インタビュー

まちの”今”がわかるシティガイド『HereNow(ヒアナウ)』福岡版がスタート。運営する株式会社CINRA代表の杉浦太一さんが思う「面白い都市」とは?

みなさんがまちの観光情報サイトにふれるときって、どんなときでしょうか。

旅行に行くとき?県外から来た友達に地元を案内するとき?それとも週末の予定を決めるときでしょうか。
HereNow(ヒアナウ)』は、まちの”今”の魅力をピックアップした、そのまちの今がわかるクリエイティブシティガイドです。東京・シンガポール・沖縄の3都市から始まった『HereNow』の第6都市目として、この3月に福岡版がスタートしました。

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全国のHereNowが探せるホーム画面には、各都市を象徴するようなかわいらしいイラストが並びます。福岡版のHereNowはこちらです

観光情報サイトや旅行ガイドブックなどに載っている情報は、「とりあえずココは押さえたい!」というところをしっかり教えてくれますよね。それに加えて、地元の人目線のアナバスポットや様々なジャンルのイベントも教えてくれたら、もっといいのにと思うことはありませんか?
HereNowでは、
・ガイドブックで知りつくされていないこと
・その都市の”今”が反映されていること
・クリエイティブなものであること
という3つを掲載基準として、「今その街で面白いスポット、イベント」をその場所を拠点に生活している人がキュレーターとなって発信しています。

『HereNow』を運営するのは東京に本社をおく株式会社CINRAです。今回、代表を務める杉浦太一さんにお話を伺いました。
株式会社CINRAは、国内最大級のカルチャーメディア『CINRA.NET』やクリイエイティブ業界に特化した求人情報サイト『CINRA.JOB(シンラジョブ)』のほか、ウェブサイトの制作などをおこなっていらっしゃいます。実は福岡でも『HereNow』に加えて、福岡市の公式シティガイドよかなびのサイトも制作されています。

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もともと旅好きという杉浦さん。福岡へは10年ほど前に仕事で訪れ、最近は月に一度くらいの頻度で来られているとか

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杉浦さんのmacにはHereNowをはじめ、東京のユニークなモノ・場所・コトを世界に紹介するWebサイト『100TOKYO(ワンハンドレッド・トウキョウ)』やカルチャーオンラインストア『CINRA.STORE(シンラストア)』などのステッカーが。CINRAでつくられているのは、ありそうでなかったおもしろいサイトばかり

 

杉浦さんの思う面白い都市とは

日本国内やアジアを中心に世界各地を訪れている杉浦さんですが、その土地にあるユニークさやローカルっぽさが見える都市を、面白いと感じるのだといいます。

ローカルっぽさとは、古くからある歴史を感じられるとか伝統的なものであるといった意味ではなく、今そのまちに住んでいる方の言葉や息づかいなど、その土地の根底に根付いている文化が見えるということなのだそう。
「都市の個性って歴史も重要な要素だと思うんですけど、今そこに住んでいる若者は、もっとアクティブでリアリティがある。そういうものが映し出せるメディアであったらいいなあと思います」

その都市を象徴するものといえば、ついつい食べ物や歴史的建造物が思い浮かんでしまうのですが、例えば「シンガポールは50年しか歴史がないけれど、そこに住む人たちはユニークでおもしろいよ」と杉浦さん。
必ずしも歴史がなくても、実は普段の生活に根付いていることや身近にあるものにこそ、特有の文化やおもしろさがあるのかもしれませんね。

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シンガポール版のHereNowには、改装されて若手ディレクターの活動の場としても使われるようになったという歴史的な映画館が。アクティブな動きが今そこにあるからこそ、歴史的なものや伝統的なものも面白くなるのでしょうね

福岡の都市としての面白さは?

福岡は『HereNow』をつくる前からもともと好きだったという杉浦さん、福岡の面白さをどう感じているのでしょうか。

「もしかしたら個性ってどんどん失われていってるんじゃないかな」と杉浦さん。
そんな中でも、都市が持っている可能性や若者が持っている勢いが、働き方に特徴として出ているのが福岡のおもしろいところなのだそう。

フリーのデザイナーさんが多かったり身近なお店と関わって仕事をする人が多かったりと、したいと思う仕事やつくりたいと思うものを実現しやすい空気感があるのを感じるそうです。

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ほかに杉浦さんが「衝撃的だった」とおっしゃるのは、福岡市警固にある『krank/marcello(クランク/マルセロ)』という家具と服・雑貨のセレクトショップ。階段や廊下まで作品のように素敵な場所とのこと。ここをご紹介しているキュレーターも、フリーで福岡を拠点に活動されているグラフィックデザイナーの三迫太郎さんです(写真は『HereNow福岡』サイトより)

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HereNowのページを見せながら話してくださった杉浦さん。福岡は食べ物もおいしくてうらやましいんですって。東京では3倍の値段を出さないと食べられないものがたくさんあるとか 

都市の面白さを見つけ続ける杉浦さんの働き方

『HereNow』が立ち上げられる都市は、杉浦さんご自身が面白いと思った都市が中心とのこと。このサイト自体をはじめようと思ったきっかけは、CINRA.NETで強みとしてやってきたことと自分自身旅行が好きであることと、そして今旅行需要が増えていることが重なったからだといいます。
新しいことを始めるときには、できることとやりたいことと求められていることの3つの輪が重なる部分を意識されているそうです。
「後付けですけどね」と笑う杉浦さん。自分の好きなことを軸に活かされる場所をさがしながら、楽しく旅するように仕事をされているのだなあと感じました。

最後に杉浦さんから、福岡で暮らす私たちへメッセージをいただきました!

「旅行に行った時、もっとローカルなカルチャーに触れたいなって思った時に使ってもらうのはもちろんですが、自分が住んでいる街を再発見してもらうのにも使えると思います。福岡にお住まいの方も、キュレーターのみなさんがオススメするスポットをぜひまわってみてください。」

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ちなみにHereNow東京は、意外にも東京にお住まいの方がよく見られているとのこと。なるほどHereNowが今のニッチな情報を取り上げているゆえんですね!

気になる今後の『HereNow』ですが、お次の都市はバンコクだとか。
また、早ければ今年にもアプリ版が登場するそうですよ。
ユニークな都市の”今”おもしろいスポットやイベントが、これからもっと気軽に楽しめるようになりそうです。

(編集部 天野)


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