突然ですが、日本には2つのロケット発射場があることをご存知ですか? ひとつは鹿児島県種子島の『種子島宇宙センター』。もうひとつが、鹿児島県の肝付町にある『内之浦宇宙空間観測所』です。(鹿児島って、ロケット県なんですね!)
そんな内之浦の、ロケットにまつわる情報や開発物語を発信するウェブサイト「ウチノウラキモツキ共和国」が6月に公開され、アナバナ編集部にて、取材のお手伝いをさせていただきました!
町民とロケットの深い関わりを紹介するために取材をしたのですが、なんとまあ内之浦の町全体がロケットネタ満載でした。ということで、今回は、地元の方々のロケットにまつわる物語と、取材を通して見つけたロケットネタを少しだけレポートします。
訪問したのは、鹿児島県・大隅半島の九州南端に近い、肝付町「内之浦」。漁業が盛んで美しい自然も楽しめるこの町は、「内之浦宇宙空間観測所」というロケット発射場があり、マニアにはたまらないロケットの聖地となっています。
「ロケットのこっやが」が合言葉
『内之浦宇宙空間観測所』は、昭和37年(1961年)にJAXAの前身である『東京大学宇宙航空研究所』によって開設されました。観測所を作ると決まったときから、町のお母さんたちが調査班におはぎを差し入れたり、工事の人手が足りないと知れば、道路作りを手伝ったりと、町民のみなさんが一丸となって発射場建設に献身的に協力されたそうです。
また、ロケットの打ち上げ失敗が続けばみんなで成功を祈り、成功すれば町中が喜びに沸いてお祭り騒ぎ。ロケット開発とともに歩む町の人たちとのさまざまな愛のエピソードをたくさん伺いました。
「なぜそこまで?」と言いたくなるほどのロケット愛。ロケットや発射場の方々との思い出を話すとき、町のみなさんはとてもうれしそうに愛情に満ちた話し方をされていました。
打ち上げが決まると、漁船は快く休漁。近隣の方々もとても協力的にシェルターに避難されていたそうです。
何があっても「ロケットのこっやが(ロケットのためならいいよ、協力するよ)」が、町民の合言葉。応援するのが当然だそうですよ。
内之浦が「世界で最も愛される発射場」と呼ばれていることにも頷けます。
地元の方々との愛の物語や、内之浦でのロケット開発までの道のりを、ウェブサイト「ウチノウラキモツキ共和国」で発信中です。
ぜひ覗いてみてください。
町に一歩入れば、そこは宇宙一色
そんな町の人たちの「ロケット大好き」な気持ちは、町のいたるところにも溢れていました。そう、町中がロケットロケットロケットだらけ! ロケット愛で満ちていたのです。
一見の価値あり。取材に向かうルートで発見した、ロケットマニアでなくても楽しめる「ロケットネタ」をご紹介します。
大隅半島を海沿いに南下するルートで内之浦へ。美しい海を一望できる峠を走っていたところ、私たちを出迎えてくれたのはこんな巨大な建造物!今までの穏やかな景色から一転、宇宙基地へと迷い込んだみたいな景色に、取材へのワクワク感も高まりました。
ちなみに、模型ではなく本物です。峠にそびえるアンテナを横目に、道の反対側を見ると、ロケットモチーフの外灯や、人工衛星のモニュメントが。まだ町の中心から離れているというのにこの歓迎ぶり。ますます期待が高まります。
町の中心地まで降りていき、国民宿舎のコスモピア(なんと宇宙的な名前!)に向かったところ、駐車場にはロケットがドーン!と鎮座。そして映画にもなった「はやぶさ」のモニュメントまで。
いよいよ内之浦の観測所へ! その前に…
内之浦宇宙空間観測所へ向かい、車を走らせます。が、観測所へ向かう道すがらにも、ロケットネタ、宇宙ネタがまだまだありましたよ!
マニアの聖地「内之浦宇宙空間観測所」
受付をして、いよいよ「宇宙空間観測所」敷地内へ。ロケット打ち上げ場や大きなパラボラアンテナをすぐ間近でみることができます。宇宙科学資料館は、受付をしなくても気軽に見学可。出口直前には、レアグッズや宇宙食も購入できる自動販売機があって、帰ってからも宇宙気分にたっぷりと浸ることができます。
ロケットとともに成長し、ロケットが生活の一部になっている内之浦のみなさん。これからも、内之浦で定期的にロケットが打ち上がり、町民のみなさんとスタッフのみなさんの共通の思い出が増えていくといいなあと思います。
□ぎんじ堂(和・洋菓子店)
所在地:肝属郡肝付町南方271
所在地:肝属郡肝付町南方1791-13
(取材・文/アナバナ編集部 写真/日高裕之)