二人で旅する2リズム 2RHYTHM

ヨテコ&モンキチ嬉野女ふたり旅 前編 オトナの遊艶地で「あなうれし~の♡」

ヨテコ&モンキチ 嬉野女ふたり旅 前編 オトナの遊艶地で「あなうれし~の」

今回の旅の行く先 佐賀県嬉野町 かつては全国の温泉街で賑わっていた秘宝館も現在、全国で残り3館だけになってしまった。そのひとつが嬉野秘宝館(九州で唯一の営業中)。現存する秘宝館の中でも最大級の展示を誇る嬉野秘宝館も残念ながら来年3月で閉館が決定してしまった。今回は、この昭和の素晴らしい文化遺産を今のうちに目に焼き付けようと嬉野秘宝館、そして温泉街を巡ります。ヨテコさんと弁天図モンキチさん、一体どんな“チン”道中になるのでしょう。

博多駅

9:30
さっそく嬉野へ向けて出発! 秘宝館のために、少々過激にお洒落をしてきたヨテコさんとモンキチさん。どんな旅になるのやら…

11:00
秘宝館到着

突如目の前には巨大な観音様が! でた! 秘宝館。

博多から車で約1時間半、無事に嬉野秘宝館へ到着です。
★ 秘宝館ってなあに?
人間の性をテーマにした展示施設。「秘宝館」が生まれたのは1971年、三重県の元祖国際秘宝館(閉館)だ。それまでにも性にまつわる品を展示する施設はあったが、秘宝館はマネキンなどを使い、新しいエンターテイメントとしてブームをおこす。最盛期は全国で二十館以上あった秘宝館。閉館が相次ぐ中、昭和を象徴する光景として文化遺産という観点で現在人気が再燃している。「魅惑に満ちた愛のひとときを 大人の遊艶地・あなたのラブファンタジー 嬉野武雄 観光秘宝館」の看板が目に飛び込んでくる。
ヨテコわぁ~到着しましたね!
モンキチようやくここへ来れたね!!
ヨテコ 「遊“艶”地」って書いてある!!
モンキチ ラブファンタジーって…
ヨテコ
はやく中に入りたいですっ!

遊艶地、ラブファンタジーに昭和のセンスを感じる看板。経年変化により醸し出される味もまた良い。

秘宝館の入り口へ向かっていると、一人の女性が出迎えてくれた。
ヨテコ&モンキチこんにちは!
スミさんいらっしゃい。 いま、年寄り病院から帰ってきたところ。薬もらってきたんよ
モンキチ あ〜そうなんですね……。今日はよろしくお願いします。
スミさん シワは写さんどってよ〜
ヨテコ あ、はい!大丈夫です。

なかなかのマイペースっぷりに、一行は翻弄されていく。これが秘宝館マジックか!?

スミさん あなたたちそこに座りなさい
ヨテコ&モンキチ またがった方がいいのかなぁ
スミさん 着物はまたがったらいかん! 下品になるから。
ヨテコ じゃあお上品に腰掛けましょう
スミさん 上品にせんとね、顔まで悪く見えると。
スミさんに「座りなさい」とすすめられた石に座る二人。よく見たらなんだかとてもセクシーな形ですね。
スミさんは、この嬉野秘宝館を30年以上守ってきた館長さんなのです。現在、館長の座は退いたものの、閉館をひかえた秘宝館を、見守っているのだとか。

 
11:15
秘宝館ツアーはじまりはじまり
スミさんに館内を案内してもらうことになった一行。嬉野秘宝館を知り尽くしたスミさんによるスペシャルツアーのはじまりはじまり!
スミさんおしゃべりしながらええんじゃろ?
ヨテコ&モンキチはい! よろしくお願いします!!
異色のトリオでいざ秘宝館へ。不安で一杯だが、一体何が待ち受けているのだろうか。
ヨテコ わー いきなり大セックスワンダーランドって書いてありますよ
スミさん ここはなんべんも本に載ったんよ。
モンキチ総工事費5億! 展示費2億!総額7億!!
ヨテコ&モンキチすごーい!!!!!!

入口すぐにある案内には「エキゾジム、ファンタジックなエロティシズムの数々を立体的パノラマチックに表現した魅惑の施設です」との表示が。ん~~素敵!

ヨテコ もともとどんな経緯で秘宝館を作ろうと思ったんですか?
スミさんあたしもね、できてしまってから、「ここ頼むけん」て突然言われたのよ。
モンキチ え??
スミさん 兄貴が知らない間に作ったんよ。
ヨテコ知らない間にこんな大きなものを?(笑)
スミさん そうよぉ
モンキチ すごいなぁ……
スミさん はじめはいやだったねぇ。でも、お客さんが笑って楽しんでくれるようすを見て、だんだん愛情が湧いてきたね。全国からお客さんが来てくれたし、みんな楽しいって褒めてくれるのよ。
ヨテコ へぇ〜そうだったんですね。
スミさん みんな「上品で立派ですね」って褒めてくれたよ。うれしかったねぇ。
ヨテコ へぇ〜上品、か〜……
モンキチ この弁財天という女性は神様ですか?
スミさん いや、神様じゃないと思うけどね〜
ヨテコ パネルにご神体って書いてますね。
モンキチ (パネルを読みながら)タッソー婦人? って誰ですか?
スミさん 私もよくわからんのよ。そこのパネルを読んでください。(バッサリ)
ヨテコ&モンキチあははは
まずお出迎えしてくれたのは嬉野弁財天。その表情はまるで生きているかのよう。弁財天の顔マネをするヨテコさんも麗しい。
★ 嬉野弁財天 日本で初めて蝋人形でできた御神体の嬉野弁財天。御神体とはつまり神が宿るとされている物体のことで礼拝の対象となる。人体の細部までよく再現するために植毛をほどこし、はだけた隙間から覗くアンダーヘアには人毛を使用するこだわりぶり。
モンキチ 落書きも激しいね(笑)
スミさん 知らない間に勝手に書いていくのよ。
ヨテコ びっっっしりありますねぇ。
スミさん 見てごらん、この中にまで。

嬉野弁財天前の絵馬コーナーに所狭しと書き込まれた落書き。弁財天の神々しさと俗世の煩悩がよいコントラストになっています

モンキチち○こになりたいって。
ヨテコ「わたしは貝になりたい」みたいな(笑)
スミさんまぁ わかるような気がしますよ。
ヨテコ あははははわかるんですね(笑)
モンキチ 肥大祈願、童貞卒業もある……
ヨテコ 切実ですね……
スミさん 中はまだ広いけん、どんどん進むよ〜
そのまま洞穴のようなコーナーへ進むと、乱立する道祖神が目に入る。
★ 道祖神ってなあに? 日本の民間信仰のひとつで集落のはずれや道の辻に立つ石神。 秘宝館で展示されている道祖神は、男性器、女性器、男女和合などを模った形態が多い。それぞれによって意味は異なるが、縁結びや子授け安産など性にまつわるご利益があるとされ各地で信仰の対象となっている。
ヨテコおぉいきなりですね。

そう言って、道祖神に両手をあてて叩くスミさん。

スミさん 団体で来るお客さんは、みんなでこうやってして喜ぶんよ。はははははははは~って笑いながらね。
モンキチ そうなんですね〜
スミさん さぁ、あなたたちも。せ~のっ
一同 あはははははは~
スミさん わははははははははははは~
編集スタッフ大丈夫かな これ……
スミさん ここができたときはほんとうに腹が立ってねぇ。「こんなの作りやがって!!」って兄貴に言ったよ。こんなのができてるって知らなかったから。そんで兄貴と喧嘩して。自分で勝手にしやがれ! って
モンキチ どうしてそんなに腹が立ったんですか?
スミさん そりゃぁ、私だってまだ若かったし、人の女房だし。
ヨテコ 周囲からいやなことをいわれたりとかは?
スミさん そうねぇ、いやなことはぜんぜんなかったよ。そのうち、お客さんが喜んでくれるのをみて、私もだんだん嬉しくなってね。
ヨテコスミさんは強いですねぇ。
スミさん
お客さんがわははは~って笑うでしょう?それを見て、私も影でニヤッとするのよ(笑)
はい、どんどん行きますよ~。

昔の思い出を語ってくれたスミさん。数々の貴重な話を教えてくださった。

11:30
アトラクションゾーンへ
スミさんのペースにだいぶ慣れてきた一行。その独特な雰囲気に圧倒されつつ、秘宝館の神髄アトラクションゾーンへと進む。
長崎おくんち祭をもじったと思われるアトラクション「エロチック・ファンタジー ながさきオチンチ祭」
モンキチ うわぁ~広いですねぇ
ヨテコまさにエロティシズムを立体的パノラマチックに表現した魅惑の施設!
モンキチこれは相当お金をかけたんでしょうね。

まるで遊園地、いや、遊艶地のような空間に夢中のヨテコさんとモンキチさん

細かい演出が随所に。どこかでみた(REX)ような小道具も…… “ただいま内容充実中につき無料サービス中”と書かれた展示ゾーンが続く。そこには膨大な性に関する絵や資料や作品が。ふたりとも真剣です。

モンキチ すごい量の展示ですね。
スミさん ねぇ。
モンキチ このコレクションはどなたが集めたんですか?
スミさん
さぁねぇ。
そういう業者がいたんじゃないの?
もう忘れちゃったよ
ヨテコ どれも芸術性が高いですよね。
モンキチ いやらしさがないしね。
スミさん こんなに熱心に見てくれるとうれしいねぇ。

階段のわきにもびっしりと秘宝館にまつわる展示が。館内の壁紙の昭和レトロな雰囲気がかわいらしい。

スミさん なんべんも言うけど、うちは上品なところなんよ。他のところは下品でしょうが。
ヨテコ エロというよりも純粋に作品として楽しめますね。
モンキチ 量もたくさんあって、じっくり見たくなっちゃうねぇ。
スミさん よく集まったもんよね。
ヨテコすごいです、ほんとに!!

展示品はいやらしさを感じさせないものも多いようだ。クスッと笑えるものから、ため息の出るようなものまでバラエティ豊か。

11:45
ビバシネマワールドの世界へ
誰もが知っているあの映画の名シーンをもじった人形や実際にのぞいて楽しむなど、仕掛けが随所に施されたゾーンへ。まさに性のエンターテイメント!

スーパーマンをもじった「スーハーマン」。いや~んという色っぽい女性の声と共に、カタコトのスーハーマンとのやりとりが聞こえてくる

セクシーシンボル「モンロー」 手前にあるハンドルを回すと・・・

「アラビアのエロレンス」

写真右側のおっぱいを押すと・・・

ヨテコ スミさんは、この秘宝館の魅力ってどんなところだと思います?
スミさん そうねぇ……帰りはみんなニコニコになって出ていくもんね。
ヨテコ どうしてでしょうね。
スミさん 苦労を忘れるんじゃないの? 日ごろの苦労をねぇ
ヨテコ なるほど
スミさんだから・・・・・・(少し沈黙)まぁどうでもいいじゃないですか
一同 あはははははは
スミさん 真剣に考えては、こういう商売できないよ(笑)
ヨテコ そうですよねぇ
モンキチ ヨテコちゃん、真剣に考えちゃダメなんだって(笑)

出来た当初は腹が立ったというスミさんも今では秘宝館への愛情は計り知れない

ヨテコ 当時はお客さんすごく多かったって聞きましたけど
スミさん多い多い! バス10台くらい並びよったよ。
ヨテコ 1日どのくらい来てたんですか?
スミさん 5~600人かしら。忙しいこと忙しいこと。
モンキチ すごい。全盛期っていつぐらい前なんですか?
スミさん 20年くらい前かな、今ではすっかり寂しいけど。
モンキチ できたときは腹が立ってても、今では気に入ってるんですね?
スミさんそうねぇ。なくなると思うと寂しいよ。
ヨテコ 寂しいですねぇ……
スミさん やっぱりお客さんが笑ってくれるのが嬉しかったよね。
すっかり秘宝館とスミさんに魅せられたおふたり。楽しい展示はまだまだ続きます。

取材を忘れて夢中に写真を撮るふたり。 しばらく歩くと、嬉野秘宝館一番の魅せ所、巨大噴水ハーレムが現れました。

ピンクにライトアップされた豪華な噴水に釘付け間違いなし。 “大セックスパノラマコーナーは日本一の規模と内容”、まさにその言葉どおりの一大アトラクションです!

ヨテコ&モンキチすごいすごい!!!!
モンキチ まさしく圧巻だねぇ。

階段から降りて1階から鑑賞するモンキチさん

巨大噴水の後は、出口付近のおみやげコーナーへ。
その名もアダルトグッズG★SPOT。

ネーミングセンスがキラリと光るおみやげコーナー

モンキチヨテコちゃんに似合いそうなのあるよ
ヨテコこれは!私のための服じゃないですか(笑)
モンキチしかも意外とお手頃価格!
ヨテコ何か買っちゃおうかな~

さっそくめぼしいものを見つけるヨテコさん。

ヨテコ こっちのショーケースはエクスタシー系かな?
スミさん 昔はセックスの用品も売ってたらしいよ。
モンキチ セックスの用品って?
スミさん混ぜたくるやつよ
一同 爆笑
モンキチ今はラインナップが上品ですね。
ヨテコほんとほんと。子どもが見ても大丈夫そうなものばかり。
スミさんここは18歳未満立ち入り禁止だよ!
モンキチ あ、ヨテコちゃんつっこまれたね(笑)
ヨテコ秘宝館だけにツッコミ上手!

真剣に物色中。完全に買い物モードのふたり。

パチモノ収集家の血が騒ぎ、『おもちゃの山』を購入したヨテコさん

ヨテコ あれ? 何か趣が違うものが紛れてますね。
モンキチ これ民芸品かなぁ。
キョウコさんあ、それ持って帰っていいよ〜
スミさんあぁ、めんぶりゅうね
ヨテコ&モンキチメンブリュー??
ヨテコ なんですか、そのトラブリューみたいな響きの言葉は。
スミさん 面浮立(めんぶりゅう)って、こっちの郷土芸能みたいなものよ
キョウコさんこれあげるわ、あなたに
そう言って
カメラマン上野氏に面浮立をプレゼントしてくれた販売スタッフのキョウコさん。
カメラマン上野氏いやいや悪いですよ。
ヨテコ それ、きっとものすごく価値がありますよ!
キョウコ いいのよ在庫だから。持って帰りなさい。
カメラマン上野氏それでは、あざっす!
思わぬタイミングでいただいた面浮立のお面。このお面が巻き起こす出来事を、このとき誰も知る由はない・・・
面浮立(めんぶりゅう)って?
佐賀県を代表する民俗芸能。面をかぶり、太鼓や笛、鐘の音色に合わせておどる勇壮に舞う。五穀豊穣を祈る農耕のお祭りで使われたとも、鬼追い祭りで使われたとも言われていますが、謎に包まれた点も多く残されています。
秘宝館を大満喫したおふたり。じっくり1時間以上鑑賞してようやく出口へ。
最後にスミさんと記念撮影。
モンキチいやぁ~ 本当によかったねぇ
ヨテコすっごく感動しました。
スミさん そう言ってもらえると嬉しいねぇ。
モンキチ もう1回ゆっくり見にきたいです。
ヨテコ スミさんのスペシャルガイドが聞けたし。
モンキチ 特別だったよね。
ヨテコ
私、秘宝館にのまれすぎちゃって。
スミさんが背後の道祖神の化身に見えてきちゃって…(笑)
モンキチ確かに、シルエット似てる(笑)
ヨテコスミさんがもはやご神体ですよ。
スミさんそれほどに喜んでもらえてよかったよ。ありがとね〜
嬉野秘宝館は、まさに性のエンターテイメントと呼ぶにふさわしいワンダーランドでした。古来より神聖なものとして扱われてきた性の神々しさと、クスッと笑ってしまうようなお色気満点の展示の数々。その両極端の対比の中に笑いと涙と教えがあり、感動を生むのでしょうか。この3月で閉館してしまうなんて悲しすぎる。昭和の文化遺産であるこの秘宝館、まだ見られる今のうちに足を運ぶことをオススメします。

後編へ続く

PAGE TOP