2015.05.14(木)
人生を変えたサンフランシスコ
下野さん(以下、下野) それにしても加藤さんは、経歴がユニークですよね。東京で獣医師になった後にサンフランシスコのITベンチャーで働き、いまは糸島在住でAirbnbの社員として活動中と。どういういきさつなんですか?
加藤さん(以下、加藤) もともと動物が大好きで、夢だった獣医師になりました。東京でずっと働いていて、充実していたんですが、結婚をしてから夫の影響で外に意識が向くようになり、もっと自分の人生を変えたい、チャレンジしたいと思うようになって。
下野 ほ〜、なるほど。
加藤 スティーブ・ジョブスの有名な言葉に「毎日自分の顔を鏡で見て、自分に問いかけなさい。明日自分が死ぬとしたら、今日やることが本当に自分のやりたいことかどうか。ノーが3日以上続いたら、何かを変えなければならない。」というのがあって、この言葉が自分を後押ししてくれましたね。
下野 それでサンフランシスコに行ったんですか? ジョブスのいたアップルもサンフランシスコの会社ですよね。
加藤 獣医の仕事のスキルアップを目指してサンフランシスコの大学病院に入ったんですが、行ってすぐにこの街が大好きになって。
下野 どんな点が気に入ったんですか?
加藤 サンフランシスコの人たちは、自分の信じる道を突き進んでいて、やると決めたら恥ずかしげもなく、夢中でやるんですよ。やりたいことをやっているからいつも明るくて、キラキラした顔をしている人が多いと感じました。
下野 確かに。アップルやグーグル、ツイッター、Airbnbなど、現代のトレンドをリードする企業の多くがサンフランシスコで生まれていますし、そういう文化を育む風土があるのかもしれませんね。
加藤 そう感じます。ちょうど仕事を辞めて、次どうしようかなと考えている時に、主人の元同級生の日本人の男の子4人がIT関連の会社を立ち上げたので、私も手伝うようになって。ITのことはまったく素人だったんですが!
下野 それはすごい転身ですね。
加藤 そう。その後、日本に帰国することになった時、海も山も近く、都市と自然とのバランスが取れた暮らしがしたいと、東京には戻らずサンフランシスコに一番近い雰囲気を感じた福岡県の糸島市に移住しました。
下野 そのまま移住を決めたとは、加藤さんらしい大胆なエピソードですね。かつての獣医の仕事と、現在のAirbnbの仕事に共通点はあるんでしょうか?
加藤 考えてみると、生き物が生き生きと輝いているのを見るのが好きだし、自分がケアしたいという気持ちは共通している点なのかもしれません。自分も常に輝いて生きていたい、という気持ちもありますし、そのサポートができたら嬉しいですね。
明解な口調で、自身のこれまでのストーリーを語る加藤さん。エネルギッシュに人生を楽しんでいる様子が伝わってくる
生き方の自由度を上げる
下野 次々に行動に移していくんですね。昔から自由で縛られない性格だったんですか?
加藤 いやいや、全然そんなことはなくて。私は典型的なA型の長女で(笑)、自分の楽しみとは別に「これをすべき、あれをすべき」といったことに縛られてずっと生きてきたように思います。いわゆる「べきべき人間」ですね。でも、「私の一冊」でも紹介した双子の友達 Maho & Nahoも、少し前までバリバリのキャリアウーマンだったのに、世界を旅したいという自分たちの気持ちに正直になって、いま本当に世界中を旅しながら暮らしていて。「私には向いていない」とか「まだ修行が足りない」と言い出したら結局いつまでたってもできないので、とにかくまず行動を起こすことが大事だし、動き出せば何とかなるものだとわかったんです。
下野 加藤さんのいまのライフスタイルも、加藤さんだからできたということではなく、誰でもできる可能性を持っている、ということなのかもしれませんね。
加藤 ええ。自分の知らなかった世界が広がっていくのは、楽しいものですよね。その方法のひとつが、例えば自分の部屋を貸してみることだと思うんです。
下野 なるほどー。
モデレーターの下野さんは、加藤さんが福岡に引っ越してきてすぐに出会い、いまでは仕事の相談にも応える間柄
加藤 Airbnbは、自分が知らない世界の人と出会い、生き方の自由度を上げられる、とても便利なツールだと思います。それが、私にとってAirbnbの一番の魅力です。私と同じように、Airbnbを通じて、皆さんにも何か素敵な影響があればいいな、と思います。
下野 ありがとうございます。会場の皆さんは、今日のお話を聞いてどう思われましたか? 感想を聞いてみましょう。
加藤さんの話を聞きたくて、鹿児島から駆けつけたという来場者の方も
Aさん 聞いていてとてもテンションの上がる話でした。お金も時間も場所も自由になったとしたら、自分の住んでいるところ以外の場所に行って、そこで暮らしている人たちが感じているもの、見ているものを聞きにいってみたいと思います。
Bさん 何か始めようとする時、邪魔になるのは、不安が先に立ってしまうことですよね。でも加藤さんは不安よりも期待が先に立っているんだと思いました。アクションを起こして成功した人は、みんなそういう印象です。面白そうという気持ちで不安を飛び越えられる人が、人生を面白くする力を持っているのかなと感じました。
下野 ありがとうございます。ちなみに加藤さんは、不安を感じることってあるんですか?
加藤 もちろんありますよ! 今日のトークショーだって緊張してますし。でも、例えば跳び箱は「全体飛べない…」と思って飛んだら、やっぱり失敗しますよね。だから、自分を否定することや、「まだできないかも」とは思わず、不安も呑み込んで受け入れるようにしています。皆さんも、不安に目を向けるより、自分の心が動くワクワクに目を向け、ワクワクできる毎日を送ってほしいと思います。
下野 そうですね。
加藤 私個人としても、そろそろ次の新しいワクワクが起こりそうな気がしています。そうなったら、いつでもすぐに飛び込むつもりです(笑)。
下野 加藤さんらしい(笑)。本日はありがとうございました。
続々開催!Airbnb主催のイベント・ワークショップ in Fukuoka
Airbnbに興味がある人向けの交流パーティーから、ホストになるためのお部屋登録ワークショップまで、Airbnbではさまざまなイベントを日本全国で開催しています。
福岡で次回開催予定のイベントは、
5/19(火)19:00-20:45 at スタートアップカフェBASES
詳細は下記をご確認ください。
bit.ly/AirbnbEnS
コトバナ編集後記
紹介されたスティーブ・ジョブスの言葉や、加藤さんの「自分の心がワクワクするものに目を向けよう」というメッセージは、シンプルですがとても本質的なこと。そして、馴染みの環境にいては気づかない大切なことを、旅や人との交流が気づかせてくれるという話も、納得できました。未知の世界に触れられる環境を、いかに日常の中に持っておくか。そのひとつの方法として、Airbnbはとても魅力的なサービスだと思います。(佐藤)