イベントレポート

花田さんの落花生収穫体験

こんにちは。大刀洗で地域おこし協力隊として活動している川崎と申します。みなさんは大刀洗町をご存知ですか? 福岡県の筑後地方にある農業が盛んな人口15000人ほどの町です。1年前に大刀洗に来るまでは、私も町のことを知りませんでした。町の人が「中途半端な田舎。何もないところ。通り過ぎる町」と言う大刀洗町に、地域おこし協力隊として活動をはじめたのが約1年前。その1年の間に地元に埋もれている何かをよそ者の目で発掘してきました。

確かに大刀洗町には畑や田んぼばっかりで「何もない」のですが、都会から来た私にとっては畑や田んぼがあることがすでに「何かある」こと。町では昔から伝わる神事や地域の行事が今も行われています。おばちゃんたちはくるめ絣のもんぺをはいて農作業しているし、保存食作りなどの生活の知恵や技もしっかりと受け継がれています。大刀洗町の人達は何より自分たちの町が大好きで誇りをもっている、それは「何かあること」だなーと思うのです。

そんな「何もないけど、何かある町」大刀洗町で、農家の花田さんの「落花生の収穫体験」を開催しました。今回はそのようすをレポートさせていただきます。

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収穫する畑を見渡す風景。平野なので辺り一面見渡せます 。

花田さんは無農薬、無化学肥料で野菜やお米を栽培されている方。町外の方が大刀洗町に来られた際に、楽しんでもらえるようなことがしたいという想いから始まった「落花生の収穫体験」。私がこの活動に関わって2年目の今年は、花田さんの野菜作りに対する想いをいろいろな人に伝えたい、町外の人達に大刀洗のいいところを知ってほしいという想いを持って、運営をお手伝いさせていただきました。

イベントは神社の社務所に集まって、花田さんのお話や自己紹介などからスタート。参加者の皆さんと田園風景をのんびり味わいながら畑まで歩きました。

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この日は天気がよく、田園お散歩日和でした。

 途中、おばちゃんたちが畑仕事の合間に休憩されているのを発見。「こんにちはー!」と挨拶すると笑顔で「こんにちはー」と挨拶を返してくれます。畑で人に出会うと知らない人でもなんだか話が弾んで、いつのまにか顔見知りになります。畑は地域のコミュニケーションスポット。たまに初対面のおばちゃんたちから結婚相手を紹介されたりもします。婚活中の方は、結婚紹介所より大刀洗町の畑をおすすめいたします。

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畑仕事中に休憩しているおばちゃんたち。皆さんとってもフレンドリー。

落花生が生えているのを見るのが初めての方にとっては、なかなかびっくりです。私も去年までは落花生は南米に育つ木になっていると思っていました。畑に到着。参加者の皆さんから「おおー!」と歓声があがります。

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落花生にかぶせているカゴはカラス対策。カラスは真ん中のおいしいところを掘って食べるそうです。対策には、ピアノ線のような透明の糸も張っています。

まずは花田さんにお手本を見せてもらいます。コツはいりますが力もいらず引っ張ったら簡単に抜けます。子どもでも抜けます。

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一粒からこんなにたくさんの落花生ができるとは驚きです。

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花田さんが愛情をもって育てた落花生です

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参加者が楽しむ姿を見て嬉しそうな花田さん。いい笑顔

じゃらじゃらと出てくる落花生に皆さん終始大喜びでした。

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大きい株にはたくさん落花生がなっています。株を引き抜いたら落花生を一粒ずつちぎっていきます。

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引っこ抜いた時にじゃらじゃら出てくると思わず笑顔になります。

収穫したての新鮮な落花生は茹でて食べます。新鮮じゃないと茹でて食べられないそうです。

「子どもに自分が食べているものがどんな姿をしているのか実際に見て学んでほしい」と参加してくださったご家族が、前回に引き続き参加してくださいました。小さい時から自分が食べているものに関心を持つことはとても大切なこと。畑ではいのちがどうやって育つのかを直に見ることができます。 まだ小さいから理解できないかもしれないけど、お父さんとお母さんの想いは大きくなった時に今食べているものを通じて、血となり肉となっているはずです。

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今年は家族が一人増えて4人で参加してくださいました。毎年開催のイベントなので、参加者の家族や子どもの成長が知れるのも楽しみの一つです。

社務所に戻って、皆で落花生などを食べながらおしゃべり。今回の参加者の方々は、食や農に関心がある方ばかり。お話は自然と食の安全のことに。花田さんがどうして無農薬•無化学肥料にこだわるのか、自然のサイクルを活かした野菜作りのお話もしていただきました。無農薬•無化学肥料で野菜を栽培していることに対して周りからの風当たりが強いこともあるそうですが、「周りの人がなんと言おうが、自分の作るものは自分の信念を貫きたい。」とおっしゃっていたのが印象的でした。花田さんの自分や周りの人達が安心して食べられるものを作りたいという信念は、参加者の方の心にも届いているはずです

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花田さんが育てた落花生や大豆(枝豆)。トウモロコシなどを一緒に炊いたごはんもいただきました。

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大刀洗のがめ煮会のおばちゃんたちが作っているかりんとうやアプト珈琲さんのごぼう茶も好評でした。

会話の中で、「花田さんのところにまた野菜を買いに来ます」という嬉しい声を聞くことができました。ここからまた新しいつながりができることが楽しみです。

消費者は知り合いに信頼できる農家さんがいれば、直接畑に植わっているものを買いに行くことができます。生産者の顔が見える食べ物は安心だし、何よりありがたみがあります。この人が一生懸命作ったんだーと思いながら食べると、感謝の気持ちからごはんの美味しさが格段に変わってきます。

「この人が育てる野菜を買いたい」、「この人たちのことを考えて野菜を育てている」。生産者と消費者がお互いのことを思いやれる、そんな幸せな関係ができたら日本の農業や食事情も変わってくるのではないでしょうか。「落花生の収穫体験」は小さなきっかけ、でも花田さんにとっても私たちにとっても、実りのある大きな一歩となりました。

農が身近にあるためか、大刀洗町に来てから農と食と環境というのが私の中での大きなテーマとなっています。農から食や環境を考えていく「大刀洗アロットメント(http://tachiaraiallotment.tumblr.com/)」という恊働農園も運営していますので、興味がある方はチェックしてみてください!「何もない」けど「何かある」大刀洗町でお待ちしております。

(文/写真 川崎優実)


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