI POLICE  http://sushi-police.com

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松口 動画の作品はどの位の期間で制作されているんですか?例えば、SUSHI POLICEとか。

木綿 ものにもよりますが、2ヶ月ぐらい。絵コンテを書いて、全体の構成を考えて。アニメは初めて作ったのであまり余裕がある感じではないのですが。

松口 このテーマの理由が分かる動画だったと思います。続いて、眞鍋さんのテーマ「不真面目」とはどういうものですか?

松本 「不真面目」というのは僕が付けたんですよ。プロフィール画像で真面目って書いたTシャツ着てるから(笑)

眞鍋 徹夜明けにドンキで買った「真面目」というロゴ入りTシャツを着ていた写真ですね(笑)。根は真面目だと思います。僕は宮崎出身で理系の大学で宇宙について学んで、卒業後バンド、タワレコのバイヤーを経て広告業界に入りました。僕の名刺は「コンテンツプランナー」という肩書き。CMやデジタルコミュニケーション、最近はMVの企画はお化け屋敷のプロデュースもやりました。課題解決のために、手法はなんでもいいというスタンスで、コミュニケーション全域を企画しているのが僕のコンテンツプランナーとしての働き方です。

※ここで眞鍋さんが3年前に手がけ、世界で1千万ビューを記録した作品「雪道怖い」を上映。

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雪道怖い https://www.youtube.com/watch?v=2kpC1iwEAbc

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眞鍋 一本のムービーで話題になり、そこから動画のオファーが多くて。これは宝くじみたいなもの。予算が全く無くて、僕も出ています。

※続いて「世界最速の新聞配達」と「KIWIリフレッシュスプレー」のCM、

「スニッカーズ」の世界同時催眠、「M&M’S Friend’sMaker」の遠隔プリクラ企画を紹介。

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世界最速の新聞配達 https://www.youtube.com/watch?v=LkMYfULdtuU

KIWIリフレッシュスプレー https://www.youtube.com/watch?v=Uv18oM5y-8s

 

松口 木綿さんと全然違いますね。

木綿 なんでこんな面白いこと思いつくんだろう。

眞鍋 いつも課題解決のためにどうコミュニケーションを落とし込んでいくかを考えています。なので「課題」をはっきりさせて、どう解決するかが軸になるんです。僕は「アイデアはいろんな制約を超える」という信条があります。企業や広告の制約が多い中、アイデアが唯一その制約を乗り越えるものになるのではと。

松口 今紹介してもらった作品から、色々とお聞きしたいことがあるのですが、お二人が考えるエンタメとはどういうものですか?

木綿 僕は、見る人を楽しませようと思って作っているものがエンタメだと思います。だから面白いものを作る人の事も気になっているのですが。眞鍋さんはどう思いますか?

眞鍋 僕も木綿さんとかなり同じ考えです。一言で言うとサービス精神かな。どれだけ受け手の事を思ってサービスするか。僕の場合は、お金を払うクライアントさんの課題があって、それをクリアするのと同時に、それプラス受け手の人をどう楽しませるかだと思っています。

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“課題”があるからこそアイデアがうまれる!
天才二人のアイデア発想法に迫る

木綿 僕は子どもの頃からクラスでふざけるのが得意な方だったんですよ。眞鍋さんはなんで宇宙行ったんですか?宇宙行く人って真面目な人じゃないですか(笑)

眞鍋 いや真面目ですよ(笑)。今振り返ると、いたずらというか、ハッピーサプライズを仕掛けるのが好きだったんですね。感動だったり、泣きだったりって結構ロジカルに設計されているものじゃないですか。その仕組みを知るのが子どもの頃から好きで、自分が感銘を受けたものの構造を知りたいって思っちゃう。

松本 むちゃくちゃ分かります!僕もリニアモーターカーがなんで浮いているかすごく不思議で、模型を作るために延々練ってました。気になっちゃうと、とことん突き詰めないと、たどりつかないんですよね。

松口 今まで失敗したって経験はありますか?

木綿 眞鍋さんは無いと思う(笑)

眞鍋 いやいや。演出表現など自分が作った過去のCMでの成功事例からトレースしてしまったことがあって。

木綿 僕はプレゼンに負けて、勝負するところにすら行けないことがあります。今朝あったんですけどね(笑)

松口 世知辛い問題ですね。では次にどうやって仕事にエンターテイメントの要素を入れるのかお聞きしたいです。

木綿 クライアントからの課題があるからこそやりやすいですよね。

眞鍋 分かります!僕の場合は、お金を出してくれるクライアントと受け手側の両方の課題解決が必要。広告で「WHAT TO SAY(何を言うか)」と「HOW TO SAY(どう言うか)」がありますが、完全にそこを分けてます。まず手始めに、クライアント側の課題解決をするんです。「WHAT TO SAY」はクライアントのため、「HOW TO SAY」を表現する時は受け手側の目線で考えています。

松口 なるほど。実際に仕事の中でエンタメ要素を意識していますか?

眞鍋 両方が決まっているパズルで、その中にカチッとハマるアイデアというピースを作るという作業です。

木綿 クライアントから相談される課題って、毎回具体的な内容じゃないでしょ。その課題の抽出はクライアントとの話し合いの中で整理をしながらやるんですか?

眞鍋 時と場合によりますが、最近は企画の最初からガッツリ入ってますね。クライアントさん自身が悩んでいて、どこが課題かはっきりと自覚されていない場合も多いから。

木綿 ほとんどそうだよね。最初にいろんな事をガーっと聞くんだけれども、まとまっていなかったり、ぼんやりしている事が多いので、話し合いながら問題点を整理する事が多い。眞鍋さんはきっと最初の話し合いの段階でその問題点へ誘導するのがうまいと思う。

眞鍋 そうかも。例えば「KIWIリフレッシュスプレー」の時とか、最初はクライアントに「ダブル噴射ノズル」という商品のベネフィットをアピールしたいと言われたのですが、一般の人にはピンと来ないでしょ。その前にシューケア自体の必要性を一般的に定着させましょうと課題を設定し直しました。木綿さんは作品を作る時に課題って意識しますか?

木綿 僕は企画が決まった後、課題解決されたものが落ちてくることが多い。よく面白い話なのに、喋っててスベる事があるでしょ。

眞鍋 ああ、話す順番間違えた〜とか。

木綿 そうそう、その順番を考えるのがメインの仕事。

松口 次はアイデアの出し方について。パズルがカチッとハマる瞬間ってどんな時ですか?

木綿 ゼロスタートはないですね。海外ニュースをみるとか、ラジオを聞くとか、全然関係ないもの、意図して入れていない知識同士がくっついてアイデアになります。う〜んって唸っても出ないけど、不意に突かれるとポンっと生まれる。

眞鍋 僕の場合は、自分の中で考える担当と評価する担当がいて、考える人が提案している。評価する人はいろんなものを見ていて、自分にも人にも厳しい人格者で世の中の成功事例をめちゃめちゃ知っている。

木綿 二人の人格は急に入れ替わるの?

眞鍋 評価する人格はプレゼンの前夜しか出てこない。それまでひたすら考えているんです。

木綿 夏休みの宿題をギリギリにしかやらないタイプだ(笑)

眞鍋 感覚的には世の中の感覚と自分の頭の中をニアリーイコールくらいにしとこうと、SNSで話題のものとかはチェックしてます。若者の雑誌を読んだり、マックで女子高生の会話を聞いたり。

木綿 それはただのヤバい人…。でも分かるな。

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楽しませたい心と嫉妬と根性こそが
上質なエンタメを生み出す原動力!

松口 そんな二人に次なる質問です。「モチベーションの保ち方」とは?

木綿 本当下世話な話になりますけど。承認欲求とか、有名になりたいとか、じゃ無いんですよ。あいつらは最後の最後キツイときには負けちゃう。もうね、嫉妬心ですよ。穏やかな時は皆に喜ばれるのを作りたいと思っているんですけど、締め切り間際はくやしー!!皆死ね〜って。

眞鍋 僕も一緒です!ライブに行って盛り上がっている時にも、なんで皆を高揚させてるんだ、クソ〜!って思って。その鬱憤を自分のフィールドにぶつけてます。

松口 お二人が今「悔しい」って思うライバルはいますか?

木綿 めっちゃめちゃいますね。毎回違います。

眞鍋 庵野秀明は定期的にきますね。

松本 たまに見る岩井俊二とか。

眞鍋 最近「リリィシュシュのすべて」見て悔しいと思いました。テクノロジーの使い方がすごい。

木綿 悔しい人だらけだね。

松口 続いて質問ですが、お二人の次なる目標はなんですか?

木綿 感情の揺れ幅が大きいもの、笑ったり、泣いたりさせるものをちゃんと作りたい。ジャンルとしては、映像かな。基本職人肌なので。

眞鍋 僕はお金を払ってでも見たいもの、体験したいものを作りたい。広告業界でタダだから見られてるっていうのがあって。ちゃんとエンタメに対価を払ってもらえるようなものが作れたらと思います。

松口 ありがとうございます。最後に皆さんに一言お願いします。

木綿 こういう仕事をやっている喜びって、皆に見てもらえて、楽しいって言ってもらう時なんですよ。こんな風に話すのも一種のエンタメで、ちょっとでも楽しんでもらえたら。エンタメの本質ってそこにあると思います。

眞鍋 とにかく諦めない、どれだけ粘れるかがいいエンタメに必要。公開のギリギリまで面白くしようと考えている人が結果面白いものを作っているし、努力しているから感動が生まれるんです。今日来た人も、辛い時に木綿さんも眞鍋も粘ってるんだろうなと思って、頑張ってもらえたらいいな。

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制作の現場の話やモチベーションの上げ方など、かなりのぶっちゃけを見せてくれた木綿さんと眞鍋さん。お話を聞いた後で改めて見ると、二人の作品がどれだけ深く考えられて作られているか、そして上質なエンタメである事が分かります。ここで二人に悔しさを感じた人、あなたもどうやったらこんな風に人の心を動かす仕掛けができるのか、じっくり考えて見ませんか?あなたの心に芽吹いたその気持ちこそが、エンタメってやつなのかもしれませんよ。




ReTHINK FUKUOKA PROJECTについて
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブでエネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。


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