穴バーレポート ACTIVITY

伝統食品から現代の味へ。99年老舗みそ蔵の挑戦[おみそバー]レポート前編

こんばんは!編集部なべちゃんです。

九州の素敵な食材の生産者と消費者をつなぐ場として毎月開催している「穴バー」8月は、「みそやのキッチンからコンニチワ 新(ニュー)おみそ体験バー」と題し、日本の伝統食品「みそ」をテーマに開催しました。

みそと言えば「味噌汁!」とまず浮かぶ方も多いかと思います。私も自宅のおみそはだいたい味噌汁で消費してしまいます。穴バーに参加いただいたお客様からも、「味噌汁以外の料理の方法を知りたくて」という声がちらほらあがっていました。

その反面、おみそは、若者の食生活から、だんだんと消えていっているのが現状なのかもしれません。

今夜のゲストは、福岡県飯塚市にみそ蔵をかまえる「エビス味噌」さんです。

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右からゲストの「エビスみそ」3代目社長 安藤茂友さん、3代目女将久代さん、4代目祐基さん

エビス味噌って?

エビス味噌は、創業99年。

米を炊いて麹をつくり、大豆を吹かしたものと混ぜ合わせ、発酵熟成させる製法を守っている昔ながらのみそ蔵です。

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当初は、ろうそくの生産を行っていましたが、初代社長が、先の代まで長く続く企業を目指そうと、食品会社を始めました。

飯塚は炭坑の町として栄え、労働者が多く住んでいた事も手伝い、時代の波に乗る事が出来ていたそうです。

しかし、エネルギーの変化により人口が減り町の様子も変化、加えてスーパー等の小売店が増え、大手の食品会社との価格競争が起り厳しい時代もあったそう。

「なんとかしなければ!」と店舗や看板を変えたりしたが味噌を買う人は増えなかったと言います。

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2代目の頃から使われているみそ樽。こちらは進物用の小さいサイズのものですが、当時は木の樽でみそを仕込んでいたそうです

みその伝道師、久代さんの思い

みそ蔵のご実家から、みそ蔵に嫁いだという女将の久代さん。調味料マイスターを取得され、「みその食べ方を伝えていきたい」と、3代目社長やデザイナーと共に、瓶詰めの商品を開発しました。それが「misoya no kitchen」シリーズ「かけみそ」や「ディップみそ」です。

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「トリゴボウ」や「コクトマト」「カレーチーズ」などそのまま野菜につけるだけでも美味しくいただけるみそ商品は、女将さんの舌を頼りに開発されました。

「パン食が増え、ごはんと味噌汁という食事スタイルが減ってきました。おみそをもっと若い人に使ってほしい」と女将さんは言います。

「みそ=味噌汁」という印象が強かった食べ物が、ディップみそによってパンやクラッカーにつけてアレンジして食べられ、いまのライフスタイルにぴったりです。

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こちらが「ディップみそ」

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左から「かけみそ」「ディップみそのもろみ柚子胡椒」、「鉄火味噌」

2011年に福岡県産業デザイン賞を受賞した「misoya no kitchen」シリーズは、出店時に若い女性のお客さんから「これどこで買えるんですか?」と喜んでもらえたのがきっかけで、すぐに商品化されました。そのとき、雑貨店に声をかけられ、misoya no kitchenコーナーができるようになりました。四角く可愛い洗練されたパッケージは、キッチンや食卓についつい並べたくなる可愛さで、スーパーの調味料売り場ではなく、オシャレな商品を並べる雑貨店のキッチン道具コーナーにならぶことになり販路が拡大。同時に、飯塚の事務所を改装し、明るく雰囲気の良い直売所をつくりました。みそを買うついでに、使い方を女将さんに聞けるのも嬉しいですね。メディアでも、「みその概念を覆す商品」として大絶賛されているんですよ。

後編では、女将さんの斬新なアイディア満載のお料理をご紹介します。

▷レポート後編はこちら

(編集部/ワタナベ)

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