イベントレポート

遊ぶように仕事をする!「街をデザインする暮らし」6/6「Open MUJI」トークイベントレポ

こんにちは。アナバナ編集部でアルバイトをしている大学生スタッフの大津です。

キャナルシティー博多の無印良品の店舗がリニューアルし、新しくオープンしたスペースが、「もしも、無印良品が今日生まれたら。」をテーマに、トークイベントやワークショップなどさまざまな場づくりをする「Open MUJI」です。6月6日に、このできたばかりのスペースで、アナバナを運営する株式会社ダイスプロジェクトの代表橋爪さんが、ゲストとしてトークイベントで話をされました。テーマは「街をデザインする暮らし」。今回はこのトークイベントの様子をレポートさせていただきます。

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トークの内容に入る前に、「OPEN MUJI」の様子をご紹介します。3階の入り口から入り…

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中央の階段を上ると…

Open MUJI

そこが「Open MUJI」。イベント30分前の様子です

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ちなみに「Open MUJI」のロゴデザインは、トークイベント「コトバナ」でモデレーターをつとめてくださっている三迫さんです!

会場は、ロゴデザインからもイメージできますが、誰でも気軽に入れるようなオープンな場所。参加される方は職業も年齢も様々です。お買い物に来ていて飛び入りで参加された方や大家さんも来られていました。

そして今回のトークイベントを企画されたのは、都市や建築に関わる設計・デザイン・リサーチなどを行う設計事務所リズムデザイン代表の井出健一郎さんです。

2時間のイベントの中で、前半は橋爪さんが、後半は井出さんとのトークセッションや参加者からの質問からトークをしたり、「街で遊ぶ」とはなんだろう、とみんなで考えたりと面白い内容でした。

橋爪さんにとっての暮らし

 仕事そのものが暮らし方になっている、仕事と暮らしの境目がなくなっているという橋爪さん。そんな暮らし方の中で、努力していることがいくつかあるようです。

橋爪さんは一級建築士でもあり、ダイスプロジェクトは広告制作の仕事もされています。まず、デザインや企画が好きだから、趣味、仕事としてやりたいから創造的であり続ける努力をしているのだそう。そして、頭に刺激を与え創造的な発想につなげるため、多様な考えを持つ人々が集まる環境に、身を置く努力も…。また、一つに執着するのではなく変化し続ける力を磨くことで、時代と合わなくなったり、頭が固くなったりしないよう心掛けているそうです。人口減少や高齢化の話題ももちろん意識されており、「自分が将来ハッピーに暮らせる福祉を」と話します。

お話を聞くと、仕事でも生活でも好きなものだから、そこには境目がないように感じます。「好きなこと」の海にどっぷりと浸かっているようです。

そんな橋爪さんの柔軟な思考や発想があるからこそ、この遊ぶように仕事する暮らしができるんだな、と納得です。たまに冗談を言いつつ、笑いを交えての穏やかな雰囲気で進んでいきました。

街が、生活者、来街者、そして自分にとって発見や新たな楽しみをもたらす状態を作り続ける。

橋爪さんは、今これが一番興味のあるテーマだそう。新しいお店や遊びという、発見や新たな楽しみを、生活者でもクリエイターでもある立場から考えています。

橋爪さんが考えるリノベーションとは、そこの価値自体を変えていくようなコンテンツを注入すること。たとえば、近所の馴染みのパン屋さんが、淡々とパン作りだけをするのではなく、少しでもまちを楽しくしようと、ちょっと面白い取り組みをするパン屋さんになったら……。パン屋さんはもちろん、そのまちがもっとワクワクしはじめる、そしてお客さんも楽しくなりそうですよね。そんなコンテンツが増えると、自然と人が集まるようになって、その場が元気になっていくというイメージでしょうか。

好き!楽しい!遊ぶように仕事をする。

生産者さんと一緒に企画をし、生産者の熱いお話が楽しめる毎月第3金曜日の「穴バー」や、九州のおみやげを紹介する「九州みやげ365」も、「好き!」が先行してスタートした企画の一つ。

まずはやってみる。そしてそれをしつこく追いかけていくことで、結果として新しいビジネスにつながることがあるそうです。アナバナのコンテンツに共通するのは、「好き!たのしそう!」という個人の思い。それに人を巻き込んで新たな流れを作っていく。ただ仕事、収支のことと捉えると業務のようになってしまいますが、遊ぶように楽しんでやるからこそ、好き!楽しい!という気持ちが続くのだろうな、と思います。もちろん、プロですから、遊ぶとなると相当の体力が必要なのも確かです。多くの人と関わりながら自分がやりたいことに周囲を巻き込んでいくのは、相当な根性も必要なようです。ただ楽しいだけじゃないんですね。

 楽しいかが大切。

”遊ぶ”に効率の良さは関係なく、楽しいかどうか、が大切。勝ち負けを追求する話ではないため、うまくいかず心が折れそうになった時に、好きなゲームに没頭するのと同じように<強い>のだそうです。

好きなことでも常に最高の状態で仕事をできるわけではないし、モチベーションを保ち続けるためにも、自分が頑張れる考え方が必要なのかなと思います。

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熱く語る橋爪さん

続いて、後半です。質問コーナーから2つ、質問を紹介します。

Q:イベントなどをされた後のフィードバックはどのようにしているのでしょうか?

橋爪さん:例に「穴バー」を挙げると、どういうお客様が来て、どんな料理を出して、そこでこのぐらい売り上げて…と、毎回データのバックアップを取っていきます。一発で終わらせるのはなく、続けていきたいから、手間がかかるけど丁寧にやる。

最初から完璧な状態ではなくても、実際に走らせながら、軌道修正を加えていくことで、より良い場を作っていくそう。

Q:アパートなどの空室率が上がる今、どんなことが必要か?

橋爪さん:その建物自体に個性を出すことでまちが面白くなると思います。広さが価格ではなく、収支を見直すぐらいの発想が必要。そのようなソフトを賃料に抱き込んで、賃料を落とさない、そんな工夫が必要です。

 そして、ちょっとしたワークショップもありました。「まちを遊ぶ」とはあなたにとってどういうことかを、紙に書いて考える時間です。「自分にとってまちで遊ぶ」とは、「このまちで暮らしたいと思えるような「日常」」という、福岡に来たばかりの男性の言葉や、「たくさんの居場所を発見し人と人とをつなげること」と書かれた女性など、まちで遊ぶことの意味は人によってこんなに違うんだ、という発見や、参加者同士でどんなことを考えたのかを共有できる場があったことが新鮮でした。自分の考え方が当たり前ではなく、いろんな方の言葉で、自分にない考えを知ることで大きな刺激にもつながりました。

話を聞かれている様子。

話を聞かれている様子。

 今回のお話では、橋爪さんが自分の分野だけでなく、様々な視点から街を考え、面白くしていこうと遊びながら仕事にしていく姿を垣間見ることができました。ただ目の前にある仕事をこなすだけでなく、さらに先を見据え、フットワーク軽く挑戦されている橋爪さんやダイスプロジェクトのみなさん。「好き」や「楽しい」という思いが根底にあり、それが原動力になっている。予算や効率ばかり考えていては見えてこない面白い企画や発想が出てくるのかなと思います。

また、自分の好きなことを仕事にするというのは素敵だと思いました。大好きなことはいくらでも時間も体力も費やしたいものです。そんなに簡単なことではないとは思いますが、仕事と生活の時間と体力を好きなことに、より費やすことできるのは、幸せかなと思います。

その上では当たり前ですが、努力するのは必要で、イベントに来られていた方も少しでも学ぼうという姿勢が見られました。メモを取られている方も過半数以上いらっしゃいました。一生学ぶべきことはある、自分も見習わなきゃなと思います。

Open MUJIではトークやワークショップなど面白いイベントが盛りだくさん。気軽に参加することができますので、興味がある方は是非とも足をのばしてみてください。おすすめです!

□「Open MUJI」のイベント情報はこちら

(大津由理)


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