RethinkFUKUOKAProject

AI時代をサバイバルせよ! 起業のヒントは「ヒト」にあり!

アナバナではReTHINK FUKUOKA PROJECTの取材と発信をお手伝いしています。

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近い将来AI(人工知能)などの技術革新によって、多くの仕事がロボットに取って代わられ、今ある仕事の多くは消滅すると言われています。そんな時代の「働く」をReTHINKするシリーズ。今回は、自分のアイデアを武器に独立独歩で会社を興した起業家をお招きして、その秘訣や心構えをお聞きします。気になるゲストは、証券会社で投資信託の営業、PRプランナーを経て、ウェブサービス『ANYTIMES』を立ち上げた株式会社エニタイムズCEOの角田千佳さんと、派遣プログラマーから起業に至り、東京・京都・ニューヨーク・シンガポールなど世界に進出する株式会社ヌーラボの橋本正徳さん。起業家でありスタートアップ支援に関わるSAINO & 株式会社エニセンス社外取締役・市江竜太さんとSAINO & Loqui代表・松口健司さんがモデレーターを務めます。

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お金への執着!?夢への通過点!?
「起業」という働き方で目指したもの

松口 今回は「ミライの働くとは?」がテーマです。起業家として活躍されているお二人ですが、それぞれどんな事業に携わっていらっしゃいますか?

角田 語学レッスンとか、家具の組み立てとか、ちょっとした仕事を依頼したい人と、空き時間に自分のスキルを生かしたい人とをマッチングするサービスを展開しています。要は地域の助け合いの仕組みをネット上で展開しているんですね。登録すると仕事を依頼する側にもされる側もどちらにもなれます。

橋本 僕はプロジェクト管理ツールとか、ブラウザ上で絵を描くツールとか、チャットのツールをリリースしています。企業と企業を結ぶ手助けですね。福岡以外にも、東京、京都、シンガポール、ニューヨーク、台湾やアリゾナにも社員がいて、福岡で起業した中でもそこそこ頑張っている方です(笑)

松口 お二人が「起業」という選択肢を選んだきっかけは?

橋本 僕はあまり考えなしでしたね。ルーツといえば高校時代に空き缶を売ってお昼代を稼いでいたことかな。「お金をどうやって稼ぐか」についてナチュラルに身に付いていたので、その延長線上に今の会社があるというか。皆さんが起業家に求めているようなアツい何かは無いですね(笑)

松口 ヌーラボを起業されたきっかけは?

橋本 それまでは派遣プログラマーとして手取り14万くらいで働いていたのですが、手っ取り早く所得を上げるために起業するかと。ズバリお金への執着ですね(笑)

松口 角田さんはどうですか?

角田 私も起業しようとか、ビジネスに興味があった訳では無かったです。元々は小学生の時に、国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの伝記を読んで、自分も国連の職員になって発展途上国の街づくりに携わりたいという夢があったんです。ボランティアに参加したり、発展途上国を訪れてみたりと活動もしていたのですが、官僚的な立場だと上下関係や縛りが大変。アイデアを生かして柔軟に街づくりができないかと、ビジネスとして携わることを考えました。まず日本の街づくりから始めようと、今の事業をスタートしました。いずれは海外にも街づくりのインフラとして展開したいと思っています。

松口 起業しようと思ってから、実際に立ち上げるまでの期間ってどんな事があったんですか?

角田 当時はスタートアップとかベンチャーという言葉さえ知らなくて、最初は会社の事業でやってみようと相談していたら、意外にも皆応援してくれて。翌週にはネットも繋がらないパラオの無人島に籠もって、まちづくりに必要なものとか、今の社会問題について、自分の頭の中でじっくり考えて今のサービスを思いつきました。上司にも背中を押されて、1ヶ月で起業しましたね

松口 起業に対する不安などは無かったんですか?

角田 特には。強いて言えば収入が心配だったので、もう一個PRの会社を立ち上げました。

松口 なるほど。

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場所や性別、バックグラウンドは無問題!
起業のハードルって、意外に低い!?

松口 今は地方で起業する人も多いですが、橋本さんが起業された当時はどんな状況でしたか?

橋本 13年前くらいでしたが、起業したいと思った時に一番近い役所が福岡にあったというだけですね。お客さんからは東京に出てきてくれと言われましたが、引っ越すのやだし、ネットもあるからナンセンスかなと。当時は就職できない人が起業していたイメージでしたから、僕もしょうがなしに会社を起こした感じです。

松口 今起業したいという人に対して、福岡とか東京とか、オススメの場所はありますか?

橋本 結局は住みたい場所を選ぶのが一番ですよ。業種にもよりますけど、ネットがあればどこでもできますので。無人島でもね。

角田 私も東京に住んでいたので、東京で考えました。

松口 ちなみに角田さんから見た福岡のイメージって?

角田 福岡市全体で企業のスタートアップに力を入れていると感じました。

橋本 福岡って、ユーザーさんとの距離がすごく近い。課題について直接ヒアリングできるんです。その結果を福岡だけでは無く、その他の地域でも当てはめる事ができれば、ネットでも展開しやすい。そうなると本社はどこでもよくなる。

松口 なるほど。ちなみに、角田さんは女性という立場で、起業する人に向けてアドバイスはありますか?

角田 正直、男女は関係ないですね。とはいえ、相対的に見ると女性で起業している人は少ない。起業だけに関わらず、「女性は結婚するのが幸せ」という価値観が根強く残っていて、そこが解消されたら起業する人が増えるかな。でも、個人的には無理に起業する人を増やす必要は無いかなとも思います。

橋本 そうそう。逆に今は女性の起業家が手厚くサポートされている状況で、それも不平等かなと思います。女性か男性かでは無く、才能があるかどうかですよね。「サイノウ」にかけてますけど(笑)

松口 ありがとうございます(笑)

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社会の枠にとらわれず、ナマの人間を見つめて
次なるビジネスのヒントを探れ!

松口 3つ目のテーマ「これからの社会で起業する魅力とは?」についてお聞きしたいと思います。起業する道を選ぶことの魅力ってなんでしょうか?

角田 起業って、そんなにハードルが高い事でも無くて。やろうと思えばすぐにできます。クラウドソーシングで生計を立てている人やフリーランスの人も増えている。様々なプラットフォームができているので、会社という組織に縛られず、社会の枠を超えて活躍できる時代になっています。そんな働き方をより早く身に付ける事が重要になってくるのでは。

市江 起業にとらわれなくても、例えばYouTuberとか、サラリーマンをしながらタレント活動とか、個人で好きな仕事ができる状態に近づいている。

橋本 でも、これって格差の問題があるよね。自由に活動できるって人は意外に裕福な人が多くて、生活の安全圏は確保できている。その反面、変わりたいと思ってもその術を見つけられずにそのままの人もいる。

角田 その格差を縮めるのは?結局は自己責任になるのでしょうか?

橋本 自己責任だと思います。何もせずに愚痴を言うだけの人もいるし。それは違うんだよってメッセージを伝えたいとも思うけど。

松口 僕はそのメッセージを伝えるのが起業家だと思うのですが。

橋本 起業家は自分の事で一生懸命でそんなに余裕があるわけでは無いんですよ。あと、社会って目まぐるしく変わるように見えても、実は何も変わっていない気がする。

松口 今後はAIの普及で多くの仕事が機械に取って変わられるとも言われています。そんな中で起業家に必要なものは一体何なのでしょう?

橋本 人間そのものが変わる事って無くて、人間の欲求をあの手この手で解決しているだけ。「あの手この手」の部分が変わっているだけなんですね。だから仕事が無くなったとしても、新しいニーズに順応して生き残る能力が大事。サバイバル能力を研ぎ澄ませばいいと思います。

角田 テクノロジーの進化に伴って、いろいろな仕事が生まれているんですよね。AIが代わりに働いてくれて、楽しく生きて行けるのであればそれでいいと思います。

松口 これから新しい仕事はどこから生まれるのでしょうか?

角田 衣食住が満たされてくると次に自己承認欲求や自己向上心を掴んだ働き方がくると思います。エニタイムズで仕事を提供した人々にアンケートを取ると、収入よりも自分のスキルが認められた事にやりがいを感じている人が多い。

市江 社会が多様化して、どれを選んでも最低限の生活が提供されている。所得が低くて一念発起して起業しなくても生きていける。

橋本 AI時代の到来とか、意識高い記事を読んでそこで描かれている像と自分を比べて落ち込んでもしょうがない。「ナマの人間」をちゃんと観察した起業家の方が絶対に勝つと思います。

市江 統計的に割り出したニーズというよりも、自分がいいなと思っている事の方が強いんじゃないでしょうか。

松口 ありがとうございます。最後に起業を目指す人に一言お願いします。

角田 何が正解かというのは自分の中にあるもの。社会の枠にとらわれないで、やりたい事や好きな事を見つめてみてはいかがでしょう。

橋本 僕は起業についてはオススメしないです。不労所得を得る方向で(笑)

松口 必要なのはサバイバル能力ですね(笑)

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起業を目指す参加者も多く、ゲストの二人を見つめる視線も熱気を帯びていた会場内。今後のビジネスにおいて見つめるべきは目先の状況よりも、もっと人間の本質的なもの。起業の必要が無くても暮らしていける時代に、会社を興す意義とは。起業家のリアルなメッセージを受けて考えて見てはいかがでしょう?そう、起業の形は十人十色。あなたなら、どんなビジネスを選びますか?

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ReTHINK FUKUOKA PROJECTについて
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブでエネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。


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